SEO時代の終焉?Googleの「AIモード」がもたらす”LLMO対策”の時代とは

先日、通勤電車の中でスマホを使って「冷え性対策グッズ」を検索していたときのことです。画面にはいつものように青いリンクがずらりと並んでいました。

あるサイトをタップして内容を確認し、別の視点も知りたくなって戻る。また別のサイトを開いて読み、また戻る。この繰り返しに「もっと効率よく情報がまとまっていればいいのに」と感じた経験、皆さんにもあるのではないでしょうか。

2025年3月5日、Googleは「AIモード」という新機能を発表しました。この機能を使うと、複雑な質問に対してAIがウェブ上の情報を集め、わかりやすい回答を生成してくれます。複数のサイトを行ったり来たりする手間が、大幅に省けるかもしれません。

「それって単なる検索機能の進化じゃないの?」

そう思われるかもしれません。しかし実際には、これまでのSEO(検索エンジン最適化)の常識を根底から覆す変化といえます。今回はこのAIモードがもたらす影響と、企業やマーケターが取るべき対策についてお伝えします。

筆者は15年以上デジタルマーケティングに携わってきましたが、今回の変化はGoogleアナリティクスの登場やモバイルファーストインデックスへの移行と同等、あるいはそれ以上の転換点だと感じています。

GoogleのAIモードによってSEOはどう変わるのか。今後どのような対策を取るべきなのか。できるだけわかりやすく解説していきます。

目次

AIモードとは何か?従来の検索との違い

「AI検索って、検索窓に質問を入れるだけでしょ?」と思われるかもしれません。たしかに操作自体は似ています。ただし、裏側で起きていることはまったく異なります。

従来の検索との違い

従来のGoogle検索では、キーワードに一致するページが一覧表示され、ユーザーはそれぞれのリンクをクリックして自分で情報を集めていました。たとえば「犬のしつけ方法」で検索すると、複数のサイトを見比べながら「これはうちの犬に合いそうだな」と自分で判断する流れです。

一方、AIモードでは「query fan-out(クエリ・ファンアウト)」という技術が使われています。これは、ユーザーの質問を複数の観点から分析し、さまざまな情報源から答えをまとめてくれる仕組みです。

たとえば「初めて犬を飼うときの注意点は?」と質問すると、AIは次のようなプロセスで回答を作成します。

  1. 犬種選び、住環境、準備するアイテム、健康管理など、複数の観点に質問を分解
  2. それぞれの観点について同時に情報を収集
  3. 収集した情報を整理して、わかりやすく回答

従来なら、こうした情報を得るために何十分もかけて複数のサイトを行き来する必要がありました。AIモードではその手間が省けるうえ、関連リンクや追加質問の提案もあるため、より深く調べたい場合もスムーズです。

AIモードの仕組み:Query Fan-Outの裏側

AIモードの革新性は「query fan-out(クエリ・ファンアウト)」という技術にあります。これはどのように動くのでしょうか。

友人との会話を想像してみてください。「東京でおすすめの観光スポットは?」と尋ねたとき、詳しい友人なら「目的によるね。歴史に興味があるなら浅草や明治神宮、ショッピングなら原宿や銀座、夜景なら東京スカイツリーや六本木ヒルズ…」と、多角的に答えてくれるはずです。

query fan-outは、まさにこの「詳しい友人」のように振る舞う技術です。

  1. 意図の分析:単なるキーワードマッチングではなく「この人は何を知りたいのか」という意図を推測します
  2. 複数視点への分解:質問をさまざまな側面から見て、必要な情報の観点をリストアップします
  3. 並列検索:それぞれの観点について、同時に検索を実行します
  4. 情報の統合:集めた情報から矛盾や重複を排除し、論理的に整理します
  5. 回答の生成:ユーザーにとって理解しやすい形で回答を提示します

具体的には「妊娠中の食事制限」という検索では、query fan-outによって「避けるべき食品」「必要な栄養素」「つわり対策の食事」「妊娠時期別の注意点」といった複数の観点から情報を集め、それらを統合した回答が作成されます。

