「株価の下落に備えたいけれど、インバースETFの仕組みがよくわからない」「SQQQやSOXSなど種類が多く、どれを選べばいいのか、国内の証券会社で買えるのかを知りたい」
WOZ mediaでは、米国上場のインバースETF(ベア型ETF)15銘柄を、対象・倍率・経費率・純資産・国内の取扱状況で一覧にしました。仕組みの基本から2026年の値動き、国内で買えない銘柄の代わりの手段まで解説します。
結論から言うと、インバースETFとは指数の「1日の値動き」と逆方向に動くことを目指す、短期向けのETFです。15銘柄のうち13銘柄は国内のネット証券で買えますが、PSQとTBTは2026年9月時点で主要8社とも取扱がありません。
- インバースETFの仕組みと、分配金が出る理由
- 米国インバースETF全15銘柄の経費率・純資産・国内取扱の一覧
- 2026年の年初来騰落率と、2025年以降の株式併合の実績
- 国内で買えないPSQ・TBTの代わりになる手段
- 目的・期間・倍率から見た選び方と主なリスク
- インバースETFを買える証券会社と手数料の目安
結論:米国インバースETFの選び方早見表【用途別・全15銘柄】
インバースETFは、「何の下落に備えるか(対象)」「何日持つか(期間)」「何倍にするか(倍率)」の3点で選びます。「おすすめの1本」は目的によって変わるため、用途別に候補を整理しました。
| 用途 | 主な候補(倍率) | 国内の取扱(8社中) |
|---|---|---|
| 保有株(S&P500連動)の下落に穏やかに備える | SH(-1倍) | 7社 |
| S&P500の下落を少ない資金・短期で狙う | SDS(-2倍)・SPXU(-3倍) | 7社 |
| ナスダック100の下落に備える・狙う | QID(-2倍)・SQQQ(-3倍) ※PSQ(-1倍)は国内で買えない | 7社(PSQはなし) |
| 半導体株の急落に備える・狙う | SOXS(-3倍) | 8社 |
| テクノロジー・金融・バイオ・金鉱株の下落 | TECS・FAZ・LABD(-3倍)、DUST(-2倍) | 8社 |
| 米国小型株・中国株の下落 | TZA・YANG(-3倍) | 8社 |
| 金利上昇(米国債の値下がり) | TMV(-3倍) ※TBT(-2倍)は国内で買えない | 8社(TBTはなし) |
取扱社数は、編集部が2026年9月28日に主要ネット証券8社の公開取扱銘柄一覧で確認した結果です(7社はDMM株以外)。15銘柄の経費率・純資産は一覧表で比べています。
どの銘柄も長期保有には向かず、数日〜数週間の短期で使うのが基本です。株価が上がった2026年は、SQQQが年初来−48.8%、SOXSが−94.7%と大きく値下がりしました。初めて使うなら-1倍など値動きの穏やかな倍率から始め、-3倍は仕組みと値動きに慣れてから検討するのが無難です。
インバースETFとは?下落で利益が出る仕組みをわかりやすく解説
インバースETFとは、株価指数などの1日の値動きと反対方向に動くことを目指すETF(上場投資信託)です。「ベア型ETF」とも呼ばれ、米国には-1倍・-2倍・-3倍の銘柄があります。
たとえばS&P500が1日で1%下がると、-1倍のETFは約1%、-2倍は約2%、-3倍は約3%の値上がりを目指します。反対に指数が上がれば、同じ倍率で値下がりします。
スワップ契約と先物で「逆の値動き」を作る
運用会社は、金融機関と指数の値動きを交換するスワップ契約や先物取引を使って、逆方向の値動きを作ります。手元の資金は、米国の短期国債(Tビル)などで運用します(ProSharesの2026年9月28日付目論見書)。投資家は通常の株と同じように買うだけで、信用取引の口座は必要ありません。
-2倍・-3倍は、下落方向にレバレッジをかけた商品です。上昇で利益を狙うレバレッジETF(ブル型)とは方向が逆なだけで、日次リセットなどの仕組みは共通です。基本の仕組みは、レバレッジETFとは何かで詳しく解説しています。
1日単位ではほぼ倍率どおりに動く(2026年の実例)
2026年の実際の値動きを見ると、1日単位ではほぼ倍率どおりに動いています。6月5日は強い雇用統計で利上げ観測が強まり株価が急落した日、9月21日は半導体株を中心に急反発した日です。
| 銘柄(倍率) | 6月5日(急落) | 9月21日(急反発) |
|---|---|---|
| SPY(S&P500・1倍) | −2.58% | +1.55% |
| SH(-1倍) | +2.65% | −1.53% |
| SDS(-2倍) | +5.29% | −3.13% |
| SPXU(-3倍) | +7.91% | −4.76% |
| QQQ(ナスダック100・1倍) | −4.80% | +2.77% |
| PSQ(-1倍) | +4.84% | −2.88% |
| QID(-2倍) | +9.65% | −5.75% |
| SQQQ(-3倍) | +14.38% | −8.63% |
※終値ベースの前日比(Yahoo Financeの価格データから編集部が計算)。
