米国債のレバレッジETF比較|TMF・TMV・TBTの違いと金利局面での使い分け【2026年最新】

「米国の長期金利が上がるのか下がるのか、その見通しを大きな値幅で取りにいきたい」「TMF・TMV・TBTの違いと、いまの金利環境でどれを選べばいいのかがわからない」

WOZ mediaでは、米国債のレバレッジETFであるTMF(ブル3倍)・TMV(ベア3倍)・TBT(ベア2倍)を、方向・倍率・コスト・国内の取扱・2026年の実績で比較します。2026年9月は利上げで米長期金利が約20年ぶりの高水準となり、3本の明暗がはっきり分かれました。

結論から言うと、金利低下を見込むならTMF、金利上昇を見込むならTMVが国内で買える選択肢です。TBTは国内の主要ネット証券8社で取扱がなく、3本とも長期保有には向きません。

この記事でわかること
  • TMF・TMV・TBTの方向・倍率・コスト・国内取扱の違い
  • 金利が0.1%動いたときの値動きの目安(デュレーション早見表)
  • 2026年の利上げと長期金利の上昇で3本がどう動いたか
  • 利下げ局面・利上げ局面・横ばい局面での使い分け
  • 国内で買えないTBTの代わりにTMVを使うときの金額の目安
  • 3本を買える証券会社と手数料・為替コスト

レバレッジ型ETF・インバース型ETFは、一般的なインデックスETFよりも価格変動リスクが大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。米国債のレバレッジETFは、金利のわずかな変化でも価格が大きく動きます。投資判断は、各ETFの目論見書、運用会社の公式情報、各証券会社の取扱状況・手数料・為替コスト・リスク説明を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

この記事の目次

結論:米国債レバレッジETFは「金利の方向」と「倍率」で選ぶ

米国債レバレッジETFの3本は、どれも同じ米国20年超国債の指数(ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Index)に日次で連動します。違いは、金利が動いたときに上がるか下がるかと、その倍率だけです。

金利の見通し候補国内の取扱向いている局面
長期金利が下がるTMF(+3倍)8社すべて利下げ観測・景気後退・株安で国債が買われる
長期金利が上がるTMV(−3倍)8社すべてインフレ再加速・追加利上げ・国債の需給悪化
上がるが値幅は抑えたいTBT(−2倍)取扱なし国内ではTMVを3分の2の金額で代用(詳しく)
方向感がない見送り—往復相場では3本とも目減りしやすい

選び方の軸は「金利低下ならTMF、金利上昇ならTMV」です。2026年9月はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げと長期金利の上昇で、TMFが52週安値、TMVとTBTが52週高値圏と明暗が分かれました。

金利が逆に動けば損益も逆転するため、見通しと撤退ラインをセットで決めてから使うのが前提です(詳細は金利局面別の使い分け)。方向を決めきれないときは見送るか、1倍のTLT(米国20年超国債ETF)で金利と債券価格の関係に慣れておくのも選択肢です。

TMF・TMV・TBTの比較表【米国債レバレッジETF3本+TLT】

債券のレバレッジETFを選ぶときに確認したい項目を、1つの表にまとめました。参考として、同じ指数に連動する1倍のTLT(iShares 20+ Year Treasury Bond ETF)も載せています。3本に共通するのは、日次リセット型で分配金は四半期ごと、NISAの対象外という点です。

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ティッカー運用会社倍率金利が上がると経費率純資産平均出来高(1日)分配金利回り国内の取扱
TMFDirexion+3倍下がる0.90%約20.5億ドル約475万〜543万株約5.1%8社すべて
TMVDirexion−3倍上がる0.97%約2.3億ドル約95万〜125万株約2.0%8社すべて
TBTProShares−2倍上がる0.93%約3.4億ドル約31万〜32万株約2.2〜2.5%取扱なし
TLT(参考)iShares1倍下がる0.15%約458億ドル約3,700万株約4.9%SBI・楽天など

経費率は費用免除後の値で、TMFの総経費率は1.01%(免除は2027年9月1日まで)です。TMF・TMVは2026年2月27日付、TBTは2026年9月28日付の目論見書に基づきます。純資産・出来高(直近1〜3カ月平均)・分配金利回り(直近12カ月)は2026年9月25日前後の値です。