従来の「AI Overviews」機能は、主にシンプルな質問に対する概要を提供するものでした。それに対してAIモードは、より複雑で多角的な質問に応えるよう設計されています。複数のステップを含む質問や、比較検討が必要な問いに特に威力を発揮するでしょう。

LLMO(大規模言語モデル最適化)とは何か

SEOという言葉は、すでに多くの方がご存じでしょう。「検索エンジン最適化」のことで、Googleで検索したときに自社のウェブサイトを上位に表示させるための取り組みです。

では「LLMO」とは何でしょうか。これは「Large Language Model Optimization(大規模言語モデル最適化)」の略です。わかりやすく言えば、AIが作る回答の中に自社ブランドや製品を登場させるための最適化を指します。

ここでいう「大規模言語モデル(LLM)」とは、ChatGPTやGoogle Geminiのような、膨大なテキストデータを学習して人間のような文章を生成できるAIのことです。

なぜLLMOが重要なのか

想像してみてください。「髪の毛のツヤを出すシャンプーのおすすめは?」とAIに質問したとします。AIは回答の中でいくつかのブランド名を挙げるでしょう。その中に自社製品が含まれるかどうかが、これからの企業にとって重要な問題になりつつあります。

2024年以降、ChatGPTなどのAIチャットサービスは急速に普及しました。その結果、「検索する」のではなく「AIに質問する」という行動パターンが広がっています。

筆者も先日、「Pythonが学べるプログラミング教室のおすすめは?」とChatGPTに聞いてみました。そこで紹介されたサービスだけを詳しく調べ、リスト外のサービスはほとんど見ませんでした。

つまり、AI回答に登場するかどうかが、ビジネスの成否を左右する要素になりつつあるのです。

SEOとLLMOの根本的な違い

SEOとLLMOは似ているようで、根本的なアプローチが異なります。

SEOの場合LLMOの場合
目標検索結果の上位表示AIの回答文中での言及
方法キーワード最適化
バックリンク構築
サイト速度改善など
ブランドとトピックの関連付け
権威性の確立
参照されやすいコンテンツ制作など
評価指標順位
クリック率
滞在時間など
AI回答での言及頻度
言及位置
評価内容など
フォーカス自社サイトそのものの最適化ブランドの全体的な評価や露出度向上

従来のSEOではサイト訪問が最終目標でした。一方、LLMOでは「AIの回答内でポジティブに言及される」こと自体が重要になります。ユーザーがAI回答だけで満足し、サイトを訪問しないケースも増えているためです。

AIモードが変える検索体験:具体例で見てみよう

AIモードがどのように検索体験を変えるのか、具体例で見ていきましょう。

例1:複雑な概念を理解したい場合

従来の検索

「メタバースとは何か」で検索すると、さまざまなサイトが表示されます。それぞれ少しずつ異なる説明があり、全体像を把握するのに時間がかかります。

AIモード

同じ質問をすると、AIは「仮想現実と現実世界が融合したデジタル空間」という基本説明から始め、技術的な背景、活用事例、懸念点などを体系的にまとめてくれます。「メタバースのビジネス活用事例が知りたい」といったフォローアップ質問もしやすくなります。

例2:選択肢を比較したい場合

従来の検索

「Xperia vs iPhone 性能比較」と検索すると、さまざまな比較サイトが表示されます。しかし、それぞれ視点が異なり、情報が断片的です。

AIモード

同じ質問をすると、AIはカメラ性能、バッテリー持続時間、処理速度、価格帯など、さまざまな観点から比較した回答を生成します。自分の使い方に合った選択をしやすくなります。

例3:段階的な作業を理解したい場合

従来の検索

「自宅でパンを作る方法」を検索すると、レシピサイトが複数表示されます。材料リスト、作り方、コツなどを別々に確認する必要があります。

AIモード

同じ質問に対して、AIは材料の準備から発酵、成形、焼成まで一連の流れを段階的に説明します。さらに初心者がつまずきやすいポイントや、アレンジ方法までカバーしてくれます。「全粒粉を使うとどうなる?」といったフォローアップも自然にできます。