急落の日にSQQQは14%超上がった一方、反発の日には8%超下がりました。-3倍は相場観が当たれば値幅が大きく、外れたときの損失も同じだけ大きくなります。
日次リセットで、2日以上の保有では倍率どおりにならない
たとえば指数が1日目に10%下がり、2日目に11.1%上がって元の100に戻ったとします。
| 時点 | 指数 | -1倍 | -2倍 | -3倍 |
|---|---|---|---|---|
| 開始時 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 1日目(指数−10%) | 90 | 110 | 120 | 130 |
| 2日目(指数+11.1%) | 100 | 97.8 | 93.3 | 86.7 |
指数は元に戻ったのに、-3倍は約13%減りました。この目減りが「減価」で、倍率が大きく、値動きが荒い相場ほど大きくなります。
米SEC(証券取引委員会)も投資家向けの注意喚起で、1日を超えて保有すると成績が目標の倍率から大きく離れることがあると説明しています。
分配金が出るのは、担保の金利収入があるから
米国のインバースETFの多くは、年4回(四半期ごと)に分配金を出します。原資は主に、手元資金を置いている短期国債などの金利収入です。2026年9月は15銘柄すべてに分配があり、権利落ち日はProSharesが23日、Direxionが22日でした。
2026年9月25日の米3カ月物国債利回りは4.24%(米財務省)で、FRBが9月に政策金利を3.75〜4.00%へ引き上げたこともあり、金利収入は大きめです。SQQQの過去12カ月の分配利回りは約9.6〜10.4%です。
ただし利回りは「過去の分配額÷いまの株価」で計算するため、株価が下がるほど高く見えます。SOXSは海外のデータサイトで、直近12カ月の利回りが36.6%と表示されることがあります。これは急落と2回の併合で膨らんだ数字で、直近1回の分配額×4÷株価では約5.4%です。
分配金を受け取っても、値下がりのほうがはるかに大きくなりやすい点に注意が必要です(2026年の騰落率は後述)。
米国インバースETF一覧【全15銘柄】経費率・純資産・国内取扱を比較
米国の主要な株価指数・業種・米国債を対象とし、純資産や知名度の高いインバースETF15銘柄を、対象の種類ごとに並べました。表の銘柄名から、各ETFの詳しい解説記事に移動できます。
| ティッカー | 運用会社 | 対象 | 倍率 | 経費率 | 純資産 | 平均出来高(1日) | 国内取扱 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| SH | ProShares | S&P500 | -1倍 | 0.88% | 約9.5億ドル | 約870万株 | 7社 |
| SDS | ProShares | S&P500 | -2倍 | 0.91% | 約3.4億ドル | 約306万株 | 7社 |
| SPXU | ProShares | S&P500 | -3倍 | 0.90% | 約4.1億ドル | 約740万株 | 7社 |
| PSQ | ProShares | ナスダック100 | -1倍 | 0.95% | 約5.9億ドル | 約1,240万株 | なし |
| QID | ProShares | ナスダック100 | -2倍 | 0.95% | 約2.3億ドル | 約3,510万株 | 7社 |
| SQQQ | ProShares | ナスダック100 | -3倍 | 0.94% | 約21.6億ドル | 約4,440万株 | 7社 |
| TZA | Direxion | 米国小型株(ラッセル2000) | -3倍 | 0.99% | 約2.4億ドル | 約429万株 | 8社 |
| YANG | Direxion | 中国大型株(FTSE中国50) | -3倍 | 1.03% | 約1.1億ドル | 約74万株 | 8社 |
| SOXS | Direxion | 米国半導体株(NYSE半導体指数) | -3倍 | 1.00% | 約18.0億ドル | 約5,554万株 | 8社 |
| TECS | Direxion | 米国テクノロジー株 | -3倍 | 1.01% | 約0.70億ドル | 約38万株 | 8社 |
| FAZ | Direxion | 米国金融株 | -3倍 | 1.03% | 約1.0億ドル | 約116万株 | 8社 |
| LABD | Direxion | 米国バイオ株 | -3倍 | 1.07% | 約1.4億ドル | 約1,942万株 | 8社 |
| DUST | Direxion | 金鉱株 | -2倍 | 0.94% | 約0.91億ドル | 約166万株 | 8社 |
| TBT | ProShares | 米国20年超国債 | -2倍 | 0.93% | 約3.4億ドル | 約32万株 | なし |
| TMV | Direxion | 米国20年超国債 | -3倍 | 0.97% | 約2.3億ドル | 約125万株 | 8社 |
