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海外FXの金融ライセンスを徹底解説|各国の特徴と信頼性

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海外FXを始める際に欠かせないのが、FX業者選びですが、海外FX業者の信頼性を判断するのは簡単ではありません。

そこで重要な指標となるのが、各国の金融当局が発行する「金融ライセンス」で、業者の信頼性を測る物差しとして機能します。

ただし、ライセンスの審査基準や規制内容は国によって大きく異なり、その違いを理解しておかないと、リスクの高い業者を選んでしまう恐れがあります。

そこで本記事では、海外FXにおける金融ライセンスについて、各国のライセンスの特徴や規制内容、信頼性の違いなどを徹底解説します。

この記事の目次

海外FXの金融ライセンスとは?

海外FXの金融ライセンスとは、各国や地域の金融規制当局が発行する許可証のことです。

FX業界には業界全体を取り締まる国際的なルールがないため、各国の金融当局がそれぞれライセンスを発行し、管轄する地域で活動するFX業者を規制・監督しています。

金融ライセンスを取得するには、最低資本金や財務健全性、顧客資産の分別管理、マネーロンダリング防止策など、当局が定める基準をクリアする必要があります。

こうした審査をパスした業者だけが、金融ライセンスを取得して、その国を中心にFX事業を展開できる仕組みです。

ただし、ライセンスの審査基準や規制内容は当局によってまちまちで、厳格な規制で知られる英金融行動監視機構(FCA)から、抜け穴の多い規制で批判されるセーシェルのFSAまで、信頼性にはかなりの幅があります。

金融ライセンスの信頼性はFX業者の信頼性と置き換えて考えることもできるので、海外FX業者選びにおいては、金融ライセンスの有無だけでなく、「どの国の金融ライセンスを取得しているか」まで念入りにチェックすることが大切です。

金融ライセンスの信頼性を比較

各国の金融ライセンスは、信頼性の高いものから低いものまで様々です。

業界内では「Tier」というランク分けがよく用いられ、最も信頼性が高いとされる「Tier 1」から信頼性が低いとされる「Tier 4」まで、4段階に分けられます。

Tier別に各国のライセンスをご紹介します。

Tier信頼性金融ライセンス
Tier 1最も信頼性が高い🇬🇧FCA(英国金融行動監視機構)
🇺🇸NFA(全米先物協会)
🇯🇵JFSA(日本金融庁)
🇨🇭FINMA(スイス金融市場調査局)
🇦🇺ASIC(オーストラリア証券投資委員会)
Tier 2信頼性が高い🇨🇾CySEC(キプロス証券取引委員会)
🇲🇹MFSA(マルタ金融サービス局)
🇳🇿FMA(ニュージーランド金融市場統制局)
🇿🇦FSCA(南アフリカ金融業界行為監督機構)
Tier 3信頼性が中程度🇧🇸SCB(バハマ証券委員会)
🇰🇾CIMA(ケイマン諸島金融庁)
🇬🇧BVIFSC(イギリス領ヴァージン諸島金融サービス委員会)
Tier 4信頼性が低い🇧🇿IFSC(ベリーズ国際金融サービス委員会)
🇸🇨FSA Seychelles(セーシェル金融サービス庁)
🇻🇺VFSC(バヌアツ金融サービス委員会)
🇻🇨SVGIBC(セントビンセント・グレナディーン金融庁)

FX業者が取得している各国の金融ライセンスを解説

FCA(英国金融行動監視機構)

名称FCA (英国金融行動監視機構)
役割消費者保護、健全な市場の維持
設立年2013年
本拠地英国 ロンドン
要件・規制内容・顧客資産の分別管理義務
・最大30倍のレバレッジ規制
・破綻時の顧客保護制度(最大85,000ポンドまで補償)
・ボーナスプロモーションによる勧誘は禁止
公式サイトhttps://www.fca.org.uk

英国の金融規制当局であるFCA(Financial Conduct Authority)は、世界でも最も厳格な規制を有していることで知られています。

2013年に従来のFSA(Financial Services Authority)から組織変更され誕生したFCAは、公正で健全な金融市場を維持することを使命に、幅広い金融事業者の監督を担っています。

FX業者がFCAの認可を受けるには、非常に高いハードルが設けられています。

まず最低資本金として100万ポンド(約1億5000万円)が要求されるほか、リスク管理体制や経営者の適格性など、様々な観点から厳しい審査が行われます。

加えて、外部監査の受け入れや、詳細な財務報告の提出なども義務付けられています。

認可取得後の監督体制も、他の規制当局の追随を許さないレベルの厳格さを誇ります。

自主規制機関であるNFA(全米先物協会)との共同監視体制を敷き、常時監督する態勢を整えており、違反行為に対しては高額の制裁金や認可取消などの行政処分が科せられることもあります。