例4:地域情報を集めたい場合

従来の検索

「京都 週末 観光プラン 家族」と検索すると、旅行ブログや観光サイトが表示されます。ただし、それぞれに断片的な情報があり、全体像を把握するには複数サイトを確認する必要があります。

AIモード

同じ質問に対して、AIは季節や天候を考慮した2日間のモデルプランを提案します。家族向けのスポット、食事場所、移動手段まで網羅した回答が得られます。「雨が降った場合の代替案」や「子ども向けの体験スポット」といった追加質問も簡単です。

このように、AIモードは単なる情報収集を超えて「理解の手助け」や「意思決定のサポート」まで担ってくれます。情報収集の行動そのものが根本から変わる可能性を秘めているといえるでしょう。

SEOからLLMOへ:何が変わるのか

LLMOの登場により、企業のデジタルマーケティング戦略は大きく変わることになります。

従来のSEOとLLMOの違い

まずは、従来のSEOとLLMOの施策の違いを押さえておきましょう。

SEO

検索結果で上位表示させるために、特定のキーワードを狙ったコンテンツ作りやウェブサイトの技術的最適化が中心でした。

たとえば「東京 格安ホテル」というキーワードで上位表示を狙うために、タイトルやメタディスクリプション、本文中にこのキーワードを適切に配置するといった対策です。

LLMO

AIが生成する回答文の中でブランドや製品が言及されることを目指します。単なるキーワードではなく「特定のトピックとブランドの関連性」を高める幅広い取り組みが必要です。

たとえば予算重視の旅行者向けホテルであれば、「格安」「コスパ」「バジェット」というコンセプトと自社ブランドを、さまざまなチャネルで結びつける施策が求められます。

購買行動の変化:実例で考える

では、顧客の購買行動はどのように変わるのでしょうか。「ノイズキャンセリングイヤホン」の購入を例に比べてみます。

従来の購買行動

  1. 「ノイズキャンセリングイヤホン おすすめ」で検索
  2. 複数の比較サイトや口コミサイトを閲覧
  3. 気になる製品の公式サイトを確認
  4. 価格比較サイトで最安値を探す
  5. 購入を決める

AI時代の購買行動

  1. 「通勤中に使えるノイズキャンセリングイヤホンで、音質が良くて5万円以内のものを教えて」とAIに質問
  2. AIが数種類のイヤホンを提案し、それぞれの特徴を説明
  3. AIの回答の中で最も自分のニーズに合う製品を選び、公式サイトを確認
  4. 購入を決定

この変化で最も重要なのはステップ2です。従来なら自分で情報を集めて比較していたユーザーが、AIの提案に基づいて選択肢を絞るようになります。自社製品がAIの回答に含まれなければ、検討すらされない可能性が高いのです。

ZMOTとAIの関係

Googleが提唱したZMOT(Zero Moment of Truth)という概念があります。これは「購入前の情報収集段階」を指すマーケティング用語です。消費者が店舗に行く前に、ネットで情報を集めて購買判断を行う瞬間のことを表しています。

AIの普及により、このZMOTがよりスムーズになる一方で、AIに推奨されないブランドは見向きもされなくなるリスクがあります。

たとえば、新しい掃除機を買おうとしている主婦が「ペットの毛に強い軽量掃除機」とAIに質問したとしましょう。AIが提案する3〜5のブランドだけが実質的な選択肢になります。AIがあなたのブランドに触れなければ、その主婦はあなたの製品を知る機会すら得られないかもしれません。