米国債ETFの3倍型はTMFとTMVの2本で、経費率はTLTの約6倍です。Direxionのファクトシートによると、経費の上限契約ではスワップの資金調達コストなどが対象外で、これらを含めると費用はさらに高くなります。金利上昇で値上がりするETFはTMVとTBTですが、国内で買えるのはTMVだけです。

1倍のTLTは毎月分配で、平均最終利回りは5.55%です(2026年9月25日時点)。利息を受け取りながら長く持つならTLT、短期で金利の動きを取りにいくならレバレッジ型と、役割がはっきり異なります。

日次リセットとは?
レバレッジETFが1日ごとに倍率を計算し直す仕組みです。毎日その日の価格を基準に3倍(または−3倍・−2倍)を目指すため、2営業日以上保有すると累積リターンは「指数×倍率」と一致しなくなります。

TMFとTMVの違い:方向が逆で、規模は約9倍

TMFとTMVはどちらもDirexionの商品で、連動する指数も同じです。金利が下がる(債券価格が上がる)とTMF、金利が上がるとTMVが値上がりする、正反対の関係にあります。

純資産はTMFがTMVの約9倍で、出来高もTMFのほうが多く売買しやすい銘柄です。2026年9月25日付の保有明細では、TMFはTLTの現物(純資産の約68%)とTLTを対象にしたスワップ(約232%)で、合計約300%の持ち高を作っていました。TMVはTLTのスワップで約−300%です。

つまり2本の値動きは「TLTの値動き×3倍(TMVはマイナス3倍)」が土台です。次の章では、TLTのデュレーションを使って値動きの目安を計算します。

スワップとは?
金融機関と結ぶ、TLTの値動き(利息を含む)と短期金利を交換する契約です。現物を買い増さなくても3倍や−3倍の持ち高を作れる一方、短期金利の受け払いがリターンに影響します。

金利が0.1%動くと何%動く?デュレーションで見る値動きの目安

債券の価格は金利と逆に動きます。金利が上がると利率の低い既発債の魅力が下がって価格が下落し、金利が下がると価格は上がります。

デュレーションとは?
金利が1%変化したときに、債券価格がおよそ何%動くかを示す目安です。単位は「年」で、満期までの期間が長い債券ほど大きくなります。

TLTの実効デュレーションは14.84年です(2026年9月25日時点・iShares公表値)。値動きの目安は「デュレーション×金利の変化幅×倍率」で計算でき、編集部が3本とTLTについて早見表にしました。

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20年超国債の利回り変化(1日)TLT(1倍)TMF(+3倍)TMV(−3倍)TBT(−2倍)
−0.25%+3.7%+11.1%−11.1%−7.4%
−0.10%+1.5%+4.5%−4.5%−3.0%
−0.05%+0.7%+2.2%−2.2%−1.5%
+0.05%−0.7%−2.2%+2.2%+1.5%
+0.10%−1.5%−4.5%+4.5%+3.0%
+0.25%−3.7%−11.1%+11.1%+7.4%
2026年の実績(+0.10%あたり)−1.4%−4.2%+4.2%+2.9%

最下段は、2026年1〜9月の183営業日で20年債利回りの変化と各ETFの騰落率(終値)の関係を編集部が計算した結果で、理論値とほぼ一致しました。1日で0.10%以上動いた日は6日あり、最大の3月20日(+0.15%)はTMF −5.7%、TMV +5.8%、TBT +3.8%でした。

2日続けて動いた例では、20年債利回りが合計0.20%上がった9月23〜24日に、TMF −8.4%、TMV +8.7%、TBT +5.5%でした。早見表から計算した値(TMF −8.9%、TMV +8.9%、TBT +5.9%)に近い動きです。

早見表は撤退ラインを決めるときにも使えます。逆行してよい利回りの幅は「許容できる損失率÷(デュレーション×倍率)」で求められ、損失を10%までに抑えるならTMF・TMVは約0.22%、TBTは約0.34%が目安です。