そしてFCAが最も力を入れているのが、投資家保護の徹底です。

分別管理の義務化はもちろん、ネガティブバランス(口座残高がマイナスになること)の防止策としてのゼロカットルールの導入、レバレッジ規制(上限30倍)など、トレーダーを保護するための規制が多く存在します。

また、金融サービス補償制度(FSCS)への加入も義務付けられており、FX業者の破綻時には1人あたり最大85,000ポンド(約1,200万円)までの補償が保証されます。

FCAはEU離脱後も、欧州の金融ルールとの調和を図る方針を打ち出していますが、一方で、独自の判断でより厳格なルールを設ける可能性もあり、その動向は国際的に注目を集めています。

FX業者選びにおいては、FCAライセンスの有無が信頼性を測る大きな物差しとなっています。

ただし、認可取得のハードルの高さから、FCAライセンスを持つ業者はそれほど多くはなく、大手の老舗業者を中心に、厳選された業者だけがFCAの監督下で営業を続けているのが実情です。

FCAライセンスを取得した業者は、総じて取引環境が優れており、スプレッドの水準や約定力の高さなど、ビッグプレーヤーならではの優位性を発揮しています。

もちろん、手厚いサポート体制や、高い資金移動の利便性なども大きな魅力だと言えるでしょう。

ただし、トレーダー保護重視の姿勢から、レバレッジ規制など、投資家の自由度を制限する側面もあることは認識しておく必要があります。

ハイレバトレードを好むトレーダーにとっては、最大30倍という低いレバレッジが足かせとなり、物足りなさを感じるでしょう。

NFA(全米先物協会)

名称NFA (全米先物協会)
役割デリバティブ市場の監督と規制
設立年1982年
本拠地米国 シカゴ
要件・規制内容・顧客資産の分別管理義務
・主要通貨ペアのレバレッジ上限50倍
・財務諸表や取引記録のチェック
・マネーロンダリング防止策の徹底
公式サイトhttps://www.nfa.futures.org

NFAは米国の金融規制当局で、主に先物取引やFX取引を監督しています。

1974年に設立され、CFTC(米商品先物取引委員会)とともに米国の金融規制を担っています。

NFAライセンスはFX業界でも信頼性の高いライセンスの一つで、類を見ないほど厳しい規制が特徴的です。

レバレッジは主要通貨ペアで最大50倍に制限されているほか、取引記録や財務諸表のチェック、マネーロンダリング防止策の徹底など、業者への監視体制が非常に厳格となっています。

またNFAに苦情が多数寄せられると、ライセンス剥奪などのペナルティを受ける可能性もあるため、業者としては細心の注意を払いながら運営を行う必要があります。

NFAのウェブサイト上では登録業者の情報が公開されており、トレーダーが安全性をチェックしやすい環境も整っています。

ライセンス取得には審査が厳しく、時間と費用もかかりますが、その分ライセンスを取得した業者の信頼性は抜群です。

米国外の業者でも、信頼性を高めるべくNFAライセンスを取得しているところが多く、グローバルに事業展開する大手FX業者の多くがNFAの監督下にあります。

JFSA(日本金融庁)

名称JFSA (日本金融庁)
役割日本の金融市場の監督
設立年2000年
本拠地日本 東京
要件・規制内容・最大25倍のレバレッジ規制
・顧客資産の分別管理・信託保全義務
・顧客への追証請求の義務
・ゼロカットシステムの導入禁止
公式サイトhttps://www.fsa.go.jp

日本の金融監督機関であるJFSA(Financial Services Agency)は、健全で信頼できる金融システムの維持を使命に、銀行、証券会社、保険会社など幅広い金融事業者の監督を担っています。

なかでもFX業者に対する規制は、世界的に見ても最も厳格な部類に入ると言えるでしょう。

厳しい規制を満たせる業者は少なく、2005年のFX取引解禁以降、数多くの業者が参入を試みましたが、2023年3月時点でJFSAの監督下で営業を続けているFX業者は15社程度にとどまっています。