一覧表からわかる3つのポイント
- 純資産と出来高はSQQQ・SOXSが突出する一方、純資産が1億ドルに届かない銘柄も2本あります
- 経費率は0.88%〜1.07%で、1倍の通常ETF(SPYの0.0945%、QQQの0.18%)より高めです
- 国内取扱は、Direxionの8本が8社すべて、ProSharesの5本がDMM株以外の7社、PSQ・TBTは0社です
運用会社の違い:ProSharesとDirexion
ProSharesは、15銘柄ではS&P500・ナスダック100の6本と米国債のTBTを運用しています。名称で倍率がわかり、Short=-1倍、UltraShort=-2倍、UltraPro Short=-3倍です。-1倍の2本(S&P500型・ナスダック100型)は2006年6月の設定で、約20年の運用実績があります。
Direxionは、SOXLとSOXSのようにブル型とベア型を対で設定しているのが特徴で、15銘柄のセクター型5本はすべて同社の運用です。2026年2月27日付の目論見書から、正式名称の末尾が「Shares」から「ETF」に変わりました(例:Direxion Daily Semiconductor Bear 3X ETF)。
経費率はProSharesの7本が0.88〜0.95%、Direxionの8本が0.94〜1.07%で、ProSharesのほうがやや低めです。どちらも1日単位の倍率を目指す仕組みは同じです。
15銘柄のほかにも、S&P500の-3倍のSPXS(Direxion、経費率1.04%)や、ラッセル2000の-3倍のSRTY(ProShares)があります。グーグルやAMDなど、1社の株価の-1倍を目指す単一株型(DirexionのGGLS・AMDD)もあります。いずれも2025年以降に併合を行っており、国内での取扱は各社の銘柄検索で確認が必要です。
2026年の年初来騰落率を1倍ETFと比べる
下表は、2025年末から2026年9月25日までの騰落率です。同じ指数に連動する1倍ETFと並べると、指数の上昇がインバースETFの値下がりにどう効いたかがわかります。
| ティッカー | 倍率 | 年初来騰落率 | 同じ指数の1倍ETF |
|---|---|---|---|
| SH | -1倍 | −9.0% | SPY +14.0% |
| SDS | -2倍 | −20.1% | SPY +14.0% |
| SPXU | -3倍 | −30.4% | SPY +14.0% |
| PSQ | -1倍 | −16.4% | QQQ +21.6% |
| QID | -2倍 | −33.6% | QQQ +21.6% |
| SQQQ | -3倍 | −48.8% | QQQ +21.6% |
| TZA | -3倍 | −37.6% | IWM +15.3% |
| YANG | -3倍 | +30.8% | FXI −10.6% |
| SOXS | -3倍 | −94.7% | SOXX +90.5% |
| TECS | -3倍 | −69.5% | XLK +36.8% |
| FAZ | -3倍 | −3.0% | XLF +1.4% |
| LABD | -3倍 | −64.0% | XBI +27.3% |
| DUST | -2倍 | −50.3% | GDX +8.3% |
| TBT | -2倍 | +19.1% | TLT −6.2% |
| TMV | -3倍 | +29.5% | TLT −6.2% |
※いずれも分配金込み。Yahoo Financeの調整後終値から編集部が計算しました(SOXSは同サイトの表示値)。
15銘柄のうちプラスは、中国株と米国債を対象とする3本だけでした。半導体株が9割上がった一方で、-3倍のSOXSは値下がり幅が9割を超えています。
一方、-1倍のSHの下落(−9.0%)は、SPYの上昇(+14.0%)より小さく収まりました。分配金込みの数字なので、担保の金利収入が損失の一部を和らげています。
株価指数型のインバースETF(S&P500・ナスダック100・小型株・中国株)
米国株の下落に備えるETFとして基本になるのが、株価指数型です。保有している米国株や投資信託と同じ指数を選ぶと、ヘッジの効果を見積もりやすくなります。
S&P500:SH・SDS・SPXU
S&P500は、米国の大型株約500社で構成する米国株全体の代表的な指数です。-1倍のSHは純資産が約9.5億ドルと、-2倍のSDS、-3倍のSPXUの2倍以上あります。SDSとSPXUは少ない資金で同じ下落幅を取れますが、2025年11月20日にSDSは1対5、SPXUは1対4の併合をしています。
3本ともProShares運用のため、DMM株では買えません。三菱UFJ eスマート証券はSH・SPXUを2026年7月30日、SDSを8月31日から取り扱っています。倍率ごとの違いはS&P500のインバースETF比較で詳しく解説しています。
ナスダック100:PSQ・QID・SQQQ
