レバレッジETFの税金と確定申告|特定口座・損益通算・外国税額控除をわかりやすく解説【2026年最新】

「レバレッジETFで利益が出たら、税金はいくらかかる?」「SOXLの損失とTQQQの利益は相殺できる?確定申告は必要?」

米国のレバレッジETFは値動きが大きく、1年のうちに大きな利益も損失も出やすい商品です。WOZ media編集部が、国税庁の情報をもとに、レバレッジETFの税金の計算方法と確定申告の判断を試算付きで整理しました。

結論から言うと、税率は売却益・分配金とも20.315%で、特定口座(源泉徴収あり)なら原則として確定申告は不要です。ただし、複数の証券会社の損益を相殺したいとき、損失を繰り越したいとき、分配金の米国税を取り戻したいときは、申告した方が有利になることがあります。

この記事でわかること
  • 売却益・分配金にかかる税率と、米国での10%の源泉徴収
  • 円換算のルールと、為替の損益も課税される仕組み
  • 口座の種類別の確定申告の要否と、申告した方が得なケース
  • 損益通算できる相手・できない相手と、3年間の繰越控除
  • 分配金の外国税額控除の条件と、実際に戻る金額の目安
  • 株式併合・分割と、2027年の防衛特別所得税の影響

レバレッジ型ETF・インバース型ETFは、一般的なインデックスETFよりも価格変動リスクが大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。本記事の税金の説明は、2026年9月28日時点の国税庁の情報などに基づく一般的な内容で、試算は一定の前提を置いた計算です。個別の申告内容は、税務署や税理士にご確認ください。

この記事の目次

結論:レバレッジETFの税金は20.315%、特定口座(源泉徴収あり)なら原則申告不要【早見表】

レバレッジETFの税金は、国内の株式や投資信託と同じ「上場株式等」のルールで計算します。要点を早見表にまとめました。

税率売却益・分配金とも20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)
分配金米国で10%を源泉徴収され、残りに国内で20.315%(二重課税)
円換算取得は約定日のTTS、売却は約定日のTTBで円に換算。為替の損益も売却損益に含まれる
確定申告特定口座(源泉徴収あり)なら原則不要。源泉徴収なし・一般口座は利益があれば原則必要
申告した方が得なケース複数口座の損益の相殺、損失の繰越、分配金の外国税額控除(詳しくは後述)
損益通算米国株・国内株・投資信託・ETFどうしは可能。FX・CFD・暗号資産とは不可
損失の繰越翌年以後3年間。毎年の確定申告が条件
2027年以降防衛特別所得税が始まるが、合計税率20.315%は変わらない
NISA対象外で買えない。NISA口座の損失は通算も繰越もできない

国税庁のタックスアンサー(No.1463・No.1474・No.1476・No.1331など)の内容に基づきます(2026年9月時点)。

たとえば特定口座(源泉徴収あり)で100万円の利益が出ると、税金は20万3,150円、手取りは79万6,850円です(編集部の試算)。損失が出た年も申告しないと繰越控除を使えないため、利益の年だけでなく損失の年の手続きにも注意しましょう。

レバレッジETFの税金の種類と税率:売却益・分配金とも20.315%

米国上場のTQQQやSOXLなどのレバレッジETFは、税法上の「上場株式等」に当たります。課税されるのは、売ったときの利益(譲渡所得)と、保有中に受け取る分配金(配当所得)の2つです。

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項目売却益(譲渡所得)分配金(配当所得)
米国での課税原則なし10%を源泉徴収
国内の税率20.315%20.315%(米国税を引いた残りに課税)
課税方式申告分離課税申告不要・申告分離課税・総合課税から選ぶ
特定口座(源泉徴収あり)売却時に証券会社が天引き受け取り時に天引き
二重課税の調整不要確定申告の外国税額控除

上場株式等とは?
税金の計算で使う区分で、国内外の取引所に上場している株式・ETF、公募投資信託、国債などの特定公社債を含みます。米国ETFは「外国金融商品市場において売買されている株式等」として、この区分に入ります(国税庁No.1463)。

売却益:米国では原則課税されず、国内で20.315%

米国ETFの売却益は、日米租税条約により原則として米国では課税されず、日本で20.315%の税金がかかります。内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%(所得税の2.1%)、住民税5%です。

利益は「売却代金−(取得費+売買手数料など)」で計算します(国税庁No.1463)。含み益のまま持っている間は課税されず、売って損益が確定したときに課税されます。

