「金融株やバイオ株など、特定の業種の値動きに大きな値幅で乗りたい」「FAS・LABU・TECLなどのセクター型と、反対方向に動くベア型の違いがよくわからない」
WOZ mediaでは、セクター別レバレッジETFの10銘柄を、倍率・コスト・国内の取扱・2026年の実績で比較します。対象は金融のFAS・FAZ、バイオのLABU・LABD、テクノロジーのTECL・TECS、小型株のTNA・TZA、金鉱株のNUGT・DUSTです。
結論から言うと、セクター型は「業種の材料が見えている局面で、短期で賭ける」ための商品です。2026年は1倍のセクターETFが上昇したのにブル型が値下がりした業種もあり、長期保有には向きません。
- 金融・バイオ・テクノロジー・小型株・金鉱株の10銘柄の違い
- 2026年の年初来騰落率と年内の最大下落率(1倍ETFとの比較)
- セクターごとの値動きの材料と、2026年に大きく動いた日の背景
- S&P500などの指数型と比べた集中リスク
- 2025〜2026年の株式併合と取引時の注意点
- 選び方のポイントと買える証券会社
結論:セクター別レバレッジETFは「業種」と「材料」で選ぶ
セクター別レバレッジETFの10銘柄は、5つの業種にブル型(上昇で利益)とベア型(下落で利益)が1本ずつあり、すべて米Direxionが運用しています。選ぶときは、どの業種がどんな材料で動くと考えるかを先に決めます。
| 業種 | 上昇を狙う | 下落を狙う・備える | 主な値動きの材料 | 2026年の年初来(ブル/ベア) |
|---|---|---|---|---|
| 金融株 | FAS(+3倍) | FAZ(−3倍) | 長短金利差・景気・銀行決算 | −8.2%/−3.0% |
| バイオ株 | LABU(+3倍) | LABD(−3倍) | 臨床試験・M&A・金利 | +58.4%/−64.0% |
| テクノロジー株 | TECL(+3倍) | TECS(−3倍) | 大型テックの決算・AI投資・金利 | +100.2%/−69.5% |
| 米国小型株 | TNA(+3倍) | TZA(−3倍) | 金利・景気・資金調達 | +32.8%/−37.6% |
| 金鉱株 | NUGT(+2倍) | DUST(−2倍) | 金価格・実質金利・ドル | −9.3%/−50.3% |
2026年は同じセクター型でも、年初来でTECLの+100.2%からTECSの−69.5%まで大きく差が開きました(9月25日時点・分配金込み)。金融株のFASと金鉱株のNUGTは、1倍のETFが上昇したのに値下がりしています(2026年の値動き)。
セクター型は、決算や経済指標など業種の材料が見えている局面で、数日〜数週間の短期で使うのが基本です。上下に振れる相場では、ブル型とベア型の両方が目減りすることもあります。
セクター別レバレッジETF10銘柄の比較表【経費率・純資産・国内取扱】
10銘柄の基本的な違いを1つの表にまとめました。どれも日次で倍率を計算し直す「日次リセット型」で、NISAの対象外です。
| ティッカー | 業種(連動指数) | 方向・倍率 | 経費率 | 純資産 | 平均出来高(1日) | 国内取扱 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FAS | 金融(金融セレクト・セクター指数) | ブル+3倍 | 0.88% | 約20億ドル | 約35万株 | 8社すべて |
| FAZ | 金融(FASと同じ指数) | ベア−3倍 | 1.03% | 約1.0億ドル | 約116万株 | 8社すべて |
| LABU | バイオ(S&Pバイオテクノロジー精選業種指数) | ブル+3倍 | 0.96% | 約5.9億ドル | 約37万株 | 8社すべて |
| LABD | バイオ(LABUと同じ指数) | ベア−3倍 | 1.07% | 約1.4億ドル | 約1,940万株 | 8社すべて |
| TECL | テクノロジー(テクノロジー・セレクト・セクター指数) | ブル+3倍 | 0.87% | 約65億ドル | 約47万株 | 8社すべて |
| TECS | テクノロジー(TECLと同じ指数) | ベア−3倍 | 1.01% | 約0.7億ドル | 約38万株 | 8社すべて |