ナスダック100は、金融を除くナスダック上場の大型100社で構成する指数です。ハイテク株の比率が高く、S&P500より値動きが大きくなりやすい特徴があります。
SQQQはブル型のTQQQと対になる-3倍で、純資産は約21.6億ドルと15銘柄で最大です。2025年11月20日に1対5の併合をしており、2024年11月にも同じ比率で併合しています。
-2倍のQIDも国内7社で買えますが、-1倍のPSQは国内8社とも取扱がありません(代わりの手段は後述)。3本とも2026年9月25日時点で52週安値の近くにあり、違いはナスダック100のインバースETF比較で整理しています。
米国小型株・中国株:TZA・YANG
TZAは、米国の小型株約2,000社で構成するラッセル2000の-3倍です。小型株は金利の影響を受けやすく、長期金利が急上昇した9月23日は1日で5.5%上がりました。2026年7月15日には1対10の併合をしています。
YANGは、香港に上場する中国大型株50社で構成するFTSE中国50指数の-3倍です。香港の中国株が6月に弱気相場入りした2026年は、年初来+30.8%と15銘柄で最も上昇しました。
セクター型のインバースETF(半導体・テクノロジー・金融・バイオ・金鉱株)
セクター型は、特定の業種の下落に絞って備えたり狙ったりするタイプです。対象が絞られる分だけ値動きが大きく、決算や業界のニュースで1日に2割以上動くこともあります。
- SOXS(半導体・-3倍)
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SOXSは、米国上場の半導体大手30社で構成するNYSE半導体指数の-3倍で、SOXL・SOXXと同じ指数に連動します(SOX指数とは別の指数)。1日で2〜3割動く日もあり、6月5日は+31.5%、急反発した7月30日は−26.3%でした。2026年は3月に1対20、7月に1対10と、2回の併合をしています。
- TECS(テクノロジー・-3倍)
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TECSは、S&P500のテクノロジー株で構成するテクノロジー・セレクト・セクター指数(XLKと同じ指数)の-3倍です。純資産は約0.70億ドルと15銘柄で最も小さく、2026年7月15日に1対10の併合をしています。
- FAZ(金融・-3倍)
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FAZは、S&P500の金融株で構成する金融セレクト・セクター指数(XLFと同じ指数)の-3倍です。銀行の決算や金利の動きが材料になりやすく、2025年9月29日に1対10の併合をしています。
- LABD(バイオ・-3倍)
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LABDは、S&Pバイオテクノロジー・セレクト・インダストリー指数(XBIと同じ指数)の-3倍で、経費率1.07%は15銘柄で最も高い水準です。臨床試験の結果で急変しやすく、モデルナとメルクのがんワクチンが最終段階の試験で成功した8月19日は、1日で−17.6%でした。
- DUST(金鉱株・-2倍)
-
DUSTは、GDXと同じMarketVectorグローバル金鉱株指数の-2倍です。金価格の影響を強く受け、金鉱株(GDX)が約33%上昇した8月は、1カ月で約48%下落しました。2026年3月5日に1対10の併合をしています。
5本とも国内8社で買えます。ブル型を含めた業種ごとの比較はセクター別レバレッジETFの比較をご覧ください。
米国債型のインバースETF(TMV・TBT)
米国債型は、米国20年超国債の値下がり、つまり長期金利の上昇で利益が出るタイプです。-3倍のTMV(Direxion)と-2倍のTBT(ProShares)は、どちらもTLTと同じICE米国債20年超指数に連動します。
2026年は、原油高でインフレが長引くなか、FRBが9月16日に政策金利を3.75〜4.00%へ引き上げました。20年債利回りは年初の4.81%から9月25日には5.54%まで上がり、30年債利回りも9月24日に一時5.50%と2004年以来の水準に達しています。
この結果、TMVは年初来+29.5%で52週高値の近くにあり、国内で買えないTBTも+19.1%です。反対に、ブル型のTMFは9月25日に52週安値を付けました。
米国債型の値動きは金利で決まり、株価との関係は一定ではありません。株式の下落に備えるなら株価指数型を使い、米国債型は金利の見通しで使い分けるのが基本です。金利と値動きの目安は米国債レバレッジETFの比較で解説しています。
国内で買えないPSQ・TBTと代わりの手段
PSQ(ナスダック100の-1倍)とTBT(米国20年超国債の-2倍)は、2026年9月28日時点で主要ネット証券8社の公開取扱銘柄一覧に載っていません。SBI証券の2025年8月以降の一覧にもなく、2026年に取扱開始や停止の告知もありません。