分配金:米国で10%引かれた残りに国内で20.315%

分配金は、まず米国で10%が源泉徴収され、残りの90%に国内の20.315%がかかります。100ドルの分配金なら、米国で10ドル、国内で約18.28ドルが引かれ、手取りは約71.7ドルです(編集部の試算)。

この二重課税は、確定申告の外国税額控除で調整できます(後述)。分配金は、ETFを売っていなくても受け取った時点で課税されます。

ブル型のレバレッジETFは分配金が少なく、過去12カ月の分配利回りはTQQQが約0.5〜0.6%、QLDが約0.1%です(2026年9月時点)。ただし、FAS・TECL・TSLLは2025年12月に運用益(短期キャピタルゲイン)の分配を出し、FASは1株12.09ドルでした。

インバース型の分配金と米国の源泉税

インバース型は、担保として持つ短期国債などの利子を原資に、比較的大きな分配金を出します。SQQQの過去12カ月の分配利回りは約9.6%です(2026年9月時点)。

米国の税法には、利子に由来する分配金について、非居住者の源泉徴収を免除する区分があります。ProSharesの2025年分の資料では、この区分の割合がSQQQで78.9〜100%、ブル型のTQQQでも57.3〜86.3%でした(編集部の計算)。一方、Direxionの2025年10月期の報告書では、SOXS・SOXLのこの区分の指定は0%でした。

ただし、国内の証券会社で実際に米国税が免除・還付されているかは、公表情報では確認できませんでした。分配金の支払通知書で米国の税額を確かめ、不明な点は証券会社に問い合わせましょう。

レバナス・東証ETF・NISAとの違い(要点)

国内の投資信託(レバナス)や東証上場のレバレッジETF(2869など)も上場株式等で、税率は同じ20.315%です。円建てのため円換算は不要で、米国ETFとの損益通算もできます。売買の仕組みやコストまで含めた違いは「レバナスとTQQQの違い」で比較しています。

レバレッジ型・インバース型ETFは新NISAの対象外で、成長投資枠・つみたて投資枠のどちらでも買えません(2026年9月時点)。理由と代わりの選択肢は「レバレッジETFとNISA」で解説しています。

米国ETFの損益は円で計算する:為替差損益も課税対象

米国ETFの売却益は、ドルではなく円に換算した金額で計算します。国税庁の通達では、取得の対価は約定日のTTS、譲渡の対価は約定日のTTBで円に換算すると定めています(措置法通達37の10・37の11共-6)。

TTS・TTBとは?
TTS(対顧客直物電信売相場)は円をドルに替えるとき、TTB(対顧客直物電信買相場)はドルを円に替えるときのレートです。仲値に為替手数料を上乗せ・差し引きした値で、証券会社が自社のレートを公表していれば、そのレートを使います。

国税庁の質疑応答事例では、円に換算した売却代金がそのまま収入金額になるため、保有中の為替差損益を雑所得として分ける必要はないとしています。株価の損益と為替の損益を合わせた「円での損益」に20.315%がかかる、ということです。

特定口座なら、円貨決済・外貨決済のどちらでも、証券会社が約定日のレートで換算して損益を計算します(SBI証券の例)。売却代金をドルのまま持ち続けても、税金の計算に使うのは約定日のレートで換算した金額です。

ドル建てで損でも、円安なら税金がかかる【編集部の試算】

TQQQを100株買い、ドル建てでは5%値下がりしてから売った場合を試算しました。為替レートは仮定の値で、手数料は含めていません。

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項目買ったとき売ったとき差額
株価×株数80ドル×100株76ドル×100株−400ドル(−5%)
換算レートTTS 146円TTB 158円+12円
円での金額116万8,000円120万800円+3万2,800円
税金(20.315%)――6,663円

ドル建てでは400ドルの損失でも、円安で円での売却代金が増えたため、3万2,800円の利益として課税されます。反対に、同じ100株が88ドル(+10%)に上がっても、TTSが158円・TTBが140円なら円では3万2,000円の損失になり、ほかの利益と相殺できます。

特定口座・一般口座の違いと、確定申告が必要なケース

確定申告が必要かどうかは、まず口座の種類で決まります。レバレッジETFはNISAで買えないため、特定口座か一般口座で取引します。

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口座の種類損益の計算税金の納め方確定申告
特定口座(源泉徴収あり)証券会社証券会社が売却・受け取りのたびに天引き原則不要
特定口座(源泉徴収なし)証券会社(年間取引報告書を作成)自分で申告して納付利益があれば原則必要
一般口座自分自分で申告して納付利益があれば原則必要