ただし早見表は1日単位の概算です。数日かけて動いた場合は日次リセットの影響で一致せず、金利が大きく動くとデュレーション自体も変わります。

2026年の利上げ・長期金利上昇でTMF・TMV・TBTはどう動いたか

FRBは2026年9月16日に政策金利を0.25%引き上げて3.75〜4.00%とし(2023年以来の利上げ)、年内の追加利上げも示唆しました。次回FOMC(米連邦公開市場委員会)は10月27〜28日です。

長期金利も上がり、9月25日の米10年債利回りは5.17%(2007年以来の高水準)、20年債は5.54%と2026年の最高水準です。30年債は9月24日に一時5.50%と、2004年以来の水準に達しました。きっかけは23日発表の9月の米PMI(購買担当者景気指数)が予想を大きく上回り、エネルギー高によるインフレ懸念が強まったことです。

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期間20年債利回りTLTTMFTMVTBT
年初来(2025年末→9月25日)4.79%→5.54%−9.0%−27.1%+26.8%+17.1%
上昇トレンド(6月24日→9月25日)4.87%→5.54%−9.2%−25.9%+31.5%+20.1%
往復・横ばい(1月20日→6月24日)4.87%→4.87%+0.8%+0.9%−5.8%−3.8%

終値ベース(分配金を含まない)で、利回りは米財務省、価格はYahoo Financeのデータから編集部が計算しました。分配金込みの年初来は、TLT −6.2%、TMF −25.0%、TMV +29.5%、TBT +19.1%です。

年初来では、TMF・TMVはTLTの約3倍、TBTは約2倍と、おおむね倍率どおりに動きました。9月25日時点でTMF(27.21ドル)は52週安値、TMV(47.11ドル)とTBT(40.91ドル)は52週高値圏です。20年債利回りが2026年の最低だった2月27日と比べると、TMFは約35%安く、TMVは約42%高い水準にあります。

期間を分けると性格の違いが見えます。金利が一方向に上がった6月24日以降は、TMVがTLTの下落率の3倍(約28%)を上回りました。一方、利回りが4.87%に戻った1月20日〜6月24日は、TLTとTMFがほぼ横ばいだったのに、TMVは−5.8%、TBTは−3.8%と目減りしています。

往復相場でベア型が不利になりやすいのは、日次リセットによる減価がベア型のほうが大きく、長期債の利息を支払う側でもあるためです。3倍ブル型は逆に、長期債の利息を3倍分受け取ります。長期金利が短期金利を上回る2026年のような局面では、借入コスト(短期金利の約2倍分)を払っても目減りを補いやすくなります。

月別に見ると、金利が大きく動いた4カ月で差がついた

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2026年20年債利回り(月末)TLTTMFTMVTBT
1月4.82%(+0.03%)0.0%−1.0%+0.9%+0.5%
2月4.57%(−0.25%)+4.2%+13.1%−11.6%−8.1%
3月4.88%(+0.31%)−4.5%−13.7%+12.8%+8.9%
4月4.97%(+0.09%)−1.2%−3.4%+3.6%+2.4%
5月4.98%(+0.01%)+0.2%+0.3%−0.8%−0.6%
6月4.93%(−0.05%)+0.8%+1.7%−3.5%−2.3%
7月5.28%(+0.35%)−4.8%−14.0%+15.9%+10.0%
8月5.24%(−0.04%)+0.3%+1.1%−1.4%−0.8%
9月(25日まで)5.54%(+0.30%)−3.9%−12.0%+11.2%+7.2%

月末の終値から編集部が計算した騰落率で、利回りのカッコ内は前月末からの変化です。20年債利回りが0.25%以上動いたのは2月・3月・7月・9月の4カ月で、年間の損益の大半はこの4カ月で決まりました。

利回りが2026年の最低(2月27日の4.57%)まで下がった2月は、TMFが+13.1%でした。金利上昇の年でも、ブル型が大きく勝つ月はあります。一方、利回りの変化が小さかった5月・6月・8月は、いずれもベア型の下げがブル型の上げより大きくなりました。