マーケティングの観点からは大きな変化です。「消費者の検討リストに入る」ための戦いが、「検索結果」から「AI回答」へと移行しつつあります。

LLMO対策の実践:ブランドをAI回答に登場させるには

では、企業はどうすればAIの回答に自社製品やサービスを登場させられるのでしょうか。具体的な戦略を見ていきます。

まずは従来のSEOも大切に

「LLMO時代になったからSEOはもう古い」と考えるのは早計です。

実は多くのAIは検索上位のコンテンツを参照する傾向があります。SEO対策をおろそかにせず、質の高いコンテンツで上位表示を狙うことは引き続き重要です。

調査によると、検索結果で上位に表示されるサイトほどAIの回答に含まれる可能性が高いという相関関係(相関係数0.65程度)が確認されています。

具体的には、以下のような従来型SEO対策を継続しましょう。

LLMO時代でも大切な対策
  • E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視したコンテンツ作成
  • モバイルフレンドリーな設計
  • コアウェブバイタル(ページ読み込み速度などの指標)の最適化
  • 質の高いバックリンク獲得
  • スキーママークアップ(検索エンジンが内容を理解しやすくする構造化データ)の実装

権威性と具体性を高める

「ハーバード大学の研究によると…」「2024年の調査では35%のユーザーが…」といった具体的なデータや権威ある引用を含むコンテンツは、AIに取り上げられやすくなります。

実際の例を見てみましょう。

具体性に欠ける表現
「私たちのシャンプーは髪にやさしく、多くの人に人気です。」

具体性と権威性を持った表現
「2024年の独立研究機関による調査では、当社のシャンプーを使用した参加者の87%が4週間で髪のダメージが42%減少したと報告しています。また、皮膚科学会の発表によると、当社が開発した特許技術『ProtectPlus』は、一般的なシャンプーと比較して頭皮への刺激が65%少ないことが確認されています。」

あいまいな表現ではなく、根拠のある定量データを多用することで、AIから「信頼できる情報源」と見なされる可能性が高まります。数字、日付、具体的な名称を意識して使いましょう。

ブランドとトピックを結びつける

家具ブランド「Herman Miller」は「人間工学(ergonomics)」というトピックに関連した記事やPRを積極的に展開してきました。その結果、「姿勢改善によい椅子は?」という質問に対してAIがこのブランドを推奨するようになったといわれています。

自社ブランドと特定のトピックを結びつける継続的な取り組みが、AI時代のブランディングでは欠かせません。

ブランドとトピックを結びつけるステップ
  • 自社ブランドが専門性を持つ(または持ちたい)トピックを特定する
  • そのトピックに関連するオリジナルコンテンツを継続的に作成する
  • 業界メディアやニュースサイトに専門家として登場する機会を増やす
  • SNSでも一貫してそのトピックに関する発信を続ける
  • Wikipediaなど権威あるサイトで当該トピックに関連して言及されるよう働きかける

たとえば、あるスキンケアブランドが「肌バリア機能」というトピックで専門性を示したい場合を考えてみましょう。自社サイトでの詳細な解説記事だけでなく、医学誌への寄稿、皮膚科医とのコラボセミナー、SNSでの啓発活動など、さまざまな角度からこのトピックとブランドを紐づける活動が有効です。

UGC(ユーザー生成コンテンツ)での露出を増やす

AIはRedditなどのユーザー生成コンテンツから多くを学習しているため、こうしたプラットフォームで自然に言及される機会を増やすことも効果的です。

ただし、露骨な宣伝は逆効果になります。本当に価値のある情報を提供し、コミュニティに貢献する姿勢が大切です。たとえばRedditのAMA(Ask Me Anything:何でも質問して)などに専門家として参加するのもよいでしょう。

効果的なUGC戦略
  • 業界関連のRedditサブレディットで専門知識を共有する
  • Quoraなどの質問サイトで質の高い回答を提供する
  • Stack Overflowなど専門コミュニティでの活動(IT関連企業の場合)
  • ユーザーによるレビューやテスト動画の作成を促進する
  • ハッシュタグキャンペーンなど、ユーザーが自社製品について語る機会を作る