まず、最低資本金として1億円が要求されるほか、純資産額も5,000万円以上であることが義務付けられています。

加えて、経営者の適格性審査や、リスク管理体制の整備状況なども厳しくチェックされます。

そして何よりも特筆すべきは、顧客資産の保全に関する規制の厳しさです。

JFSAは、信託保全義務を法的に義務化した世界で唯一の規制機関で、FX業者は顧客の資産を信託銀行に預け、自社の資産とは完全に分離して管理しなければなりません。

信託保全を行うことで、たとえFX業者が破綻したとしても、顧客の資産は確実に保護されることになります。

また、レバレッジ規制についてもJFSAの方針は明確で、過度なリスクテイクを防ぐことで投資家の保護する姿勢を貫いています。

かつては日本のFX業者では数百倍というハイレバレッジを提供することが当たり前でしたが、2011年8月から最大レバレッジが25倍に制限され、主要国の中でも最も低い水準になりました。

そして、海外FXと比較した時の最大の違いは、追証とゼロカットシステムの有無です。

ゼロカットシステムとは?

海外FXのゼロカットシステムとは、相場の急変動で大きな損失を出しても、口座の資金以上の損失は発生しないように、FX会社が損失を負担してくれるシステムのことです。

例えば、口座30万円が入った状態で、相場の急変動で50万円の損失が出た場合でも、残高の30万円しか失いません。

国内FX業者の場合、ゼロカットシステムが備わっていないため、残高を超えた損失分(この場合は20万円)が追証(おいしょう)として請求されてしまうため、借金を背負うことがあります。

しかし、ゼロカットシステムがある海外FX業者を使えば、口座残高以上の損失を被らないため、不意の借金を背負う危険性がありません。

日本のFX業者には、追証を顧客へ請求することが義務付けられており、反対にゼロカットの執行は金融商品取引法によって禁止されています。

海外FX業者は、ゼロカットシステムあり・追証無しが当たり前なので、これは日本金融庁ならではの規制です。

トレーディング環境の面では、様々な規制により、各業者の特色が出にくいのも事実で、画一的なサービス内容にならざるを得ません。

もちろん、サポート体制の充実度や、取引ツールの操作性など、使い勝手の部分は業者によって大きく異なるため、自身の用途や好みに合った業者を選びましょう。

FINMA(スイス金融市場調査局)

名称FINMA (スイス金融市場調査局)
役割スイスの金融市場の規制
設立年2009年
本拠地スイス ベルン
要件・規制内容・主要通貨ペアのレバレッジ上限100倍
・顧客への最大10万スイスフランまでの補償
・破綻時の顧客保護制度(最大10万スイスフランまで補償)
・ゼロカットシステムの導入必須
・DMA(マーケット直結)方式の義務化
公式サイトhttps://www.finma.ch

スイスの金融規制当局FINMA(スイス金融市場調査局)は、長きにわたり世界有数の金融センターとして発展してきた同国らしく、非常に高い信頼性を誇ります。

レバレッジ上限は100倍と、欧米の中では比較的高めに設定されていますが、ゼロカット(追証なし)の義務化や、ネガティブバランス(口座残高がマイナスになること)の防止策など、投資家保護策も充実しています。

また、FX業者には厳しい資本金要件が課せられるほか、ビジネスモデルや取引条件の開示義務、トレーダーとのコミュニケーション記録の保管など、詳細な報告義務も特徴的です。

スイス国内でFX業を営むにはFINMAの認可が必要で、外国為替公認銀行としての登録を要しますが、これをクリアできる業者は多くありません。

そのため、FINMAライセンスを取得できる業者は限られており、ライセンスの信頼性や希少性は非常に高いと言えます。

FINMAが設立されたのは2007年と、まだ歴史の浅い規制機関ではあるものの、銀行・保険・金融市場の監督で着実な実績を上げており、トレーダーからの人気も高い金融ライセンスです。

ASIC(オーストラリア証券投資委員会)

名称ASIC (オーストラリア証券投資委員会)
役割オーストラリアの金融市場の監督
設立年1991年
本拠地オーストラリア シドニー
要件・規制内容・顧客資産の分別管理義務
・最大30倍のレバレッジ規制
・マーケットメイクの禁止
・強制ロスカットは証拠金維持率50%以上
・ゼロカットシステムの導入必須
・ボーナス等のインセンティブ禁止
公式サイトhttps://www.asic.gov.au

オーストラリアの金融監督機関であるASICは、近年規制強化に乗り出しており、レバレッジ規制やボーナス禁止、強制ロスカットの義務化など、より投資家保護に重点を置いた内容となっています。