利下げ局面・利上げ局面での使い分け

米国債のレバレッジETFは、金利シナリオごとに向き不向きがはっきりしています。代表的な5つの局面を整理しました。

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局面長期金利検討される銘柄注意点
景気後退・利下げ観測・株安で国債が買われる低下TMF金利低下と円高が同時に進むと、円換算の利益が目減りしやすい
インフレ再加速・追加利上げ・国債の増発上昇TMV(TBT)利上げが織り込み済みだと、決定後に金利が下がることもある
インフレや財政不安で株と債券が同時に売られる上昇TMV株安の原因が景気悪化に変わると、金利低下で逆に損失が出やすい
方向感がなく上下に往復横ばい見送り3本とも目減りしやすく、特にベア型が不利
債券を長く持ちたい—TLTなど1倍の債券ETFレバレッジ型は長期保有に向かない

政策金利と長期金利は同じ方向に動くとは限らない

FRBが決める政策金利は短期金利で、3本が連動するのは20年超の長期債です。長期金利は先行きのインフレや利上げ見通し、国債の需給で動くため、利上げの決定そのもので方向が決まるわけではありません。

実際、利上げが決まった9月16日の20年債利回りはほぼ横ばいで、翌17日には0.07%低下しました。この2日間でTMFは+3.9%、TMVは−3.9%、TBTは−2.6%と、利上げ直後にベア型が下がっています。

次の焦点は10月27〜28日のFOMCで、その次は12月8〜9日です。9月のドットプロット(FOMC参加者の金利見通し)は年内にもう1回の利上げを示し、9月下旬には市場が10月の追加利上げを7割前後の確率で織り込んでいると報じられました。

政策金利のほかにも、CPI(消費者物価指数)などのインフレ指標、雇用統計、20年債・30年債の入札結果、原油価格(ホルムズ海峡の情勢)が長期金利を動かします。追加利上げが織り込まれるほど「予想ほどタカ派でなかった」ときの金利低下も起きやすく、ベア型で入る場合も逆行への備えが必要です。

利下げ局面ではTMFに追い風が重なりやすい

利下げが進む局面では、長期金利の低下に加えて短期金利も下がるため、TMFの借入コストは軽くなり、ベア型が受け取る金利は減ります。景気後退で株が売られ、国債が買われる動きが重なると、TMFには複数の追い風が同時に吹きます。

ただし利下げが始まっても、インフレ期待や国債の増発で長期金利が上がることはあります。政策金利の方向だけで判断せず、20年債利回りのトレンドが実際に変わったかを確認してから入るのが無難です。

米国債レバレッジETFが向いている人・向いていない人

向いている人
  • 長期金利の見通しを持ち、FOMCや物価指標を自分で追える人
  • 数日〜数週間など、保有期間を区切って売買できる人
  • 撤退する利回りの水準を決め、損切りを実行できる人
  • 保有する株式や債券の金利リスクを、短期的に調整したい人
向いていない人
  • 「いずれ利下げになる」などの見通しだけで長く持ちたい人
  • 1日に5%前後の値動きに耐えられない人
  • 金利や為替を毎日確認できない人
  • 生活資金や近く使う予定のお金で投資しようとしている人

TBTは国内で買えない:TMVで代用するときの金額と注意点

TBTは、国内の主要ネット証券8社(SBI・楽天・マネックス・松井・三菱UFJ eスマート・DMM株・moomoo・ウィブル)で取り扱われていません。同じ方向のTMVと反対方向のTMFは、8社すべてで買えます。TBTとTMVは運用会社(ProSharesとDirexion)と倍率が異なり、TBTは2008年4月設定と歴史の長い銘柄です。

編集部が2026年9月28日に8社の公開取扱銘柄一覧を確認したところ、TMF・TMVは全社で掲載があり、TBTはどの社の一覧にもありませんでした。三菱UFJ eスマート証券は9月末ごろに米国株約1,400銘柄の追加を予定しており(銘柄は未公表)、取扱が変わる可能性はあります。

TBTの代わりにTMVを使うなら、1日の値動きをそろえるために投資額を3分の2にします。TBTで30万円分持つつもりなら、TMVは20万円分です。2026年の実績で比べても、TMVを3分の2の金額で持った場合の損益はTBTとほぼ同じでした。

期間(終値ベース)TBTTMVTMVを3分の2の金額で保有
年初来+17.1%+26.8%+17.9%
上昇トレンド(6月24日→9月25日)+20.1%+31.5%+21.0%
往復・横ばい(1月20日→6月24日)−3.8%−5.8%−3.9%