特定口座は1社につき1口座です。源泉徴収の有無はその年の最初の売却までに選び、年の途中では変更できません(国税庁No.1476)。

源泉徴収ありの特定口座では、年初からの損益を口座内で通算し、利益が出れば税金を天引きし、その後に損失が出れば天引き済みの税金を戻します。分配金を同じ口座で受け取る設定にしておけば、口座内の売却損と自動で相殺され、分配金から引かれた国内の税金が戻ります(国税庁No.1476)。

源泉徴収なし・一般口座で利益が出ても、会社員には例外があります。給与を1か所から受け取り年末調整を受けていれば、副業なども含めた給与以外の所得が年20万円以下のとき、所得税の確定申告は不要です(国税庁No.1900)。ただし住民税の申告は別に必要で、医療費控除などで確定申告をするときは20万円以下の利益も含めて申告します。

確定申告が必要なケース・した方が得なケース【早見表】

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ケース申告理由
一般口座・源泉徴収なしで利益が出た必要(会社員は給与以外の所得が20万円超の場合)税金が天引きされていない
源泉徴収ありの特定口座だけで取引した不要口座内で納税が済んでいる
A社で利益、B社で損失が出たした方が得口座をまたいで損益通算でき、天引き済みの税金が戻る
年間の損失が残ったした方が得翌年以後3年間繰り越せる
過去の損失を繰り越している必要毎年申告しないと繰越が途切れる
分配金に米国の税金がかかった得な場合がある外国税額控除(上限あり)

源泉徴収ありの口座の損失を申告するときは、その口座で受け取った分配金も併せて申告する必要があります(国税庁No.1476)。

申告前に確認したい住民税・保険料への影響

2024年度(令和6年度)分の住民税から、上場株式等の分配金や売却益は、所得税で選んだ課税方式に住民税もそろえる仕組みになりました。確定申告した利益は住民税の所得にも含まれ、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、配偶者控除・扶養控除の判定に影響する場合があります(各自治体の案内)。

損失の繰越控除で税金がゼロになっても、扶養の判定などに使う合計所得金額は控除前の金額で計算されます(国税庁No.1331)。国民健康保険の加入者や家族の扶養に入っている人は、戻る税金と保険料などの増加を比べてから申告を判断しましょう。

手数料や為替コスト、取扱銘柄まで含めた証券会社の選び方は「レバレッジETFの証券会社比較」で解説しています。

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米国ETFの損益通算:通算できるもの・できないもの

レバレッジETFの売却損は、同じ年の「上場株式等」の利益と相殺(損益通算)できます。相手になるもの・ならないものは次のとおりです。

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通算の相手損益通算補足
米国株・米国ETF(レバレッジ型・インバース型を含む)できる上場株式等どうし
国内株・東証ETF・REITできる上場株式等どうし
公募投資信託(レバナスなど)できる上場株式等どうし
上場株式等の配当・分配金できる確定申告で申告分離課税を選んだ分のみ
国債・公募社債など(特定公社債)できる利子・売却損益とも上場株式等に含まれる
FX・CFD・先物できない「先物取引に係る雑所得等」という別の区分
暗号資産できない現行は雑所得(総合課税)
非上場株式できない一般株式等という別の区分
給与所得・事業所得などできない株式以外の所得とは通算できない
NISA口座の売却損できない損失はないものとみなされる

国税庁No.1463・No.1465・No.1474・No.1521・No.1522の内容に基づきます(2026年9月時点)。

同じ証券会社の源泉徴収ありの特定口座内なら、損益は自動で通算されます。別の証券会社の口座どうしや、一般口座との通算には確定申告が必要です。

FX・CFD・先物の損益も税率は20.315%ですが、区分が違うため米国ETFとは通算できません。課税口座の保有株の下落にインバースETFで備えれば損益を通算できますが、CFDや先物で備えた場合は通算できない点に注意しましょう。

暗号資産は現行では雑所得で、株式とは通算できません。令和8年度税制改正で一部の暗号資産を申告分離課税にする方針が決まりましたが(2028年からの適用が想定)、上場株式等とは別の区分になる見込みです。

年末の「損出し」:含み損を確定させて利益と相殺する

その年に利益が出ていて含み損の銘柄もあるなら、年内に売って損失を確定させれば、利益と相殺できます(損出し)。特定口座の損益は受渡日で年を判定するため、米国ETFは国内株より早く締め切られます。2025年は、米国株は現地12月24日の約定分までが年内の受渡でした(松井証券)。