| TNA | 小型株(ラッセル2000) | ブル+3倍 | 1.05% | 約12.8億ドル | 約353万株 | 8社すべて |
| TZA | 小型株(TNAと同じ指数) | ベア−3倍 | 0.99% | 約2.4億ドル | 約429万株 | 8社すべて |
| NUGT | 金鉱株(MarketVectorグローバル金鉱株指数) | ブル+2倍 | 1.13% | 約11.2億ドル | 約71万株 | 8社すべて |
| DUST | 金鉱株(NUGTと同じ指数) | ベア−2倍 | 0.94% | 約0.9億ドル | 約166万株 | 8社すべて |
ブル型の純資産はTECL(約65億ドル)が最大で、ベア型は5本とも約2.4億ドル以下です。LABDは株価が約7ドルと低いため、出来高(株数)は10銘柄で最も多く見えます。
経費率は0.87%(TECL)〜1.13%(NUGT)で、同じ指数に連動する1倍のETF(XLF・XLKは0.08%、IWMは0.19%、XBIは0.35%、GDXは0.51%)より高めです。金鉱株のNUGT・DUSTだけは2倍型で、2020年4月に3倍から引き下げられました。
2026年9月25日付の保有明細では、ブル型は株式やETFの現物とスワップ(指数の値動きを受け取る契約)を組み合わせ、約3倍(NUGTは約2倍)の持ち高を作っていました。ベア型は現金などを担保にしたスワップで、−3倍(DUSTは−2倍)の持ち高を作っています。
半導体株の3倍型(SOXL・SOXS)もセクター型に含まれますが、本記事では上の5業種・10銘柄に絞って比較します。半導体は「半導体レバレッジETFの比較」で解説しています。
2026年の値動きで比較:1倍ETFがプラスでもマイナスの銘柄も
10銘柄の2026年の年初来騰落率と年内の最大下落率を、同じ指数に連動する1倍ETFと並べました。参考に、S&P500の3倍型であるSPXLも載せています。
| ティッカー | 倍率 | 2026年の年初来 | 同じ指数の1倍ETF | 年内の最大下落率(期間) |
|---|---|---|---|---|
| FAS | +3倍 | −8.2% | XLF +1.4% | −40.9%(1/6→3/27) |
| FAZ | −3倍 | −3.0% | XLF +1.4% | −45.3%(3/27→9/3) |
| LABU | +3倍 | +58.4% | XBI +27.3% | −30.7%(1/22→3/30) |
| LABD | −3倍 | −64.0% | XBI +27.3% | −72.9%(1/5→8/25) |
| TECL | +3倍 | +100.2% | XLK +36.8% | −45.0%(6/2→7/29) |
| TECS | −3倍 | −69.5% | XLK +36.8% | −77.9%(3/30→9/25) |
| TNA | +3倍 | +32.8% | IWM +15.3% | −32.5%(1/22→3/30) |
| TZA | −3倍 | −37.6% | IWM +15.3% | −53.2%(3/30→8/14) |
| NUGT | +2倍 | −9.3% | GDX +8.3% | −67.4%(2/27→7/20) |
| DUST | −2倍 | −50.3% | GDX +8.3% | −60.4%(1/2→8/25) |
| SPXL(参考) | +3倍 | +32.7% | SPY +14.0% | −26.8%(1/12→3/30) |
ブル型の年初来は、TECLが1倍のXLKの約2.7倍、LABUとTNAが約2.1倍で、いずれも3倍に届いていません。ベア型は、1倍ETFが5本とも上昇したため全銘柄が年初来でマイナスです。
金融株と金鉱株では、1倍のXLF(+1.4%)とGDX(+8.3%)が上昇したのに、ブル型のFASは−8.2%、NUGTは−9.3%でした。ベア型のFAZとDUSTも下落しており、この2業種ではブル型とベア型がそろって値を下げています。
これは、日々の上下動が大きいと倍率の複利が不利に働く「減価」によるものです。仕組みと試算はレバレッジETFの減価で解説しています。