もともとは最大500倍のレバレッジを認めていましたが、2021年にはレバレッジ規制が最大30倍へ引き下げられ、欧州圏と同等の水準になりました。

またスリッページ防止のため、マーケットメイク方式を禁止するなど、業者に対しても厳しい姿勢で臨んでいます。

ライセンス(AFSL)取得の際は、最低1,000万豪ドルの純資産要件や、ビジネスモデルの開示、リスク管理体制の整備など、ASICの厳正な審査をパスする必要があります。

一方、教育面でも力を入れており、トレーダー向けのFX取引に関する情報提供や注意喚起なども積極的に行っています。

豪ドルという主要通貨を有することもあり、ASICライセンスを取得した大手FX業者は数多く存在します。

ただ、ライセンスの信頼性は総じて高く評価されている一方で、不正行為に対する罰則の少なさを指摘する声もあります。

CySEC(キプロス証券取引委員会)

名称CySEC (キプロス証券取引委員会)
役割キプロスの証券市場の監督
設立年2001年
本拠地キプロス ニコシア
要件・規制内容・顧客資産の分別管理義務
・レバレッジ規制(小口投資家は最大30倍)
・強制ロスカットは証拠金維持率50%以上
・ゼロカットシステムの導入必須
・ボーナス等のインセンティブ禁止
・ICF(投資家補償基金)による最大2万ユーロの補償
公式サイトhttps://www.cysec.gov.cy

キプロスの金融当局CySECは、EU圏内でサービス展開できるライセンスを発行していて、グローバル展開しているFX業者がよく取得しています。

かつては規制の緩さから、とりあえずの体裁を整えるライセンスとして取得する業者も多かったのですが、近年はESMA(欧州証券市場監督局)の方針に沿って大幅な規制強化が進んでいます。

レバレッジは30倍が上限で、取引ボーナスの提供も禁止されました。

さらに、マイナス残高(ネガティブバランス)が発生しないようゼロカット制度の義務化や、約定拒否の禁止、極端に広いスプレッドの是正など、トレーダー保護の姿勢を鮮明にしています。

またICF(投資家補償基金)による最大2万ユーロまでの補償制度など、万一の際の補償制度も充実させました。

ライセンス取得の審査はかなり厳格化しており、最低資本金要件も引き上げられています。

MFSA(マルタ金融サービス局)

名称MFSA (マルタ金融サービス局)
役割マルタの金融機関の規制
設立年2002年
本拠地マルタ バレッタ
要件・規制内容・レバレッジ規制(小口投資家は最大30倍)
・強制ロスカットは証拠金維持率50%以上
・ゼロカットシステムの導入必須
・ボーナス等のインセンティブ禁止
・最大10万ユーロの補償制度
公式サイトhttps://www.mfsa.mt

地中海に浮かぶ小国、マルタの金融規制当局MFSAは、低税率の恩恵を生かしながら、EU加盟国として欧州の金融ルールにも準拠する、FX業者にとって魅力的なライセンスを提供しています。

現在、ESMAの方針に沿ってレバレッジ上限30倍のレバレッジ規制を導入したほか、ネガティブ損失の補填として最大10万ユーロが補償されるなど、トレーダー保護にも積極的です。

ライセンス取得の際は、最低資本金の要件に加え、本社のマルタ設置や、取締役などの主要メンバーに対する適格性審査など、一定の基準をクリアする必要があります。

小国ながらも、EU圏内のパスポートが使えて、英語が公用語であることからも、ヨーロッパ進出を目指すFX業者から人気を集めています。

また、MiFIDの登場以降、欧州の金融ハブとしての立場を確立しつつあり、ライセンスの地位向上が期待される存在です。

FMA(ニュージーランド金融市場統制局)

名称FMA (ニュージーランド金融市場統制局)
役割ニュージーランドの金融市場の規制
設立年2011年
本拠地ニュージーランド ウェリントン
要件・規制内容・顧客資産の分別管理義務
・最大500倍のレバレッジ規制
公式サイトhttps://www.fma.govt.nz

ニュージーランドの金融当局FMAは、投資家保護とともに、金融市場の健全性確保を使命としています。

トレーダーの資産保全を重視しており、分別管理を徹底するよう義務付けています。

一方、レバレッジには特に制限を設けておらず、この点では業者に比較的優しい規制環境と言えます。

ライセンスの取得や更新の際は外部監査が義務付けられるほか、最低純資産額(10万NZドル)や取締役の適格性など、一定の審査基準をクリアしなければなりません。

しかしライセンスの取得自体は、英国やオーストラリアなどと比べると容易で、新興のブローカーでも手を出しやすいのが特徴です

ニュージーランドは通貨のNZドルの取引高が比較的小さいこともあり、世界の主要FX業者の中にはFMAラインセンス取得に消極的なところも多い状況です。

FSCA(南アフリカ金融業界行為監督機構)