特定口座では、同じ日に同じ銘柄を売って買い直すと、買いが先にあったとみなして取得単価を平均します。確定する損失が小さくなるため、損失をそのまま確定させたいなら、買い直しを翌日以降にする方法があります(楽天証券・大和証券の解説)。

損失の繰越控除:3年間使えるが、毎年の確定申告が条件

損益通算しても残った上場株式等の損失は、確定申告をすれば翌年以後3年間繰り越せます。繰り越した損失は、将来の売却益や分配金(申告分離課税を選んだもの)から差し引けます(国税庁No.1474)。

繰越控除を使うための条件は、次の3つです。

  • 損失が出た年に、確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)と計算明細書を付けて申告する
  • その後も毎年、付表を付けて申告する(売買がなかった年も必要)
  • 控除を受ける年に、付表などを付けて申告する

途中の年で申告が途切れると、それ以降は繰り越せません。源泉徴収ありの特定口座だけで取引している人も、繰越控除を使う年は確定申告が必要です。

3年を過ぎた損失は使えなくなります。繰越控除で税金がどれだけ減るかは、後述の計算例で試算しています。

分配金の外国税額控除:米国の10%を取り戻す条件

分配金にかかった米国の10%は、確定申告で外国税額控除を受ければ、日本の所得税や住民税から差し引けます。主な条件は次のとおりです。

使える人分配金を確定申告し、総合課税か申告分離課税を選んだ人
使えない分申告不要を選んだ分、NISA口座の分、米国で税金が還付された分
必要な書類外国税額控除に関する明細書(居住者用)と、外国税を課されたことを証する書類(年間取引報告書・支払通知書など)
控除の上限所得税額×(国外所得÷所得総額)。引ききれない分は、復興特別所得税と住民税(上限は所得税の控除限度額の30%)から差し引く
控除しきれない分一定の条件で翌年以後3年間繰り越せる

国税庁No.1240とSBI証券の案内に基づきます(2026年9月時点)。

米国ETFは、国内の投資信託にある「二重課税調整」(分配時調整外国税相当額控除)の対象外です。特定口座で受け取るだけでは米国の10%は戻らず、確定申告が必要です(SBI証券)。

控除の上限は、所得税のうち国外所得に対応する部分です。住宅ローン控除などで所得税が少ない人は、全額を取り戻せないことがあります。

たとえば所得総額500万円・所得税額20万円の人が分配金10万円を申告すると、所得税の控除限度額は4,000円(20万円×10万円÷500万円)です。復興特別所得税と住民税の分を加えても約5,300円で、米国で引かれた1万円の半分ほどしか控除できません(編集部の試算)。

分配金10万円なら、戻るのは最大約8,000円【編集部の試算】

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項目申告しない(申告不要)申告分離課税+外国税額控除
分配金(税引前)10万円10万円
米国の税金(10%)1万円1万円
国内の税金1万8,283円1万315円
手取り7万1,717円7万9,685円
税負担の合計約28.3%約20.3%

申告すると、国内の税金は米国税を引く前の10万円にかかるため、戻る額は1万円ではなく7,968円です。これは外国税額控除を全額使えた場合で、控除できるのが約5,300円の前述の例なら、戻る額は約3,300円にとどまります。

TQQQを100万円分持つ場合、過去12カ月の利回りで計算すると年間の分配金は約5,000〜6,000円で、戻る額は数百円です。国民健康保険料などへの影響もふまえ、手間に見合うかを判断しましょう。

総合課税を選ぶと、税率は所得に応じて変わります(所得税5〜45%+住民税10%)。課税所得が195万円以下なら合計約15.1%と申告分離課税より低くなりますが、米国ETFの分配金は配当控除の対象外で、売却損との通算もできません。

米国ETFの確定申告の流れ【4ステップ】

源泉徴収ありの特定口座を使っている人が、損益通算や外国税額控除のために申告する場合の流れです。

STEP
年間取引報告書と支払通知書をそろえる

特定口座年間取引報告書は、翌年1月ごろに各社のサイトなどで交付されます。一般口座で取引した分は、取引報告書をもとに円換算の損益を自分で計算します。

STEP
申告する内容と課税方式を決める

他社口座との通算・損失の繰越・外国税額控除のどれを使うかを決め、分配金は申告分離課税か総合課税を選びます。申告で選んだ課税方式(申告不要を含む)は、後から修正申告や更正の請求で変えられません(国税庁No.1331)。