たとえばカメラメーカーであれば、写真愛好家向けのフォーラムで技術的なアドバイスを提供したり、ユーザーの作品を称賛したりする活動が、コミュニティ内での信頼獲得につながります。

Wikipediaとナレッジグラフの活用

多くのLLMはWikipediaを重要な情報源として学習しています。自社や自社製品に関するWikipediaページが正確で充実していることは、AIがブランドを正しく認識するうえで重要です。

ただし、Wikipediaには厳格な中立性のルールがあるため、単に宣伝目的で記事を作成・編集することはできません。以下のようなアプローチが推奨されます。

Wikipediaの活用例
  • 自社に関する既存のWikipedia記事を確認し、事実誤認があれば適切に訂正する
  • 事実に基づく客観的な情報(歴史、製品ラインナップ、技術的特徴など)を追加する
  • 信頼できる第三者情報源からの引用を適切に付ける
  • 直接編集するよりも、WikipediaコミュニティのTalk:ページを通じて提案する

また、Googleのナレッジグラフにブランド情報が正しく登録されていることも重要です。ナレッジグラフとは、GoogleのAIが物事を「理解」するための基盤となるデータベースのことです。

自社のナレッジパネル(Googleで企業名を検索した際に右側に表示される情報ボックス)が正確で最新の情報を示すよう、Google Business Profileを適切に管理しましょう。

専門的なデータや研究の発表

AIは、特に専門性の高い情報や独自の研究データを持つブランドを重視する傾向があります。自社で実施した調査結果や研究データを公開することで、AIから参照される価値のある情報源として認識されやすくなります。

AI参照を意識したデータ発表
  • 業界関連のトレンドレポートや調査結果を定期的に発表する
  • 自社製品やサービスに関する効果測定や比較データを公開する
  • ホワイトペーパーや技術解説書を作成し、広く共有する
  • 業界カンファレンスでの発表や学術誌への投稿を行う

たとえば、あるサプリメントブランドが「ビタミンDと睡眠の質」についての独自研究を実施し、その結果を詳細なレポートとして発表したとします。これにより「睡眠改善 サプリメント」といった質問に対するAIの回答で言及される可能性が高まります。


AIモードによるトラフィック変化と計測方法

AIモードの普及により、ウェブトラフィックの流れは大きく変わるでしょう。「検索結果→サイトクリック」という従来のルートだけでなく、「AI回答→引用リンク→サイトクリック」という新しいルートも重要になります。

トラフィックパターンの変化予測

AI検索の普及により、以下のようなトラフィックパターンの変化が予想されます。

  1. 検索結果クリック数の減少:ユーザーがAI回答で必要な情報を得るケースが増え、通常の検索結果をクリックする頻度が低下する可能性があります
  2. AI回答からの直接トラフィック増加:AI回答内のリンクを経由したサイト訪問が、新たなトラフィックソースとなります
  3. 訪問の質の変化:AI回答で基本情報を得た上でサイトを訪問するため、より目的が明確でコンバージョン率が高い訪問が増える可能性があります
  4. 情報系キーワードのトラフィック減少:「〇〇とは」「〇〇の方法」といった情報探索的なクエリからのトラフィックが特に減少する可能性があります

たとえば「糖質制限ダイエットの方法」という検索では、従来ならさまざまなサイトを訪問していたユーザーが、AI回答で十分な情報を得て満足し、サイト訪問に至らないケースが増えるでしょう。

一方、「糖質制限レシピ」というより具体的なニーズでは、AI回答からの関連リンクをクリックする可能性が高まります。

トラフィック計測の新たな課題

PerplexityやBing Chatなど一部のAIサービスでは、AIからのリンククリックが「referrer = ai_chat」のようにアナリティクスに記録されます。ただし、すべてのAIサービスがこうした情報を提供するわけではありません。

Google Analytics 4(GA4)やLooker Studioを活用すれば、特定のリファラーを追跡してAI経由のトラフィックを分析できます。今後は従来の「オーガニック検索」に加えて「AI経由流入」という新たな指標が重要になるでしょう。