名称FSCA (南アフリカ金融業界行為監督機構)
役割南アフリカの金融市場の監督
設立年1991年
本拠地南アフリカ プレトリア
要件・規制内容・マーケットメイクの禁止
・CFD取引のレバレッジ上限
公式サイトhttps://www.fsca.co.za

南アフリカにある唯一の独立した金融監督機関であるFSCAは、健全で安定した金融システムの実現を目指し、投資家の利益を守るための規制・監督を行っています。

FX取引に対しては、レバレッジの上限や最低証拠金などの規制を導入しているほか、違法なシグナル配信業者への対策にも力を注いでいます。

近年は、ライセンス取得後の管理体制の強化を進めており、定期検査や各種報告の徴求など、業者に対する監視を厳格化しています。

特にボーナスなしの取引条件の透明化を求め、他のトレーダーの取引をコピーする手法「シグナル配信」を利用させることは禁止するなど、トレーダー保護に積極的な姿勢がうかがえます。

ライセンス取得には、最低資本金の要件や、主要スタッフのバックグラウンド審査など、一定のハードルがありますが、アフリカ市場への進出を狙う業者の間で人気が高まっています。

SCB(バハマ証券委員会)

名称SCB (バハマ証券委員会)
役割バハマの金融機関の規制
設立年1995年
本拠地バハマ ナッソー
要件・規制内容分別管理の徹底のみ規制
公式サイトhttps://www.scb.gov.bs

カリブ海に浮かぶ島国バハマの金融監督機関であるSCBは、投資家保護とバハマの健全な金融システム維持を目的に、証券業者やファンドの規制・監督を行っています。

バハマでFX業を営むには、SCBから「証券業ライセンス」と「投資ファンドライセンス」の2種類の認可を受ける必要があります。

証券業ライセンスの最低資本金は30万バハマドル(約30万米ドル)、投資ファンドライセンスは15万バハマドル(約15万米ドル)と設定されています。

FX業者に対しては、主に資本金要件と顧客資産の分別管理を義務付けており、物理的な事務所をバハマ国内に設置し、マネーロンダリング報告担当者(MLRO)を常駐させることも要件となっています。

その一方で、レバレッジ規制やボーナス規制など、トレーダー保護に直結するルールは特に導入されていません。

また、ライセンス審査はペーパーベースでの書類提出が中心で、実地調査などは原則行われておらず、オフショアの中では比較的容易にライセンスを取得できると言われています。

バハマは伝統的なタックスヘイブンで知られ、20世紀後半には多くのオフショア銀行や保険会社を誘致してきた経緯があります。

しかし近年では、FATFやOECDからの要請を受け、資金洗浄防止法や、重要な税務情報の自動的交換に関する条約にも調印するなど、資金洗浄対策や税の透明性確保に動いています。

こうした変化を受け、SCBも国際規制当局との連携を強化する方針を掲げていますが、トレーダー保護の視点では、依然課題も多いのが実情です。

FX取引に特化したルール整備は進んでおらず、店頭FX業者の健全性をチェックする仕組みも不十分と指摘されています。

実際、SCBライセンスを取得した海外FX業者をめぐっては、トレーダーとのトラブルが絶えない状況が続いています。

事実上ゼロに等しい信託保全制度や、スプレッドの異常拡大など、トレーダーに不利益をもたらす業者の存在もたびたび問題視されています。

CIMA(ケイマン諸島金融庁)

名称CIMA (ケイマン諸島金融庁)
役割ケイマン諸島の金融機関の規制
設立年1997年
本拠地ケイマン諸島 ジョージタウン
要件・規制内容分別管理の徹底のみ規制
公式サイトhttps://www.cima.ky

カリブ海西部に位置するケイマン諸島は、英国王室属領の一つで、ヨーロッパやアメリカに近い地理的優位性と、英国直轄の法制度を持つことから、古くから国際的なオフショア金融センターとして機能してきました。

金融ライセンスを発行しているのが、ケイマン諸島金融庁(CIMA)です。CIMAは銀行、保険、ファンド、信託など幅広い金融事業者を監督下に置いており、FX業者もその監督対象となっています。