上表は、残りの3分の1を現金で持ち、利息を考えない場合の編集部の試算です。ただし理論上、指数が上下して元の水準に戻る相場での減価は、同じ金額ならTMVがTBTの約2倍です。2026年は差がわずかでしたが、金利が激しく往復する局面では、3分の2にしてもTMVのほうが目減りしやすい点に注意しましょう。

なお、IG証券ではTBTが上場投資商品CFDとして掲載されています。証拠金を使う差金決済取引のため、仕組みやリスク、税金の扱いは現物のETFと異なります。

米国債レバレッジETFのリスク:減価・金利の急変・為替

長期保有では3本とも成績が残りにくい

レバレッジ型・インバース型は、保有期間が長くなるほど「指数×倍率」からずれていきます。運用会社が公表している年率リターン(2026年6月末・基準価額ベース)を並べると、その傾向がはっきり出ます。

期間(年率)指数TMF(+3倍)TMV(−3倍)TBT(−2倍)
3年−1.58%−20.38%+12.47%+10.10%
5年−6.58%−31.36%+20.88%+16.55%
10年—−17.32%+0.28%+2.74%
設定来—−6.04%−14.72%−9.93%

出典はDirexion(TMF・TMV・指数)とProShares(TBT)の公表値で、分配金再投資の基準価額ベースです。設定日はTMF・TMVが2009年4月16日、TBTが2008年4月29日です。

金利上昇が続いた5年では、ベア型が大きく勝ち、TMFは年率−31%でした。ところが10年で見るとTMVは年率+0.28%とほぼ横ばいで、倍率の低いTBT(+2.74%)を下回っています。

倍率が高いほど減価は大きく、ベア型はさらに不利です。指数が+10%→−9.09%と動いて元に戻る2日間の例では、TMF型とTBT型が−5.5%なのに対し、TMV型は−10.9%になります。値下がりが続いた銘柄は株式併合で株価が調整されることもあり、TMFは2023年12月に1対10の併合を実施しています。

設定来では、ブル型もベア型も3本すべてが年率マイナスです。TMF・TMVの設定日の20年債利回りは3.81%、2026年6月末は4.93%で、金利はTMVに有利な方向へ動いたのに、TMVは累計で9割超の目減りでした(編集部の換算)。仕組みはレバレッジETFの減価の記事で詳しく解説しています。

金利は経済指標1つで大きく動く

長期金利はFOMCのほか、CPI、雇用統計、PMI、国債入札の結果などで大きく動きます。FOMCが据え置きを決めた2026年7月29日は20年債利回りが0.10%上がり、TMFは−4.9%、TMVは+4.8%でした。

3本は1日に数%動くのが普通の商品です。投資額を総資産の一部に抑え、指値注文と逆指値注文(損切り)を前提に使いましょう。

為替:米国の金利低下は円高と重なりやすい

3本とも米ドル建てのため、円換算の損益はドル円にも左右されます。米国の金利が下がる局面は日米の金利差が縮んで円高が進みやすく、TMFがドル建てで上がっても円換算の利益が目減りすることがあります。日銀も9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げており、日本側の金利の動きも確認が必要です。

流動性:ベア型は売買代金が小さい

1日の売買代金(平均出来高×9月25日の株価で編集部が試算)は、TMFが約1.3億〜1.5億ドル、TMVが約4,500万〜5,900万ドル、TBTが約1,300万ドルです。ベア型、特にTBTは取引が少なく、指標発表の直後は売値と買値の差(スプレッド)が広がりやすくなります。

TMF・TMV・TBTを買う前のチェックリスト

注文の前に、次の8項目を確認しましょう。1つでも当てはまらない項目があれば、いったん立ち止まって見直すのが無難です。

  • 長期金利が下がるのか上がるのか、自分の見通しと根拠を説明できる
  • TMF(金利低下で上昇)とTMV・TBT(金利上昇で上昇)の方向を取り違えていない
  • 20年債利回りが0.1%動くと、TMF・TMVは約4.5%、TBTは約3%動くことを理解している
  • 撤退する利回りの水準(または損失率)と保有期間を決めている
  • 往復相場では目減りしやすく、長期保有に向かないことを理解している
  • 投資額を総資産の一部に抑え、ドル円の影響も考えている
  • 次回FOMC(10月27〜28日)やCPIなど、金利を動かすイベントの日程を確認した
  • NISAでは買えず、TBTは国内の主要ネット証券8社で取扱がないことを確認した