年内の最大下落が起きた時期は、FAS・LABU・TNAがイラン情勢で株式市場全体が下げた1〜3月、TECLが半導体株の急落した6〜7月でした。TECLは1月28日から3月30日までにも40.5%下落しており、年初来で約2倍になった銘柄でも、40%を超える下落を年に2回経験しています。
一方向に動いた数週間は、ほぼ倍率どおりだった
同じ2026年のデータでも、期間を区切ると倍率との関係が変わります。ブル型と1倍ETFの騰落率を、期間の長さ別に編集部が比べました。
| 期間(2026年) | 1倍ETF | ブル型 | 1倍に対する倍率 |
|---|---|---|---|
| 9月3日→25日(約3週間) | XLF −6.0% | FAS −17.8% | 約3.0倍 |
| 8月14日→9月25日(約6週間) | IWM −7.3% | TNA −21.7% | 約3.0倍 |
| 7月29日→9月25日(約2カ月) | XLK +18.0% | TECL +56.4% | 約3.1倍 |
| 年初来(約9カ月) | XLK +36.8% | TECL +100.2% | 約2.7倍 |
| 年初来(約9カ月) | GDX +8.3% | NUGT −9.3% | 方向が逆 |
一方向に動いた数週間は、ブル型がほぼ倍率どおりに動きました。上昇と下落を繰り返した期間を含むほど倍率からずれ、NUGTでは1倍と方向まで逆になっています。セクター型を短期で使うのが基本とされるのは、このためです。
金融株のレバレッジETF(FAS・FAZ):長短金利差と銀行決算で動く
FAS・FAZは、S&P500の金融株で構成される金融セレクト・セクター指数(XLFと同じ指数)に連動します。FASが+3倍、FAZが−3倍です。
銀行だけでなく、保険・カード決済・資産運用の会社も含むのが特徴です。FASの株式部分(2026年9月25日付の保有明細)では、上位5社が約43%を占めます。
最大はバークシャー・ハサウェイの12.2%で、JPモルガン・チェース11.7%、ビザ8.2%、マスターカード6.0%が続きます。決済のビザ・マスターカードは、金利よりも個人消費の動向に左右されやすい銘柄です。
- 長短金利差:銀行は短期で資金を集めて長期で貸すため、短期と長期の金利差が縮むと利ざやが薄くなりやすい
- 景気と貸し倒れ:景気が悪化すると、融資の焦げ付きに備える費用が増えて利益を圧迫する
- 決算:大手銀行の7〜9月期決算は10月中旬に集中する(JPモルガン・チェースは10月13日の予定)
- 金融政策・規制:利上げ・利下げの見通しや、資本規制の変更
2026年9月22日は、2つの材料が重なって金融株が売られました。メタのAIエージェント「Muse」の普及で資産運用ビジネスへの影響が意識されたうえ、2年債と10年債の利回り差が一時0.179%と2025年3月以来の水準まで縮みました(ロイター)。
この日、S&P500の金融株指数は約2%下落し、FASは5.9%下落、FAZは6.1%上昇しました(分配金の権利落ち分を調整した値)。9月3日の年内高値から25日までに、XLFの−6.0%に対してFASは−17.8%、FAZは+20.9%です。
バイオ株のレバレッジETF(LABU・LABD):臨床試験とM&Aで急変する
LABU・LABDは、S&Pバイオテクノロジー精選業種指数(S&P Biotechnology Select Industry Index)に連動します。1倍ETFのXBIと同じ指数で、LABUが+3倍、LABDが−3倍です。
この指数は、大企業も中小企業もほぼ同じ比率で組み入れる「修正均等加重」です。LABUの株式部分は158銘柄で、1社の比率は最大でも約2%、上位10社でも約17%にとどまります(2026年9月25日付の保有明細)。
そのため、時価総額の小さい創薬企業の値動きが指数に強く表れます。主な材料は次の4つです。
- 臨床試験・承認:試験結果やFDA(米食品医薬品局)の承認判断で、関連銘柄が1日で大きく動く
- M&A:大手製薬会社による買収。PitchBookの集計では、2026年のバイオ関連M&Aは6月初めまでに201件・1,060億ドルと、2019年以来の高いペース(CNBC)
- 金利:赤字の創薬企業は外部からの資金調達に頼るため、金利が上がると株価が下がりやすい