GA4でのAIトラフィック計測設定手順

STEP
カスタムディメンションの作成
  • GA4の管理画面で「カスタムディメンション」を選択
  • 「新しいカスタムディメンション」をクリック
  • 名前を「AI紹介元」などと設定
  • スコープを「セッション」に設定
  • イベントパラメータに「ai_source」と入力
STEP
イベントタグの設定

GoogleタグマネージャーでAI由来のリファラーを識別するタグを設定します。

function() { var referrer = document.referrer; var aiSources = { 'perplexity.ai': 'Perplexity', 'bing.com/chat': 'Bing Chat', 'bard.google.com': 'Google Bard', 'claude.ai': 'Claude' // 他のAIサービスも追加可能 }; for (var domain in aiSources) { if (referrer.indexOf(domain) !== -1) { return aiSources[domain]; } } return 'not_ai'; }
STEP
レポートの作成
  • GA4のエクスプローラーで新しいレポートを作成
  • ディメンションに「AI紹介元」を追加
  • 指標に「セッション数」「コンバージョン数」などを設定

このような設定により、どのAIサービスからどれだけのトラフィックが来ているか、そのトラフィックの質(コンバージョン率など)はどうかを分析できるようになります。

AI経由トラフィックのトレンド監視

AI経由のトラフィックを継続的に監視することで、どのAIサービスからのトラフィックが増減しているか、AIトラフィックと検索トラフィックの割合変化などが把握できるようになります。

AIからの訪問者の行動パターン(滞在時間、ページ閲覧数など)の特徴も見えてきます。こうした情報を収集することで、コンテンツ戦略やLLMO対策の効果測定に役立てられます。

たとえば、特定のコンテンツ強化後にAI由来トラフィックが増加したら、その施策が効果的だったと判断でき、次回からのコンテンツ作成に活かせます。

LLMOで成果を挙げている企業の例

LLMOで成果を上げている企業の具体例を見てみましょう。

Herman Miller:トピックとブランドの紐づけ

先ほども触れましたが、Herman Millerは「人間工学」に関連する情報発信を徹底し、「姿勢改善」という文脈で評価される基盤を築きました。特定のトピックで「専門家」と見なされることがLLMOの鍵です。

Herman Millerの具体的な施策
  • 社内の人間工学専門家によるウェビナーの実施
  • 学術研究機関との共同研究と結果の公表
  • オフィス環境と健康に関する大規模調査の実施と公開
  • 専門誌での定期的な記事寄稿
  • 「姿勢と健康」に関するデジタルツールの無料提供

こうした活動により「人間工学」と「Herman Miller」の関連性がさまざまな情報源で強化され、AIがこの関連性を学習する結果につながりました。

Mayo Clinic:権威あるヘルスコンテンツの展開

アメリカの医療機関Mayo Clinicは、健康関連の質問に対するAIの回答で頻繁に言及されています。

Mayo Clinicの具体的な施策
  • 医学的に正確で最新の健康情報を豊富に提供
  • 専門家による査読プロセスを経たコンテンツ作成
  • 症状、疾患、治療法に関する包括的なデータベース構築
  • 複雑な医学情報をわかりやすく説明する独自のアプローチ
  • 学術的な権威性と一般向けのわかりやすさの両立

Mayo Clinicの例は「正確で信頼性の高い情報を提供し続ける」ことの重要性を示しています。AIは信頼性の高い情報源を優先する傾向があるため、自社の専門分野で第一級の情報源になることが重要です。

Wirecutter(New York Times):徹底した製品テストと透明性

製品レビューサイトのWirecutterは、「〇〇 おすすめ」といった質問に対するAI回答で登場することが多いサイトです。

WirecutterがAIに参照されやすい理由
  • 数百時間にわたる徹底的な製品テスト
  • 明確な評価基準と透明性のある選定プロセス
  • 具体的なデータと測定結果に基づく評価
  • 利益相反を避けるための厳格な編集方針
  • 長期テストによる継続的な情報更新