STEP
確定申告書等作成コーナーで入力する

国税庁の確定申告書等作成コーナーに年間取引報告書の数字を入力すると、付表・計算明細書・外国税額控除に関する明細書も作成できます。

STEP
期限までに提出する

提出期間は原則として翌年2月16日〜3月15日で、e-Taxならマイナンバーカードを使って自宅から提出できます。税金が戻るだけの還付申告は、翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁No.2020・No.2030)。

株式併合・分割と税金:特定口座なら取得単価は自動で調整

レバレッジ型・インバース型ETFでは、株式分割や株式併合(リバーススプリット)がよく行われます。株数と1株の価格が変わるだけで取得価額の合計は引き継がれ、損益が出るのは端数を現金化した場合です。

分割・併合後の1株の取得価額は「旧1株の取得価額×旧株数÷新株数」で計算します(所得税法施行令110条。ETFなどの受益権も同様)。1円未満の端数は原則として切り上げます。

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例分割・併合の前分割・併合の後取得価額の合計
TQQQの2対1分割(2025年11月20日)100株・1株1万5,000円200株・1株7,500円150万円のまま
SQQQの1対5併合(2025年11月20日)100株・1株3,000円20株・1株1万5,000円30万円のまま

取得価額は編集部が仮定した数値です。特定口座で管理が続く場合、取得単価は証券会社が自動で調整します(SBI証券)。

併合で1株未満の端数が出ると、多くの証券会社では現金化され、売却代金として支払われます。ProSharesは端数の現金化で損益が実現し課税の対象になり得ると説明し、SBI証券は端数の売却代金を特定口座内で損益通算すると案内しています。

国内ETFの併合の例では、運用会社(野村アセットマネジメント)が、端数の代金は一般に「上場株式等に係る譲渡所得等」に当たると考えられるとしています。一般口座で処理される場合は、確定申告の要否を報告書で確認しましょう。

併合前後の売買停止や注文の扱いは「ETFのリバーススプリット(株式併合)」で解説しています。

2027年からの防衛特別所得税:合計税率20.315%は変わらない

2027年(令和9年)1月1日以後に生じる所得から、防衛特別所得税(所得税額の1%)が課されます。同時に復興特別所得税が所得税額の2.1%から1.1%に下がるため、上場株式等の合計税率は20.315%のままです(国税庁No.1331)。

内訳2026年まで2027年から
所得税15%15%
復興特別所得税0.315%(所得税の2.1%)0.165%(所得税の1.1%)
防衛特別所得税―0.15%(所得税の1%)
住民税5%5%
合計20.315%20.315%

国税庁は、合計税率が変わらないため源泉徴収税額の計算方法も変わらないとしており、特定口座で天引きされる額は同じです。確定申告をする場合は、2027年分から防衛特別所得税を所得税・復興特別所得税と併せて申告・納付します。

なお、復興特別所得税の課税期間は、2047年まで10年延長されます。

計算例:利益100万円・損益通算・繰越控除で税金はいくら?【編集部の試算】

具体的な金額で税金を試算しました。いずれも円での損益で、手数料は含めていません(編集部の試算)。

利益100万円なら税金は20万3,150円

所得税(15%)15万円
復興特別所得税(所得税の2.1%)3,150円
住民税(5%)5万円
税金の合計(20.315%)20万3,150円
手取り79万6,850円

2027年以降は、復興特別所得税1,650円と防衛特別所得税1,500円に分かれますが、合計額は同じです。

2社で損益が分かれたら、申告で12万1,890円が戻る

A社の特定口座(源泉徴収あり)でSOXLの利益が100万円、B社の特定口座(源泉徴収あり)でSOXSの損失が60万円出た場合です。

項目申告しない確定申告で損益通算
課税される利益100万円(A社分)40万円
税金20万3,150円8万1,260円
戻る税金―12万1,890円

申告しなければ、B社の損失は使われないまま終わります。戻る税金のうち所得税分は還付され、住民税分は住民税の計算で調整されます。

損失80万円を繰り越すと、3年間で16万2,520円の差

2026年に80万円の損失、2027年と2028年に50万円ずつの利益が出た場合です。

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年損益繰越控除なし繰越控除あり
2026年−80万円0円0円(80万円を繰り越す)
2027年+50万円10万1,575円0円(残り30万円を繰り越す)
2028年+50万円10万1,575円4万630円
3年間の合計+20万円20万3,150円4万630円

繰越控除を使うと、3年間の損益の合計20万円にだけ課税される計算です。そのためには、2026〜2028年の3年とも付表を付けて確定申告する必要があります。

レバレッジETFの税金のよくある質問

レバレッジETFの利益が20万円以下なら、税金はかかりませんか?