ケイマン諸島でFX業を営むには、CIMAから「証券投資事業ライセンス(SIBL)」を取得する必要があります。

ライセンス申請には、最低資本金として13万ケイマン諸島ドル(約15万米ドル)が要求されるほか、2人以上のケイマン諸島居住者を取締役に選任し、物理的な事務所をケイマン諸島内に設置することも義務付けられています。

さらに外部監査を受け、財務諸表をCIMAに提出するなど、一定の情報開示義務も課せられます。

ただしCIMAの規制は、基本的に資金洗浄(マネーロンダリング)対策と、違法行為の監視に重点が置かれており、トレーダー保護の視点からの規制は手薄な印象があります。

レバレッジ規制やボーナス規制といった、取引条件に対する制限は特に設けられていません。

資産分別管理についても、FX業者に口座分別を義務化しているものの、第三者機関との信託契約などは求められておらず、実効性の面では疑問も残ります。

一方でCIMAは、自主規制機関としてのCIMA認定メンバーシップ制度も設けており、メンバーとなったFX業者には、より詳細な情報開示義務や広告規制、リスク警告の表示義務などが課せられます。

ただ法的拘束力はなく、違反してもペナルティは限定的です。

CIMAも近年、国際的な金融規制の潮流を意識し、監督方針の強化を打ち出してはいますが、トレーダー保護の面での実効性には、まだ疑問符が付く状況が続いています。

また、トレーダーからの評判は必ずしも芳しくなく、スプレッドの異常拡大、サーバー障害の多発等、ユーザートラブルに適切に対処できていない業者も多く、ケイマン諸島という立地ゆえの監督の目の届きにくさも指摘されています。

今のところ、CIMAライセンスを取得した大手FX業者はごく限られており、参入障壁の低さから小規模業者が目立つ状況です。

BVIFSC(イギリス領ヴァージン諸島金融サービス委員会)

名称BVIFSC (イギリス領ヴァージン諸島金融サービス委員会)
役割英領ヴァージン諸島の金融市場の監督
設立年2001年
本拠地英領ヴァージン諸島 ロードタウン
要件・規制内容特に厳しい規制なし
公式サイトhttps://www.bvifsc.vg

カリブ海東部に位置するイギリス領ヴァージン諸島(BVI)は、英国王室属領の一つで、1980年代から国際的なオフショア金融センターとして名を馳せてきました。

金融ライセンスを発行しているのが、BVIの金融サービス委員会(BVIFSC)です。

BVIFSCは銀行部門、保険部門、投資事業部門の3つに分かれており、FX業者は投資事業部門の管轄となります。

BVIでFX業を営むには、BVIFSCから投資事業ライセンスを取得する必要がありますが、ライセンス申請の際に最低資本金は特に定められておらず、比較的容易に取得できるのが特徴です。

物理的な事務所をBVI内に設ける必要もなく、ライセンス取得後の監督もほとんど行われないため、事実上、ペーパーカンパニーに等しい存在でもライセンスを維持できる仕組みと言えます。

一方、BVIはタックスヘイブンの代名詞とも言える存在で、富裕層の資産隠しや脱税の温床になっているとの批判も根強くあります。

BVIFSCもマネーロンダリング対策や違法行為の監視には一定の力を入れており、疑わしい取引の報告徴求や、制裁対象者との取引禁止など、国際的なガイドラインに沿った規制は整備されているものの、FX業者の健全性確保という面では、きわめて脆弱なのが実情です。

レバレッジ規制やボーナス規制など、取引条件に関する規制は一切なく、顧客資産の分別管理についても、社内での口座分別すら義務化されていない状況です。

ライセンス取得後の監督も、ほぼ形骸化している印象が拭えません。

財務報告の提出義務はあるものの、虚偽の報告を見抜くだけの監督能力が伴っているとは言えません。

こうした規制の緩さから、BVIFSCライセンスを取得したFX業者をめぐっては、トレーダーとのトラブルが絶えないのが実情で、実際に、出金拒否や約定操作など、悪質な業者の存在が指摘され続けています。

紛争解決の仕組みも整っておらず、被害に遭ったトレーダーが泣き寝入りするケースも少なくありません。

IFSC(ベリーズ国際金融サービス委員会)

名称IFSC (ベリーズ国際金融サービス委員会)
役割ベリーズの金融機関の規制
設立年1999年
本拠地ベリーズ ベルモパン
要件・規制内容・分別管理の徹底義務
・月次報告義務
公式サイトhttps://www.ifsc.gov.bz