- 薬価政策:米国の薬価引き下げをめぐる政策の変化
2026年8月19日、メルクとモデルナは個別化mRNAがんワクチン(intismeran autogene)の第3相試験で主要評価項目を達成したと発表しました。手術後のメラノーマ(悪性黒色腫)が対象で、XBIは5.9%、LABUは17.8%上昇し、LABDは17.6%下落しています。
LABUはこの日の終値341.55ドルが52週高値で、その後は9月の利上げや長期金利の上昇を背景に反落しました。9月25日までにXBIは8.6%、LABUは26.1%下落し、LABDは26.4%上昇しています。
6月の1カ月だけでLABUが49.6%上昇した(XBIは+15.9%)ように、材料が重なると短期間で大きく動きます。
テクノロジー株の3倍ETF(TECL・TECS):大型株3社で約4割
TECL・TECSは、S&P500の情報技術セクターで構成されるテクノロジー・セレクト・セクター指数(XLKと同じ指数)に連動します。TECLが+3倍、TECSが−3倍です。
TECLの株式部分(2026年9月25日付)では、エヌビディア15.3%、アップル13.8%、マイクロソフト10.4%の3社で約4割を占めます。上位10銘柄のうち6銘柄は、AMD・ブロードコム・マイクロン・テクノロジーなどの半導体株です。
そのため、大型テックの決算やAI投資の見通し、半導体市況が値動きを左右します。成長株が中心で、金利の上昇にも弱い傾向があります。
2026年6月5日は、5月の雇用者数が予想の約2倍(17.2万人増)となって利上げ観測が強まり、ブロードコムのAI半導体見通しへの失望も重なりました。XLKは6.7%下落し、TECLは19.9%下落、TECSは20.1%上昇しています。
TECLは6月2日の高値から7月29日までに45.0%下落しました(XLKは−15.9%)。翌30日はマイクロソフトの好決算と半導体株の反発で16.2%上昇し、7月29日から9月25日までに56.4%値上がりしています(XLKは+18.0%)。
年初来ではTECLが約+100%、TECSは−69.5%で、TECSは9月25日に52週安値をつけました。TECLはナスダック100の3倍型(TQQQ)や半導体の3倍型(SOXL)と主力銘柄が重なるため、同時に持っても分散効果はあまり期待できません。
小型株のレバレッジETF(TNA・TZA):金利の変化に敏感
TNA・TZAは、米国の小型株約2,000社で構成されるラッセル2000に連動します(TNAは+3倍、TZAは−3倍)。TNAは1倍ETFのIWM(純資産の約71%)と、ラッセル2000のスワップ(同約229%)を組み合わせて約3倍の持ち高を作っています。
小型株は大型株より金利の影響を受けやすいのが特徴です。ゴールドマン・サックスによると、ラッセル2000の企業の借入は約3割が変動金利(S&P500は7%)で、赤字企業が銘柄数の29%を占めます(2026年7月時点)。
主な材料は、長期金利・政策金利の見通し、米国内の景気、企業の資金調達環境です。利下げ局面は追い風、利上げ局面は逆風になりやすい一方、景気の強さが評価されて上がる場面もあります。
2026年のラッセル2000は、8月14日に終値3,068.42で最高値をつけました。その後はFRBの利上げと長期金利の上昇で下落し、9月25日は2,837.55(年初来+14.3%)です。
9月23日は、9月の米PMI(購買担当者景気指数)の速報値が8月の56.0から58.4へ上昇し、10年債利回りは前日の4.96%から5.11%へ上がりました。ラッセル2000は主要指数で最大の1.77%下落となり、TNAは5.4%下落、TZAは5.5%上昇しています。
8月14日の高値から9月25日までに、IWMは7.3%、TNAは21.7%下落し、TZAは26.3%上昇しました。
金鉱株の2倍ETF(NUGT・DUST):金価格の変動を増幅する
NUGT・DUSTは、世界の金鉱株で構成されるMarketVectorグローバル金鉱株指数に連動します(NUGTは+2倍、DUSTは−2倍)。連動指数は1倍ETFのGDXと同じで、NUGT・DUSTは2025年9月19日にNYSEアーカ金鉱株指数から切り替えました。