米国債レバレッジETFを買える証券会社

TMFとTMVは国内の主要ネット証券8社すべてで買えますが、TBTはどの社でも買えません。DMM株はProSharesのETFをTQQQ以外扱っていませんが、Direxionの2本は購入できます。手数料と為替コストは次のとおりです。

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証券会社TMFTMVTBT米国株手数料為替手数料(1ドルあたり片道)
SBI証券○○×約定代金の0.495%(税込)・上限22ドルリアルタイム為替0銭(円貨決済は25銭)
楽天証券○○×約定代金の0.495%(税込)・上限22ドルリアルタイム為替0銭(円貨決済は25銭)
マネックス証券○○×約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル買付0銭・売却25銭
松井証券○○×約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル両替0銭(円貨決済は25銭)
三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)○○×約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル20銭
DMM株○○×約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル25銭
moomoo証券○○×約定代金の0.132%(税込)・上限22ドルリアルタイム両替0銭(円貨決済は25銭)
ウィブル証券○○×無料(2026年7月27日〜)15銭

取扱は2026年9月28日に各社の公開取扱銘柄一覧で確認しました。手数料は税込・課税口座の場合、為替手数料は1ドルあたり片道です(2026年9月時点)。売却時のSEC Feeなどの現地費用は別途かかります。

短期売買が中心なら、売買手数料が無料のウィブル証券や0.132%のmoomoo証券、リアルタイム為替が0銭のSBI証券・楽天証券を比べるとコストを抑えやすくなります。各社の特徴や注文機能はレバレッジETFの証券会社比較で詳しく解説しています。

注文するときの注意点

  • ティッカーの取り違え:TMFとTMVは1文字違いで方向が正反対です。注文画面で銘柄名の「Bull(ブル)」「Bear(ベア)」を確認しましょう。
  • 指値注文:FOMCの結果は日本時間の未明、CPIや雇用統計は夜に発表されることが多く、直後は気配値が大きく動きます。成行より指値が基本です。
  • 逆指値注文:金利から逆算した撤退ラインを価格に置き換え、逆指値で自動化しておくと判断の遅れを防げます。
  • 取引時間:米国の主要取引所は2026年12月から23時間取引を始める予定で、松井証券とマネックス証券は12月6日から対応予定です。

SBI証券公式サイトでTMF・TMVの取扱状況を確認する

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米国債レバレッジETFのよくある質問

TMFとTMVはどちらを選べばいいですか?

長期金利が下がると考えるならTMF、上がると考えるならTMVです。どちらも日次で3倍の値動きを目指すため、見通しが外れたときの損失も3倍になります。

2本を同時に長く持つと、値動きは打ち消し合う一方で減価と経費は両方にかかります。どちらか一方を、期間を区切って使うのが基本です。

金利が1%動くと、TMF・TMV・TBTはどれくらい動きますか?

1日で1%動いた場合の理論値は、TLTのデュレーション約14.8年から計算するとTMF・TMVが約45%、TBTが約30%です(方向はTMFとベア型で逆)。

ただし1日で1%は極端な変化で、数日かけて動けば日次リセットの影響で一致しません。金利が大きく動くとデュレーション自体も変わるため、あくまで目安です。

利上げが決まれば、TMVは必ず上がりますか?

必ず上がるとは限りません。長期金利は利上げの決定そのものより、インフレや今後の利上げ見通しの変化で動くためです。2026年9月16日の利上げ後は長期金利が低下し、翌17日のTMVは−3.4%でした。

TBTを国内で買う方法はありますか?

2026年9月28日時点で、国内の主要ネット証券8社では現物のTBTを買えません。同じ方向のTMVを3分の2の金額で持つと、1日の値動きをTBTに近づけられます。

三菱UFJ eスマート証券の銘柄追加(9月末ごろ予定)で状況が変わる可能性もあるため、購入前に各社の注文画面で確認しましょう。

米国債レバレッジETFは長期保有に向いていますか?