国内の証券会社は、外国投資信託としての届出がない米国ETFを原則扱えません(SBI証券・マネックス証券の取扱一覧の注記)。PSQ・TBTが載らない理由は公表されておらず、三菱UFJ eスマート証券が9月末ごろに予定する約1,400銘柄の追加(銘柄は未公表)で変わる可能性もあります。
現状で使える代わりの手段は、次の4つです。
| 代わりの手段 | PSQの代わり | TBTの代わり | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 同じ方向の米国ETF | QID(-2倍)・SQQQ(-3倍):7社 | TMV(-3倍):8社 | 倍率が上がる分、値幅と減価が大きい |
| 東証上場のインバースETF | iFreeETF NASDAQ100インバース(2842) | — | 円で売買できる。信託報酬は年0.825%(税込)で、為替ヘッジあり。純資産は約15億円と小さい |
| 米国株信用取引の売建て | QQQ(楽天証券) | TLT(楽天証券) | 日次リセットの減価はないが、追証がある。売建てできる銘柄は日々変わる |
| CFD | 米国NQ100(GMOクリック証券など) | 米国30年国債先物(IG証券など) | 証拠金取引で、損失が投資額を上回ることがある |
同じ方向のETFで代用する場合、PSQと同じ効果をQIDで得るなら投資額は半分、TBTと同じ効果をTMVで得るなら約3分の2で済みます。ただし倍率が高いほど、目減りも大きくなります。なお、いずれの手段もNISAの対象外です。
編集部の試算では、2026年6月末〜9月25日に1,000万円分をヘッジした場合、PSQ(1,000万円)の目減りは約6.5万円でした。同じ期間に、QID(500万円)は約13.4万円、SQQQ(約333万円)は約19.1万円目減りしています(分配金込み。この間のナスダック100はほぼ横ばい)。倍率を上げるなら、保有期間をより短く区切りましょう。
インバースETFを使う3つのメリット
信用取引なしで下落局面の利益を狙える
株価の下落で利益を出すには、通常は信用取引の空売りが必要です。インバースETFなら、現物株と同じ口座・同じ操作で、下落で利益が出るポジションを持てます。
現物で買うため、損失は投資額までで、追証もありません。相場が上がるほど損失が膨らみ続ける空売りとの、大きな違いです。
保有株を売らずに下落に備えられる
長く持ちたい株や投資信託の下落が心配でも、売却すると利益に税金がかかり、買い直すときの手数料もかかります。インバースETFを一時的に買えば、保有資産はそのままで値下がりの一部を相殺できます。
NISA口座の保有分を売ると、売った分の非課税保有限度額を再び使えるのは翌年以降です。NISAの資産は持ち続け、課税口座でインバースETFを使う方法もあります(インバースETF自体はNISAの対象外)。
少ない資金で下落に備えられる
-2倍なら-1倍の約半分、-3倍なら約3分の1の資金で、1日単位では同じ下落幅をカバーできます。残りの資金を現金で持てるため、急落後の買い増しにも備えやすくなります。
ただし倍率が上がるほど、値動きと減価も大きくなります。具体的な金額の目安は、次の選び方で紹介します。
インバースETFの選び方|目的・期間・倍率の3つで考える
インバースETFは、①何のために使うか、②どのくらいの期間持つか、③何倍にするか、の順に決めると選びやすくなります。
①目的:保有株のヘッジか、下落を狙う短期売買か
保有株の値下がりを和らげたいなら、保有資産と同じ指数のインバースETFを選びます。S&P500連動の投資信託ならSH・SDS・SPXU、ハイテク株が中心ならQID・SQQQが候補です。FOMCや主要企業の決算など、値動きが大きくなりやすいイベントの前だけヘッジする使い方もあります。
下落そのものを狙う短期売買なら、値動きの大きい-3倍や、材料がはっきりしたセクター型も選択肢になります。ただし外れたときの損失も大きいため、投資額は資産の一部に抑えましょう。
②期間:数日〜数週間の短期が基本
日次リセットで目減りするうえ、株価指数は長い目で見ると上昇してきたため、インバースETFは長く持つほど不利になりやすい商品です。2026年も、インバースETFが大きく上がったのは、イラン戦争が始まった直後の3月と、半導体株が急落した7月の約1カ月ずつでした。
| 銘柄(倍率) | 3月の急落(2月27日→3月30日) | 7月の急落(6月30日→7月29日) | その後の反発(7月29日→9月25日) |
|---|---|---|---|
| QQQ(1倍) | −8.0% | −10.1% | +12.6% |
| PSQ(-1倍) | +8.8% | +11.4% | −10.8% |
| QID(-2倍) | +17.9% | +23.5% | −21.2% |
| SQQQ(-3倍) | +27.2% | +36.2% | −30.8% |
| SOXX(1倍) | −12.0% | −27.4% | +23.2% |
| SOXS(-3倍) | +37.1% | +125.8% | −55.1% |