GDXの組入れは62銘柄で、アグニコ・イーグル・マインズとニューモントが各約11%、上位5社で約41%です(9月26日時点)。金の採掘会社のほか、鉱山から金や銀を決まった価格で買い取る権利を持つウィートン・プレシャス・メタルズなども含みます。
金鉱株の利益は「金価格−採掘コスト」で決まるため、金価格の変動が利益と株価に増幅されて表れます。主な材料は金価格と、それを動かす実質金利(インフレ分を差し引いた金利)・ドル・中央銀行の金購入・地政学リスクです。
2026年の金価格は、1月28日に一時1オンス5,589ドル台の史上最高値をつけました。金鉱株は2月末〜3月初めに高値をつけた後に急落し、NUGTは2月27日から7月20日までに67.4%下落しています。
8月は、金価格が約1割上昇するなかで金鉱株指数が約33%上昇し、8月としては少なくとも1994年以来の上昇率となりました(ブルームバーグ)。月間でGDXは+32.9%、NUGTは+71.2%、DUSTは−47.8%です。
8月19日には米財務省が長期債の買い入れ(バイバック)を少なくとも倍増すると発表し、長期金利とドルが下落しました。金鉱株が買われ、GDXは9.4%、NUGTは18.5%上昇し、DUSTは18.7%下落しています。
その後、金価格は8月下旬から約7%反落し、NY先物は9月25日に4,321.2ドルとなりました。8月25日から9月25日までにGDXは12.0%、NUGTは24.0%下落し、DUSTは24.8%上昇しています。
年初来では、金価格がほぼ横ばいでGDXが+8.3%だったのに対し、NUGTは−9.3%、DUSTは−50.3%でした。値幅のわりに方向感が乏しい年で、2倍型でも両方向が目減りしています。
指数型レバレッジETFとの違い:集中リスクと値動きの大きさ
S&P500に連動するSPXLやナスダック100に連動するTQQQのような指数型と比べると、セクター型は1つの業種に集中しています。業種全体に効く材料が出ると構成銘柄がそろって同じ方向に動くため、値動きが大きくなりやすい商品です。
| 連動指数(ETF) | 組入銘柄数 | 上位銘柄の比率 | 中身の特徴 |
|---|---|---|---|
| 金融セレクト・セクター指数(FAS・FAZ) | 76 | 上位5社で約43% | 銀行・保険・決済・資産運用 |
| テクノロジー・セレクト・セクター指数(TECL・TECS) | 74 | 上位3社で約40% | 半導体・ソフトウェア・ハードウェア |
| S&Pバイオテクノロジー精選業種指数(LABU・LABD) | 158 | 1社最大で約2% | 修正均等加重で中小型が中心 |
| ラッセル2000(TNA・TZA) | 約2,000 | 1社の比率はごく小さい | 米国の小型株全体 |
| MarketVectorグローバル金鉱株指数(NUGT・DUST) | 62 | 上位5社で約41% | カナダ・米国を中心とする金鉱会社 |
| S&P500(参考:SPXL) | 約500 | — | 11業種に分散 |
集中の仕方は業種で異なります。テクノロジーは大型3社で約4割を占める一方、バイオは均等加重のため1社の比率が小さく、中小型株の材料が積み重なって動きます。
業種ごとの差も大きく、2026年の年初来は1倍ETFでもXLKの+36.8%からXLFの+1.4%まで開きました(SPYは+14.0%)。業種の選び方を誤ったときの差は、3倍型ではさらに広がります。
2026年の最大下落率は、SPXLの−26.8%に対し、セクター型のブル5本は−30.7%〜−67.4%でした。1日の値動きでも、LABUの+17.8%(8月19日)やTECLの−19.9%(6月5日)のように、1つの材料で2割近く動く日があります。
複数のセクター型を組み合わせるときは、共通の弱点にも注意が必要です。長期金利が急上昇した9月23日は、金利に弱い小型株とバイオがそろって売られ、TNAが5.4%、LABUが12.4%下落しました。
2025〜2026年の株式併合:ベア型5本で実施
2025〜2026年には、ベア型のFAZ・LABD・DUST・TECS・TZAの5本が株式併合(リバーススプリット)を行いました。下落が続いて株価が大きく下がったベア型は、売買しやすい価格に戻すために併合を繰り返す傾向があります。
| 新しい価格での取引開始日 | 銘柄 | 比率 |