かかります。源泉徴収ありの特定口座では、金額にかかわらず20.315%が天引きされます。20万円以下で不要になるのは、年末調整を受けた会社員が源泉徴収なし・一般口座で得た利益の「所得税の申告」だけで、住民税の申告は必要です。

売らずに持ち続けている間も税金はかかりますか?

値上がり益(含み益)には、売るまで税金はかかりません。一方、分配金は受け取るたびに課税されます。年末に含み益や含み損があっても、その年の税金には影響しません。

売買手数料は、損益の計算で差し引けますか?

差し引けます。売買手数料(消費税込み)は、買うときは取得費に、売るときは譲渡費用に含めて損益を計算します(国税庁No.1463など)。特定口座なら証券会社が自動で計算し、年間取引報告書の損益にも反映されます。

SOXLの損失とSOXSの利益は相殺できますか?

できます。どちらも上場株式等なので、同じ年の損益を通算できます。同じ証券会社の特定口座なら自動で、別の証券会社の口座どうしなら確定申告で通算します。

インバースETFの損失を、FXやCFDの利益と相殺できますか?

できません。FX・CFD・先物の損益は「先物取引に係る雑所得等」という別の区分で、上場株式等とは通算できません(国税庁No.1521・No.1522)。損失の3年間の繰越も、それぞれの区分の中で行います。

外国税額控除を受けると、住民税も戻りますか?

所得税と復興特別所得税から控除しきれない分は、住民税からも控除されます。住民税での上限は、所得税の控除限度額の30%です(国税庁No.1240)。申告した分配金は住民税の所得にも含まれるため、保険料などへの影響も確認しましょう。

特定口座の「源泉徴収あり・なし」は途中で変えられますか?

年の途中では変えられません。翌年の最初の売却までに証券会社へ届け出れば、翌年から変更できます(国税庁No.1476)。

2027年からレバレッジETFの税金は上がりますか?

上がりません。防衛特別所得税が始まりますが、復興特別所得税が同じ分だけ下がるため、合計税率は20.315%のままです。

まとめ:レバレッジETFの税金は「口座選び」と「申告するかの判断」がポイント

レバレッジETFの税金の要点は次のとおりです。

  • 売却益・分配金とも税率は20.315%。分配金は米国で10%引かれた残りに課税される
  • 損益は円で計算し、為替の損益も含まれる(取得はTTS、売却はTTB)
  • 源泉徴収ありの特定口座なら原則申告不要。複数口座の通算・損失の繰越・外国税額控除には申告が必要
  • 上場株式等どうしは損益通算でき、FX・CFD・暗号資産・NISAの損益とは通算できない
  • 2027年の防衛特別所得税で内訳は変わるが、合計20.315%は変わらない

申告すると税金が戻る一方で、住民税の所得が増え、保険料などに影響する場合があります。個別の判断に迷うときは、税務署や税理士に確認しましょう。

レバレッジETFの仕組みやリスクから確認したい方は「レバレッジETFとは」を、各銘柄の分配金や特徴は個別の解説記事をご覧ください。

本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品・ETF・証券会社の利用を推奨するものではありません。掲載情報は2026年9月28日時点のものです。税制・税率、ETFの分配金、証券会社の手数料・取扱銘柄などは変更される場合があります。税金の計算例は一定の前提に基づく試算で、実際の税額は所得や控除の状況によって異なります。個別の申告は税務署または税理士にご確認ください。レバレッジETF・インバースETFは一般的なETFよりリスクが高く、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は、各ETFの目論見書・運用会社の公式情報・証券会社のリスク説明・手数料体系を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

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この記事を書いた人

小畑 和彰のアバター 小畑 和彰 合同会社WOZ 代表

1999年11月12日、神奈川県三浦市にて生まれる。東京都目黒区在住。
2016年7月にフリーランスとして起業し、Webサイト運営・アフィリエイト広告事業を開始。2020年4月に合同会社WOZ(WOZ LLC)を設立し、アフィリエイト事業の一部を法人化。
現在は、アフィリエイトやウェブ制作を主軸に置きながらも、FXや株式投資にも意欲的に取り組み、自身で得た知見をもとに情報発信を行っている。

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