※分配金込みの騰落率(Yahoo Financeの調整後終値から編集部が計算)。
一方向に下がり続けた7月は、SOXXの−27.4%に対してSOXSが+125.8%と、単純な3倍(約82%)を大きく上回りました。日次リセットは、下落が続く局面では複利で有利に働きます。
しかし7月末からの反発で、急落局面の上昇分の大半は消えました。半導体株(SOXX)は6月末より10.6%安い水準で9月25日を迎えましたが、同じ期間のSOXSは+1.3%にとどまっています。
買う前に「何日持つか」「どの水準で手じまうか」を決めておきましょう。下落が一服したら、早めにポジションを解消するのが基本です。
③倍率:必要な資金と値動きのバランス
| 倍率 | 指数が1日−1%のとき | 1,000万円分を1日単位でヘッジする投資額 | 減価 | 主な使い方 |
|---|---|---|---|---|
| -1倍 | 約+1% | 約1,000万円 | 小さい | 保有株のヘッジ |
| -2倍 | 約+2% | 約500万円 | 中くらい | ヘッジ・短期売買 |
| -3倍 | 約+3% | 約333万円 | 大きい | 短期売買・少ない資金でのヘッジ |
減価は、倍率が高いほど、保有期間が長いほど大きくなります。そのため、期間が長くなりそうなヘッジは-1倍、数日で手じまう短期売買は-2倍・-3倍と、保有期間に合わせて倍率を選ぶのが基本です。
倍率が高いほど少ない資金で済みますが、値動きと減価も大きくなります。ベータ(指数に対する値動きの大きさ)や為替まで含めた必要額の計算は、インバースETFを使ったヘッジの方法で具体例とともに解説しています。
あわせて確認したいのが、売買コストと流動性です。インバースETFの経費率は0.88〜1.07%と1倍の通常ETFより高めですが、数週間の保有なら、負担が大きいのは売買のコストです。
編集部の試算では、30万円分のSQQQを1カ月持つと、経費率の負担は約235円です。一方、手数料が約定代金の0.495%の証券会社で買って売ると、往復で約3,000円かかります(1ドル156.94円で計算)。
流動性は、一覧表の純資産と平均出来高で確認します。SOXS・SQQQ・QIDは出来高が多い一方、TECS(約38万株)やYANG(約74万株)は少ないため、指値注文で価格を確かめながら売買しましょう。
インバースETFで株式併合(リバーススプリット)が繰り返される理由
インバースETFの株価は、長い目で見ると下がり続けやすい商品です。株価指数が長期で上昇してきたことに加え、日次リセットによる減価と経費率の負担が重なるためです。
株価が数ドル以下まで下がると売買しにくくなるため、運用会社は複数の株を1株にまとめる併合(リバーススプリット)で株価を引き上げます。ProSharesも、併合で1株あたりの価格が上がり、株数は同じ割合で減ると説明しています。
| 実施日(新しい価格での取引開始) | 銘柄と比率 |
|---|---|
| 2025年9月29日 | FAZ・LABD(1対10) |
| 2025年11月20日 | SQQQ・SDS(1対5)、SPXU(1対4) |
| 2026年3月5日 | SOXS(1対20)、DUST(1対10) |
| 2026年7月15日 | SOXS・TECS・TZA(1対10) |
2025年以降、15銘柄中9銘柄が計10回の併合をしています。SOXSは2回の併合で、2026年初めの200株が1株にまとまりました。
併合しても保有額は変わらず、1株未満の端数は現金で払い戻されます(課税対象になる場合があります)。SBI証券のように、併合の前後に一時的に売買できない期間を設ける証券会社もあるため、各社のお知らせで予定を確認しましょう。仕組みや過去の実施例はETFのリバーススプリット(株式併合)の解説にまとめています。
インバースETFのリスクと注意点
横ばい・乱高下の相場で目減りする
減価は、指数が方向感なく上下するときに大きくなります。2026年は金融株のXLFが年初来+1.4%とほぼ横ばいでしたが、ブル型のFASは−8.2%、ベア型のFAZも−3.0%と、両方が値下がりしました。
金鉱株でも、GDXが+8.3%上がるなか、2倍ブル型のNUGTは−9.3%、-2倍のDUSTは−50.3%でした(いずれも分配金込み)。上昇を当てたブル型でさえ損失が出るほど、値動きの荒さは成績を削ります。同じ指数のブル型とベア型を同時に持つ「両建て」も、両方が目減りしやすいため注意が必要です。
上昇相場では値下がりが続く
インバースETFは、指数が上がる限り値下がりが続きます。2026年は、S&P500が8月13日に最高値を付けるなど株高が続きました。QQQが年初来+21.6%上がる間に、SQQQは−48.8%、QIDは−33.6%下がっています。
急反発の日にも注意が必要です。9月21日にナスダック100が2.8%上がった日、SQQQは1日で8.63%、SOXSは14.85%下がりました。
金利の変化で分配金や値動きが変わる
分配金の原資は短期国債などの金利収入のため、政策金利が下がれば分配金も減る可能性があります。米国債型のTMV・TBTは、金利が下がると値下がりします。