|---|---|---|
| 2025年9月29日 | FAZ・LABD | 1対10(10株を1株に) |
| 2026年3月5日 | DUST | 1対10 |
| 2026年7月15日 | TECS・TZA | 1対10 |
DUSTとTECSは2024年11月4日にも1対10の併合をしており、2年足らずで2回目です。ブル型のFAS・LABU・TECL・TNA・NUGTは、2025〜2026年に分割・併合をしていません。
併合では株数が10分の1、株価が約10倍になり、保有額そのものは変わりません。ただし国内の証券会社では、併合日の前後に1日程度売買が止まることがあります。
併合日をまたぐ期間指定の注文は失効し、逆指値は併合後に入れ直しが必要です。1株未満の端数は、多くの社で売却代金として支払われます。仕組みや実施例はETFのリバーススプリット(株式併合)で詳しく解説しています。
セクター別レバレッジETFの選び方【5つのポイント】
セクター型は「どの業種を」「いつまで」「いくらで」持つかを先に決めると、判断がぶれにくくなります。確認したいポイントは次の5つです。
1. 業種の材料と日程を先に決める
セクター型は、材料が出る日程に合わせて使うと判断しやすくなります。金融なら大手銀行の決算(10月13日〜)、全業種に影響するFOMC(米連邦公開市場委員会、次回は10月27〜28日)など、発表日を確かめてから売買を計画しましょう。
FRBは9月16日に政策金利を3.75〜4.00%へ引き上げ(2023年以来の利上げ)、年内の追加利上げも示唆しています。金利は金融・バイオ・小型株・金鉱株のすべてに効くため、FOMCの前後は値動きが荒くなりやすい時期です。
| 日時(日本時間) | 予定 | 影響を受けやすいセクター |
|---|---|---|
| 10月2日(金)21:30 | 米国の9月雇用統計 | 全業種(金利を通じて小型株・金鉱株など) |
| 10月13日(火)20:00ごろ | JPモルガン・チェースの7〜9月期決算 | 金融 |
| 10月14日(水)21:30 | 米国の9月CPI(消費者物価指数) | 全業種(特に金鉱株・小型株) |
| 10月29日(木)未明 | FOMCの結果発表(10月27〜28日開催) | 全業種 |
| 11月 | エヌビディアの決算 | テクノロジー |
| 12月10日(木)未明 | FOMCの結果発表(12月8〜9日開催) | 全業種 |
2. 保有期間を短く区切る
2026年の金融株や金鉱株のように、上下に振れる相場ではブル型・ベア型とも目減りしました。見通しが当たるまで持ち続けるのではなく、「数日〜数週間」と期間を決め、期限が来たら損益にかかわらず見直します。
3. 倍率ではなく投資額でリスクを調整する
10銘柄のうち8本は3倍型で、金鉱株の2本だけが2倍型です。ただし値動きの荒さは倍率だけでは決まらず、業種そのものの変動の大きさにも左右されます。
| ブル型 | 年率の変動率(2026年) | 1日で10%以上動いた日 | 1倍ETFの変動率 |
|---|---|---|---|
| FAS(+3倍) | 約45% | 0日 | XLF 約15% |
| TNA(+3倍) | 約55% | 3日 | IWM 約18% |
| TECL(+3倍) | 約84% | 9日 | XLK 約28% |
| LABU(+3倍) | 約89% | 14日 | XBI 約30% |
| NUGT(+2倍) | 約105% | 21日 | GDX 約53% |
2倍型のNUGTは元の金鉱株の変動が大きいため、5本のブル型で最も値動きが荒く、1日で10%以上動いた日が21日ありました。値動きが大きすぎると感じるなら、投資額を減らしましょう。3倍型を1倍ETFの3分の1の金額で持てば、1日の値動きの幅はほぼ同じになります。
4. 純資産と出来高を確認する
ベア型は純資産が小さく、TECS(約0.7億ドル)とDUST(約0.9億ドル)は1億ドルを下回ります。売値と買値の差(スプレッド)が広がりやすいため、成行ではなく指値で注文し、取引開始直後の値の飛びやすい時間帯は避けるのが無難です。
5. 撤退ルールと注文機能を用意する