中米に位置する小国ベリーズは、1990年代からオフショア金融センターとしての地位を確立し、数多くの外資系金融機関を誘致してきました。

ベリーズで金融ライセンスを発行しているのが、ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)で、2002年の設立以来、銀行、保険、ファンド、FXなど幅広い金融事業者の監督を担っています。

ベリーズライセンスの申請には、最低資本金50万米ドルが要求されるほか、取締役会メンバーの経歴や事業計画の提出が義務付けられています。

ただし物理的な事務所をベリーズ国内に設ける必要はなく、実質的な運営をベリーズ国外で行うことも可能です。

また金融ライセンスと並んで、国際事業会社(IBC)としての法人登記も行えるため、匿名性の高いペーパーカンパニーの設立とライセンス取得を同時に済ませることができます。

一方、IFSCの規制内容を見ると、マネーロンダリング対策と違法行為の監視に主眼が置かれており、トレーダー保護に関する規制はほとんどありません。

FX業者に対しては、顧客資産の分別管理(ただし第三者機関ではなく社内での口座分別も可)と、月次ベースでの取引残高報告が義務付けられている程度で、レバレッジ規制やボーナス規制など、取引条件に踏み込んだ規定は設けられていません。

近年、ベリーズ当局はマネーロンダリング対策の国際基準への準拠を進め、OECDの「非協力的タックスヘイブン」リストから外れるなど、改善の兆しも見せ始めています。

IFSCもライセンス発行基準の引き上げに動いており、50万ドルの比較的高めな資本金要件はその表れと言えます。

FSA Seychelles(セーシェル金融サービス庁)

名称FSA Seychelles (セーシェル金融サービス庁)
役割セーシェルの金融市場の監督
設立年2003年
本拠地セーシェル ヴィクトリア
要件・規制内容特に厳しい規制なし
公式サイトhttps://fsaseychelles.sc

インド洋に浮かぶ島国セーシェルは、1990年代後半から国際的なオフショア金融センターとしての地位を確立してきました。

セーシェルで金融ライセンスを発行しているのが、セーシェル金融サービス庁(FSA)で、銀行や保険、証券、ミューチュアルファンドなど、幅広い金融事業者の監督を担っています。

セーシェルライセンスの申請には、最低資本金5万米ドルが要求されますが、他のオフショア地域と比べると、比較的緩やかな要件と言えます。

物理的な事務所をセーシェル国内に設ける必要もなく、ライセンス取得後の監督もほとんど行われないのが実情です。

セーシェル国内の金融機関に口座を開設し、最低資本金を預け入れることだけが義務付けられており、後は年1回の財務諸表提出を行えば、ライセンスを維持できる仕組みです。

一方、FSAの規制内容を見ると、トレーダー保護の視点はほとんど見当たりません。

レバレッジ規制やボーナス規制といった取引条件に関する制限は一切なく、顧客資産の分別管理についても、義務化されているのは社内での口座分別のみで、第三者機関との信託契約などは求められていません。

そもそも、ライセンス取得後の監督体制自体が脆弱で、提出された財務諸表の精査や、業者の運営実態の確認などは行われていないのが実情です。

FSAの職員数は非常に限られており、十分な監督能力が備わっているとは言い難い状況にあります。

こうした規制の緩さから、FSAライセンスを悪用した詐欺的なFX業者も後を絶たず、トレーダーからの評判は芳しくありません。

出金拒否やスプレッドの恣意的な拡大など、悪質な業者による被害が数多く報告されており、紛争解決の仕組みも整っていないため、泣き寝入りを強いられるケースが少なくないのが実情です。

また、セーシェルはFATF(マネーロンダリング対策の国際機関)から「マネロン対策が不十分」とされるなど、金融犯罪対策の面でもネガティブな評価を受けてきました。

資金洗浄の温床になっているとの指摘は根強く、オフショア金融センターとしての評判も芳しくありません。

FSAも国際社会からの要請を受け、2020年には法改正を行い、規制強化の動きを見せ始めました。

特に、ライセンス審査の厳格化や、監督部門の人員増強など、体制の強化に力を入れる方針を打ち出しています。

しかし、トレーダー保護の面では、まだ具体的なアクションは見られません。

VFSC(バヌアツ金融サービス委員会)

名称VFSC (バヌアツ金融サービス委員会)
役割バヌアツの金融機関の規制
設立年1993年
本拠地バヌアツ ポートビラ
要件・規制内容賠償責任保険の加入義務
公式サイトhttps://www.vfsc.vu

南太平洋の島国バヌアツは、1970年代から国際的なオフショア金融センターとしての地位を築いてきました。

バヌアツ金融サービス委員会(VFSC)は2010年に設立され、バンキング、保険、ミューチュアルファンド、オフショア事業法人など、幅広い金融事業者の監督を担っています。