FRBは2026年9月に政策金利を3.75〜4.00%へ引き上げ(2023年以来の利上げ)、年内の追加利上げも示唆しています。次回FOMCは10月27〜28日で、その前後は金利の見通しが変わりやすい時期です。
為替の影響を受ける
米国ETFはドル建てのため、円高になると円で見た損益が目減りします。2026年は7月30〜31日の円買い介入で、ドル円が162円台後半から157円台まで動きました。ヘッジに使う場合も、円に換算した損益で効果を確認しましょう。
純資産が小さい銘柄は売買コストや償還に注意
純資産や出来高が小さい銘柄は、売値と買値の差(スプレッド)が広がりやすく、成行注文では不利な価格で約定することがあります。また純資産が小さいETFは、運用会社の判断で償還(上場廃止)されることもあります。
インバースETFが向いている人・向いていない人
- 保有株を売らずに、短い期間だけ下落に備えたい人
- 下落の材料や相場観があり、数日〜数週間で手じまえる人
- 損切りの水準を決め、価格を毎日確認できる人
- 日次リセットと減価の仕組みを理解している人
- 「いつか暴落する」と考えて長期で持ち続けたい人
- 値動きを毎日確認できない人
- NISAの非課税枠で運用したい人
- 損失が膨らんでも損切りできない人
「向いていない人」に当てはまる場合は、現金の比率を高める、保有資産の配分を見直すなど、インバースETF以外の方法も比べてみましょう。
米国インバースETFを買える証券会社
15銘柄のうち13銘柄は、SBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・三菱UFJ eスマート証券・moomoo証券・ウィブル証券の7社で買えます。DMM株はDirexionの8銘柄だけで、ProShares運用の銘柄は扱っていません。
| 証券会社 | 米国株手数料 | 為替手数料 | 15銘柄中の取扱 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | 約定代金の0.495%・上限22ドル | リアルタイム為替0銭(円貨決済は25銭) | 13銘柄 |
| 楽天証券 | 約定代金の0.495%・上限22ドル | リアルタイム為替0銭(円貨決済は25銭) | 13銘柄 |
| マネックス証券 | 約定代金の0.495%・上限22ドル | 買付0銭・売却25銭 | 13銘柄 |
| 松井証券 | 約定代金の0.495%・上限22ドル | 両替0銭(円貨決済は25銭) | 13銘柄 |
| 三菱UFJ eスマート証券 | 約定代金の0.495%・上限22ドル | 20銭 | 13銘柄 |
| DMM株 | 約定代金の0.495%・上限22ドル | 25銭 | 8銘柄(Direxionのみ) |
| moomoo証券 | 約定代金の0.132%・上限22ドル | リアルタイム両替0銭(円貨決済は25銭) | 13銘柄 |
| ウィブル証券 | 無料(2026年7月27日〜) | 15銭 | 13銘柄 |
手数料は税込、為替手数料は1ドルあたり片道です(2026年9月時点)。0.495%の会社は、約定代金が約4,444ドル(約70万円)を超えると上限の22ドルになります。
インバースETFは短期売買で往復の回数が増えやすいため、売買手数料と為替コストの合計で比べるのが基本です。注文機能や口座開設の流れは、レバレッジETFを買える証券会社の比較で詳しく比べています。
注文前に確認したい4つのこと
- ティッカーの取り違え:SOXLとSOXS、TQQQとSQQQのように、似た名前で方向が逆の銘柄があります。正式名称・倍率・方向を必ず確かめましょう
- 指値注文が基本:寄り付き直後や純資産の小さい銘柄は、スプレッドが広がりやすくなります
- 併合の予定:併合の前後は、証券会社によって一時的に売買できない期間があります
- 逆指値の活用:インバースETFは急反発で一気に下がるため、買ったら逆指値で損切りの注文を入れておくと安心です
楽天証券:リアルタイム為替0銭で、米国株信用の売建ても比べられる
楽天証券は13銘柄を扱い、リアルタイム為替なら米ドル/円の為替手数料が0銭です。国内で買えないPSQ・TBTの代わりに、QQQ・TLTを米国株信用取引で売建てる方法も同じ口座で検討できます(売建てできる銘柄は日々変わります)。
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ウィブル証券:米国株・米国ETFの売買手数料が無料
ウィブル証券は2026年7月27日から米国株・米国ETFの売買手数料を無料にしており、為替手数料は1ドルあたり15銭です。売却時の現地の諸費用はかかりますが、売買を繰り返しやすいインバースETFではコストを抑えやすい証券会社です。
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インバースETFのよくある質問
- インバースETFとベアETFは違うものですか?