向いていません。設定来の年率リターンはTMF −6.04%、TMV −14.72%、TBT −9.93%と、ブル型もベア型もすべてマイナスです(2026年6月末・基準価額ベース)。長く米国債を持つなら、TLTなど1倍の債券ETFが比較対象になります。

ベア型のTMV・TBTにも分配金が出るのはなぜですか?

主な原資は、担保として持つ現金や短期国債の利息です。TMVは2026年9月25日時点で、純資産の9割超を米国債などで運用するMMF(短期金融資産で運用するファンド)で持っていました。

直近12カ月の分配金利回りはTMV約2.0%、TBT約2.2〜2.5%です。TMFの約5.1%は、価格の下落で利回りが高く見えている面があります。直近は2026年9月の権利落ちで、1口あたりTMF約0.35ドル、TMV約0.23ドル、TBT約0.23ドルでした。

TMF・TMVはNISAで買えますか?

買えません。レバレッジ型・インバース型のETFは新NISAの対象外(成長投資枠・つみたて投資枠とも)で、2027年開始のこどもNISAでも扱いは同じです。特定口座などの課税口座で取引し、譲渡益・分配金の税率は20.315%です。

2026年6月にはNISA対象外の米国ETFを対象と誤案内した証券会社が行政処分を受けており、口座区分は注文画面で必ず確認しましょう。

株価が急落したときのヘッジにTMFは使えますか?

景気不安で株が売られ、国債が買われて金利が下がる局面では、TMFが上がってヘッジとして働くことがあります。ただしインフレや財政不安で株安と金利上昇が同時に進むと、TMFも一緒に下がります。

2026年9月23日はS&P500が0.75%下落した日に20年債利回りが0.12%上がり、TMFも4.8%下落しました(TMVは+4.8%)。株と債券の関係は固定ではなく、株安の原因が景気かインフレかで効き方が変わります。

まとめ:米国債レバレッジETFは金利の方向・倍率・期間を決めて使う

米国債のレバレッジETFは、金利の見通しを大きな値幅で表現できる一方、見通しが外れたときの損失と、往復相場での目減りも大きい商品です。

  • TMF(+3倍)は金利低下、TMV(−3倍)とTBT(−2倍)は金利上昇で値上がりする。3本とも米国20年超国債の指数に連動
  • 値動きの目安は「デュレーション約14.8年×金利変化×倍率」。20年債利回り0.1%でTMF・TMVは約4.5%、TBTは約3%
  • 2026年は利上げと長期金利の上昇で、年初来TMF −27.1%、TMV +26.8%、TBT +17.1%(終値ベース)
  • TBTは国内8社で買えない。TMVで代用するなら投資額を3分の2に。TMF・TMVは8社すべてで買え、手数料と為替コストは証券会社で異なる
  • 往復相場ではベア型を中心に目減りしやすく、設定来は3本とも年率マイナス。保有期間と撤退ルールを決めて使う

株価指数や半導体などのレバレッジETFも比べたい場合は米国レバレッジETF一覧を、ベア型全体はインバースETF一覧を参考にしてください。

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本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品・ETF・証券会社の利用を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点(2026年9月時点)のものです。ETFの内容・経費率・純資産総額・出来高・取扱証券会社・手数料・NISA対応可否などは変更される場合があります。投資には価格変動リスク・為替リスク・流動性リスク・信用リスク・金利変動リスクなどがあります。レバレッジETF・インバースETFは一般的なETFよりリスクが高く、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は、各ETFの目論見書・運用会社の公式情報・証券会社のリスク説明・手数料体系を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

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この記事を書いた人

小畑 和彰のアバター 小畑 和彰 合同会社WOZ 代表

1999年11月12日、神奈川県三浦市にて生まれる。東京都目黒区在住。
2016年7月にフリーランスとして起業し、Webサイト運営・アフィリエイト広告事業を開始。2020年4月に合同会社WOZ(WOZ LLC)を設立し、アフィリエイト事業の一部を法人化。
現在は、アフィリエイトやウェブ制作を主軸に置きながらも、FXや株式投資にも意欲的に取り組み、自身で得た知見をもとに情報発信を行っている。

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