1日で2割近く動く日があるため、損切りの水準は買う前に決め、逆指値注文で自動化しておくと判断の遅れを防げます。ただしDMM株には米国株の逆指値がありません。
ほかの社でも、時間外取引では逆指値が効かないことが多くあります。雇用統計やCPIは日本時間21:30の発表で、米国市場の通常取引(夏時間は22:30開始)より前に値が動きます。時間外の急落や、前日の終値から離れた価格で始まる「窓開け」は逆指値では防げないため、投資額そのものを抑えておくことが大切です。
セクター別レバレッジETFが向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 決算・金利・金価格など業種の材料を自分で追える人 | 材料や日程を確認する時間がとれない人 |
| 数日〜数週間で売買を完結させる人 | 積立や長期保有を考えている人 |
| 損切りの水準を決めて守れる人 | 含み損を抱えたまま回復を待ちがちな人 |
| 投資額を資産の一部に抑えられる人 | 生活資金や近く使うお金で投資したい人 |
セクター別レバレッジETFを買える証券会社
手数料と為替コスト、損切りに使う注文機能は次のとおりです。
| 証券会社 | 米国株手数料 | 為替手数料(1ドルあたり片道) | 逆指値 | トレーリングストップ |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | 約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル | リアルタイム為替0銭(円貨決済は25銭) | ○ | × |
| 楽天証券 | 約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル | リアルタイム為替0銭(円貨決済は25銭) | ○ | ○ |
| マネックス証券 | 約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル | 買付0銭・売却25銭 | ○ | ○ |
| 松井証券 | 約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル | 両替0銭(円貨決済は25銭) | ○ | × |
| 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券) | 約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル | 20銭 | ○ | ○ |
| DMM株 | 約定代金の0.495%(税込)・上限22ドル | 25銭 | × | × |
| moomoo証券 | 約定代金の0.132%(税込)・上限22ドル | リアルタイム両替0銭(円貨決済は25銭) | ○ | ○ |
| ウィブル証券 | 無料(2026年7月27日〜) | 15銭 | ○ | ○ |
9月25日の終値を1ドル156.94円で換算すると、1株の金額はLABDの約1,200円からLABUの約4万円までです。1株単位で買えるため、少ない金額から値動きを確かめられます。
マネックス証券では、不正アクセス対策で一時止まっていたFAS・FAZ・LABU・LABD・TECSの買付が、2026年8月10日時点で解除されています。各社の特徴や注文機能はレバレッジETFの証券会社比較で詳しく比べています。
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セクター別レバレッジETFのよくある質問
- セクター別レバレッジETFはどれを選べばいいですか?
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業種ごとの材料で選びます。長短金利差の拡大や銀行業績の改善を見込むならFAS、臨床試験やM&Aの活発化ならLABU、大型テックの業績ならTECLが候補です。利下げと景気回復ならTNA、金価格の上昇ならNUGTが対応し、下落を見込む場合はそれぞれのベア型を使います。
どの銘柄も、見通しが外れれば1日の損失は指数の2〜3倍になります。材料と期間を決めきれないときは、1倍のセクターETFのほうが扱いやすい選択肢です。
- ブル型とベア型を同時に持てば、損失を抑えられますか?