Wirecutterの例は「具体的なデータと透明性」がLLMOにおいて効果的であることを示しています。あいまいな表現や根拠のない主張ではなく、検証可能な事実や数値に基づいた情報提供がAIの信頼を得るポイントです。

権威性あるコンテンツの効果

GEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)の調査によると、権威性のある引用を明示したコンテンツはAIの回答での可視性が約40%向上したという結果が出ています。同様に、具体的な統計データを使ったコンテンツでは約30%の向上が見られました。

たとえば、同じトピックの記事でも「多くの人が効果を実感しています」というあいまいな表現よりも、「ハーバード大学の2023年の研究では、被験者の78%が8週間以内に効果を実感した」という具体的な引用がある記事のほうが、AIに引用される可能性が高いのです。

SEOランキングとの相関関係

Seer Interactiveが金融業界とSaaS業界の主要ブランドを対象に実施した研究では、Googleの検索結果上位にランクインしているサイトほどAI回答への言及率が高いという相関関係が確認されています。

とくに興味深いのは、検索結果1〜3位にランクインしているサイトは、4〜10位のサイトと比較して2倍以上AI回答に言及される傾向があるという点です。「良質なSEO対策がLLMOにも貢献する」ことを強く示唆しています。

AI時代におけるブランド保護と新たなリスク

AIの普及により、ブランドは新たなリスクにも直面します。自社の評判やブランド価値を守るための対策も考えておく必要があります。

LLMの誤情報リスク

AIが生成する回答の中で、自社ブランドについて誤った情報や中傷的な内容が含まれるリスクがあります。

たとえば以下のようなケースです。

  • すでに廃止された古い製品を現行製品として紹介される
  • 誤った価格や仕様情報が伝えられる
  • 環境問題や労働条件など、社会的責任に関する誤情報
  • 競合他社と混同された情報

さらに懸念されるのは、競合他社がブラックハット手法を使って意図的に否定的な情報をAIに学習させるケースです。たとえば、偽の評価サイトを大量に作成し、特定のキーワードと否定的な評価を結びつけるといった手法が考えられます。

ブランド保護の対策:モニタリングと是正

AI時代において自身のブランドを保護するために、考えられる対策は以下のようなものがあります。

  1. AI回答の定期的なモニタリング
    • 主要なAIサービス(ChatGPT、Bing Chat、Geminiなど)で自社ブランドに関連するクエリを定期的に実行し、回答内容をチェック
    • ブランド名、製品名、業界キーワードなどの組み合わせで広範囲にテスト
    • 競合他社と比較されるような質問も含める
  2. 対応フローの整備
    • 誤情報を発見した場合の社内報告ルートを確立
    • 重大度に応じたエスカレーションプロセスの設定
    • 法務部門と連携した対応判断の仕組み作り
  3. 誤情報に対する是正
    • 誤情報がWikipediaなど特定のソースに由来する場合は、そのソースの修正を依頼
    • AIサービス提供企業への報告チャネルを把握し、深刻な誤りは直接報告
    • 公式サイト上で明確な事実情報を強化し、AIが参照しやすいよう構造化データを充実させる
  4. 誤情報の予防
    • 商品の発売・終了情報を明確に記録したページを維持
    • よくある誤解や質問に対する公式回答を用意
    • ネガティブなトピックも隠さず、事実に基づいて透明性を持って対応

たとえば、あるスマートフォンメーカーが「バッテリー爆発問題」という過去の事故に関してAIが不正確な情報を伝えているのを発見した場合、公式サイトに正確な経緯と対応状況を明記したページを作成し、問題の範囲(特定のモデルと製造期間)を明確にすることで、AIが参照できる正確な情報源を提供できます。