-
ほぼ同じ意味で使われます。どちらも指数と逆方向に動くETFを指し、商品名には「インバース」「ベア」「ショート」などの言葉が使われます(DirexionはBear、ProSharesはShort)。呼び方にかかわらず、倍率と対象指数を確認すれば区別できます。
- インバースETFは長期保有に向いていますか?
-
向いていません。日次リセットによる減価に加え、株価指数は長期で上昇してきたため、持ち続けるほど値下がりしやすくなります。2025年以降に15銘柄中9銘柄が併合したのも、価格が下がり続けた結果です。
保有期間を決めた短期の売買や、一時的なヘッジに限って使いましょう。
- インバースETFはNISAで買えますか?
-
買えません。レバレッジ型・インバース型ETFは新NISAの対象外(成長投資枠・つみたて投資枠とも)で、2027年開始のこどもNISAでも扱いは同じです。特定口座などの課税口座で取引します。
2026年6月には、NISA対象外の米国ETFを対象と誤って案内した証券会社が行政処分を受けています。NISA区分は注文画面で必ず確認しましょう。
- インバースETFの売却益や分配金にかかる税金は?
-
譲渡益・分配金とも税率は20.315%です。分配金は米国で10%源泉徴収され、確定申告の外国税額控除で調整できます。2027年に防衛特別所得税が始まりますが、合計税率は変わりません。
- インバースETFで投資額以上の損失が出ることはありますか?
-
現物で買う限り、損失は投資額までで追証もありません。一方、信用取引の空売りやCFDは、相場が上がると損失が投資額を上回ることがあります。
ただしインバースETFも、急反発が続くと短期間で大きく値下がりします。損切りの水準は買う前に決めておきましょう。
- インバースETFはいくらから買えますか?
-
米国ETFは1株から買えます。2026年9月25日の終値では、国内で買える13銘柄は1株7.42ドル(LABD)〜53.26ドル(SDS)で、1ドル156.94円なら約1,200〜8,400円です。売買手数料の最低額は各社とも0ドルなので、少額から試せます。
- インバースETFは日本時間の何時に売買できますか?
-
米国市場の通常の取引時間は、日本時間で夏時間(2026年は3月8日〜11月1日)が22時30分〜翌5時、冬時間が23時30分〜翌6時です。証券会社によっては、前後の時間外取引もできます。
米国の主要取引所は2026年12月から23時間取引を始める予定で、松井証券・マネックス証券は12月6日から対応する予定です。
- 日本株のインバースETFとは何が違いますか?
-
東証にも、日経平均やTOPIXのインバース型ETFがあります。たとえば「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信」(1357)は、日経平均の-2倍を目指します。円建てで日本の取引時間に売買できますが、日次リセットによる減価やNISA対象外の扱いは米国のインバースETFと同じです。
米国株の下落に備えるなら、保有資産と同じ米国の指数に連動する銘柄を選びましょう。
まとめ:インバースETFは一覧で特徴をつかみ、目的と期間を決めて使う
インバースETFとは、指数の1日の値動きと逆方向に動くことを目指すETFです。要点は次の6つです。
- 米国の主なインバースETFは-1倍〜-3倍の15銘柄で、株価指数型・セクター型・米国債型に分かれる
- 13銘柄は国内7社で買えるが、DMM株はDirexionの8銘柄のみ。PSQ・TBTは主要8社とも取扱なし
- 1日単位ではほぼ倍率どおりに動くが、2日以上では日次リセットで目減りしやすい
- 2026年は株高でSQQQが年初来−48.8%、SOXSが−94.7%。2025年以降、15銘柄中9銘柄が計10回の併合
- PSQ・TBTの代わりは、同じ方向のQID・SQQQ・TMV、東証上場の2842、米国株信用の売建て、CFDなど
- 目的(ヘッジか短期売買か)・期間・倍率を決め、手じまいのルールを先に作る
上昇を狙うブル型の銘柄は、米国レバレッジETF一覧で同じ形式で比較しています。購入前には、各社の銘柄検索で取扱状況と手数料を最新の情報で確認しましょう。
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