バヌアツでFX業を営むには、VFSCからディーラーライセンスを取得する必要があります。

ライセンス申請の際、最低資本金の定めはありませんが、事業計画や取締役の経歴、マネーロンダリング対策などが審査の対象となります。

また取締役の少なくとも1名がバヌアツ国籍であることが求められます。

ライセンス取得後は年次の監査報告書提出が義務付けられるほか、VFSCによる立ち入り検査も行われますが、検査の頻度はそれほど高くなく、業者に対する監視の目は厳しいとは言えません。

規制内容の面でも緩めで、レバレッジ規制やボーナス規制など、取引条件を律するルールは特に設けられていません。

顧客資産の分別管理義務も、社内での口座分別のみが求められる程度で、第三者機関との信託契約などは義務化されていません。

VFSCも国際社会からの要請を受け、近年は規制強化の動きを見せ始めています。2017年には投資家保護の観点から、ライセンス発行基準の見直しに着手。

FX業者向けには、取締役の経験要件(金融業界での5年以上の経験)や、最低2人の取締役によるバヌアツへの年間90日以上の滞在義務などが追加されました。

また賠償責任保険への加入も義務化され、トレーダー保護の姿勢を打ち出しています。

加えて、国際的なマネロン対策の基準への準拠も進めるなど、オフショアとしての評判改善にも力を注ぐ方針を示しています。

SVGIBC(セントビンセント・グレナディーン金融庁)

名称SVGIBC (セントビンセント・グレナディーン金融庁)
役割セントビンセント・グレナディーンの金融監督
設立年1996年
本拠地セントビンセント キングスタウン
要件・規制内容登録業者の情報公開義務のみ
公式サイトhttps://svgfsa.com

カリブ海東部に位置する島国セントビンセント・グレナディーン(SVG)は、1990年代後半からオフショア金融センターとしての地位を高めてきました。

SVGの金融ライセンス発行機関としては、セントビンセント・グレナディーン金融庁(SVGFSA)が知られています。

しかし実際のところ、SVGFSAはFX業者向けの金融ライセンスを発行しておらず、SVGFSAのウェブサイトでも、以下のように明記されています。

The FSA does not issue any licenses to carry on the business of FOREX Trading or Brokerage or Binary Options Trading nor does the FSA “Regulate, Monitor, Supervise or License” international Business Companies (IBCs) which engage in such activities.

ALERT 1 of 2021 – Foreign Exchange (FOREX) Trading or Brokerage or Binary Options Trading – Financial Services Authority

(FSAは、外国為替取引、ブローカー業、またはバイナリーオプション取引の事業を行うためのライセンスを発行しません。また、FSAはそのような活動に従事する国際事業会社(IBC)を「規制、監視、監督、またはライセンス供与」しません。)

SVGFSAが発行しているのは、国際事業会社(IBC)の設立登記のみで、金融ライセンスとしての実体はありません。

それにもかかわらず、SVGFSAのライセンスを取得していると主張するFX業者は数多く存在します。

中には悪質な業者も少なくなく、SVGのタックスヘイブンとしての立場を利用して、違法行為を働いているケースも報告されています。

SVG当局もこうした実態を問題視しており、「SVGはFX業者へのライセンス発行は行っていない」との声明を公式に発表するとともに、ライセンスを謳う業者に対しては、無登録営業の疑いがあるとして、警鐘を鳴らしているのが実情です。

仮にSVGでIBCを設立し、名目上の”ライセンス”を取得していたとしても、それはFX業者としての実体を何ら保証するものではないのです。

SVG当局も国際社会からの要請を受け、徐々にではありますが金融規制の整備に乗り出してはいます。

2014年にはFATFとOECDの基準に則った新たなAML/CFT法(マネーロンダリング・テロ資金供与防止法)を施行して、金融機関に対する監督体制の強化を図っています。

ただし、こうした動きはあくまでマネロン対策が中心で、FX業者の健全性確保という観点からの規制は、いまだ手つかずと言わざるを得ません。

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この記事を書いた人

Kazuaki Obataのアバター Kazuaki Obata 合同会社WOZ代表

少年時代からFXを始め、今では株式投資から仮想通貨まで幅広くトレードしています。Web制作やアフィリエイトを本業としつつ、金融資産を増やすためトレードにも奮闘中!
トレード歴は8年以上。今まで使ってきたFX業者は延べ30社以上。

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