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抑えられるとは限りません。2026年は金融株のFAS(−8.2%)とFAZ(−3.0%)、金鉱株のNUGT(−9.3%)とDUST(−50.3%)が、そろって年初来でマイナスでした。
上下に振れる相場では両方に減価がかかり、経費率も二重に払うことになります。ブル型とベア型は、どちらか一方を期間を区切って使うのが基本です。
- 1倍のセクターETF(XLF・XBI・XLKなど)とどちらが向いていますか?
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数カ月以上持つなら1倍のETFが向いています。経費率は1倍が0.08%〜0.51%、レバレッジ型は0.87%〜1.13%で、長く持つほど減価とコストの差が広がるためです。
数日〜数週間で業種の材料に賭ける短期売買ならレバレッジ型、業種の成長に長く乗るなら1倍、という使い分けが基本です。
- NUGT・DUSTはなぜ3倍ではなく2倍なのですか?
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2020年3月の新型コロナ・ショックで相場の変動が急拡大したため、Direxionが同年4月1日から倍率を3倍から2倍に引き下げました。現在も2倍型のままです。
- 金鉱株のETFは金価格と同じように動きますか?
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同じ方向に動きやすいものの、値幅は金価格より大きくなります。2026年8月は金価格の約1割の上昇に対して金鉱株指数が約33%上昇し、年初来でも金価格がほぼ横ばいのなかでGDXは+8.3%でした。
金鉱株は採掘コストや各社の生産計画でも動くため、金そのものの値動きに近い商品がほしい場合は、金価格に連動するETFが比較対象になります。
- TECLとTQQQはどう違いますか?
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TECLはS&P500の情報技術セクター(約70銘柄)の3倍、TQQQはナスダック100(約100銘柄)の3倍です。テクノロジー・セレクト・セクター指数には、アマゾン(一般消費財)やアルファベット・メタ(コミュニケーション・サービス)が含まれません。
その分TECLは半導体株の比率が高く、2026年の年初来はTECL +100.2%、TQQQ +51.9%と差がつきました(分配金込み)。主力のエヌビディア・アップル・マイクロソフトは共通のため、両方を持っても分散にはなりにくい組み合わせです。
- セクター別レバレッジETFに分配金は出ますか?
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出ることがありますが、額も回数も一定ではありません。2026年9月は、TECLとLABUを除く8銘柄が9月22日を権利落ち日として分配しました。
FASとTECLは2025年12月に、売買益を原資とする大口の分配(1株あたりFAS約12.09ドル、TECL約8.04ドル)を出しました。分配の権利落ち日には、その分だけ株価が下がる点に注意しましょう。
- セクター別レバレッジETFはNISAで買えますか?
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買えません。レバレッジ型・インバース型のETFは新NISAの対象外(成長投資枠・つみたて投資枠とも)で、2027年開始のこどもNISAでも扱いは同じです。特定口座などの課税口座で取引し、譲渡益・分配金の税率は20.315%です。
まとめ:セクター別レバレッジETFは材料・期間・撤退ルールを決めて使う
セクター別レバレッジETFは、業種の材料に大きな値幅で賭けられる一方、集中リスクと減価も大きい商品です。
- 金融(FAS・FAZ)・バイオ(LABU・LABD)・テクノロジー(TECL・TECS)・小型株(TNA・TZA)は3倍型、金鉱株(NUGT・DUST)は2倍型。10銘柄とも国内8社で買える
- 経費率は0.87%〜1.13%。ベア型は純資産が小さいため、指値注文が基本
- 2026年の年初来はTECL +100.2%〜TECS −69.5%。FASとNUGTは1倍ETFが上昇したのにマイナスで、FAZとDUSTも下落した
- 材料は業種で異なる(金融=長短金利差・決算、バイオ=臨床試験・M&A、テック=大型株の決算・AI、小型株=金利、金鉱株=金価格・実質金利)
- ベア型5本は2025〜2026年に1対10の併合を実施。保有期間と撤退ルールを決め、短期で使う
半導体や株価指数に連動するブル型も比べたい場合は米国レバレッジETF一覧を、ベア型全体の選び方はインバースETF一覧をご覧ください。各銘柄の詳しい特徴は、比較表のティッカーから個別記事で確認できます。
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