ブラックハット対策と監視の重要性

悪意あるSEOテクニックと同様に、LLMの回答を操作しようとするブラックハット手法は今後増加すると予想されます。とくに注意すべきは以下のような被害です。

  • 偽の評価サイトによる風評被害
  • 悪意ある「戦略的テキストシーケンス」の埋め込み
  • 特定の質問パターンでネガティブな回答を誘導する手法

こうした攻撃から身を守るためには、通常のブランド保護と同様に定期的な監視と迅速な対策が大切です。

また、自社の公式情報を充実させて権威あるソースとしてAIから認められることによって、誤情報の影響を最小限に抑える効果も期待できます。

まとめ:SEOからLLMOへの転換期を生き抜くために

GoogleのAIモードは、単なる検索機能の進化ではありません。デジタルマーケティングの常識を根本から変える転換点といえます。

従来のSEO時代では「検索結果で上位表示されること」が最優先でした。一方、LLMO時代では「AIの回答にどう登場するか」が勝負を分けます。

求められるのは単なるキーワード最適化ではありません。ブランドと特定トピックの紐づけ、権威性の構築、具体的なデータの提供など、より本質的な「価値の提供」が必要になっています。

LLMO時代を勝ち抜くための5つのポイント

  1. SEOの基盤強化を怠らない:良質なSEO対策はLLMOにも好影響を与えます。検索上位表示と質の高いコンテンツは、AIの参照確率を高めます
  2. ブランドとトピックの紐づけを強化する:自社が専門性を持ちたいトピックを特定し、そのトピックと自社ブランドの関連性を高める継続的な取り組みが必要です
  3. 権威性と具体性を重視したコンテンツを作成する:具体的なデータ、第三者の研究結果、明確な数値など、AIが信頼できると判断する情報を提供しましょう
  4. UGCプラットフォームでの評判を高める:RedditやQuoraなどユーザー生成コンテンツサイトでの自然な言及を増やす取り組みも効果的です
  5. AI回答の継続的なモニタリングと改善:自社ブランドに関するAI回答を定期的にチェックし、誤情報があれば修正を働きかけるプロセスを確立しましょう

事例から学ぶLLMO成功のカギ

筆者は先日、「初心者向けの家庭菜園の始め方」をAIに尋ねてみました。その回答には、単に知名度の高い園芸ブランドやショップだけでなく、「初心者でも育てやすい」「失敗しにくい」というコンセプトを明確に打ち出しているメーカーや専門家のサイトが紹介されていました。

また先月「集中力を高める方法」について質問したところ、ある心理学研究所が開発した具体的なメソッドが提示されました。その研究所は長年、集中力に関する科学的研究を続けており、公式サイトでわかりやすい解説記事や動画を多数公開していることがわかりました。

AIは単なる知名度や表面的な人気ではなく、ユーザーにとっての実質的な価値を評価するようになってきています。LLMO時代において重要なのは、「AIが評価する真の価値」を作り出し、発信し続けることなのかもしれません。

最後に:変化を恐れず、チャンスと捉える

この大きな変化に不安を感じる方も多いかもしれません。

ただし、過去を振り返ってみてください。検索エンジンが生まれた時、スマートフォンが広まった時、SNSが台頭した時。あらゆる時代の変わり目には、必ず成功する人と取り残される人が現れました。成功するのは変化を怖がらず、時代の流れをいち早くキャッチして柔軟に適応していく人や企業です。

筆者たちは今まさに「SEOの時代」から「LLMOの時代」へと、大きな転換期を迎えています。この変化をチャンスととらえ、新しい時代のマーケティングにチャレンジしていきましょう。

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この記事を書いた人

小畑和彰のアバター 小畑和彰 合同会社WOZ 代表

1999年神奈川県三浦市生まれ、東京都目黒区在住。2016年にフリーランスとしてWebサイト運営・アフィリエイト事業を開始し、2020年には合同会社WOZを設立。高校・大学へは進学せず中卒ながらも、デジタルガジェットや投資分野などニッチ領域を攻略して高収益率を実現。現在はFX・仮想通貨分野に注力し、独自の視点と戦略を武器に事業を拡大中。

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