「レバレッジETFは長く持つと『減価』するって本当?」「指数は元の水準に戻ったのに、TQQQやSOXLの価格が戻らないのはなぜ?」
レバレッジETFの減価は、2倍・3倍型を2日以上持つと誰にでも起こる現象です。WOZ media編集部が、仕組みを2日間の計算例から近似式まで整理し、相場別のシミュレーションと2026年の実データで損失の大きさを検証しました。
結論から言うと、減価は指数が横ばいでも起きる目減りで、大きさは「倍率×(倍率−1)÷2×変動率²」でおおよそ見積もれます。同じ相場なら、3倍型の目減りは2倍型の約3倍です。ナスダック100がほぼ横ばいだった2026年6月2日→9月25日にも、QLDは−3.6%、TQQQは−8.7%下落しました。
- 減価の定義と、2日間の計算でわかる仕組み
- 目減りを見積もる近似式と、倍率ごとの係数
- 横ばい・乱高下・上昇・下落トレンド別のシミュレーション
- 2026年の実データ(TQQQ・QLD・SOXL・SOXS)による検証
- 減価とコストの違い、インバース型と株式併合の関係
- 減価を抑えるための保有期間と倍率の選び方
結論:レバレッジETFの減価は「倍率・変動率・期間」で決まる目減り【早見表】
レバレッジETFの減価とは、毎日倍率をかけ直す「日次リセット」と複利の影響で、指数が上下に振れるほど価格が目減りしていく現象です。要点を早見表にまとめました。
| ひとことで言うと | 2日以上の成績が「指数の騰落率×倍率」を下回っていく現象。指数が横ばいでも起きる |
|---|---|
| 目減りの目安 | −倍率×(倍率−1)÷2×変動率²(変動率=期間中の値動きの大きさ) |
| 倍率ごとの係数 | +2倍=1、+3倍=3、−1倍=1、−2倍=3、−3倍=6(3倍型の目減りは2倍型の約3倍) |
| 指数が1年横ばいなら | 変動率25%で、+2倍型−6.1%、+3倍型−17.1%、−3倍型−31.3% |
| 2026年の実例(ナスダック100) | 指数が−0.2%だった6月2日→9月25日に、QLD −3.6%、TQQQ −8.7% |
| 2026年の実例(半導体) | 半導体株がほぼ横ばいだった6月1日→9月25日に、SOXL −33.3%、SOXS −48.2% |
| 大きくなる条件 | 倍率が高い、値動きが大きい、保有期間が長い、方向感がない相場 |
| 有利に働く条件 | 同じ方向に動き続けるトレンド相場(単純な倍率を上回ることもある) |
| コストとの違い | 経費率やスワップの資金コストは、減価とは別に毎日かかる(詳しくは後述) |
減価の大きさは、倍率・変動率・保有期間の3つで決まります。変動率は対象の指数で大きく違い、2026年の値動きで計算すると、指数が1年横ばいならS&P500の3倍型は約5%、半導体の3倍型は約52%目減りします。倍率が高いほど、値動きが荒い対象ほど、また長く持つほど目減りが積み上がる点が基本です。
レバレッジETFの減価(逓減)とは:横ばいでも起きる目減り
レバレッジETFは、指数の「1日」の値動きの2倍・3倍を目指す商品です。1日ごとに倍率をかけ直すため、2日以上持つと、期間全体の成績は「指数の騰落率×倍率」と一致しなくなります。
このずれのうち、指数が上下に振れることで生まれるマイナス分が「減価」です。運用会社によっては「逓減(ていげん)」と呼び、英語の「ボラティリティ・ドラッグ(値動きによる目減り)」も同じ現象を指します。減価は運用の失敗ではなく、毎日の倍率を目標どおりに達成していても起きます。
金融庁は、レバレッジ型・インバース型ETFを主に短期売買で利益を得るための商品と位置づけ、注意を呼びかけています。米SECも投資家向けの注意喚起で、ある指数が4カ月で2%上がった間に、その2倍型ETFが6%下落した実例を挙げています。
なお、単純な倍率とのずれには経費率などのコストも含まれ、両方をまとめて「減価」と呼ぶ説明もあります。本記事では、値動きによる目減りを「減価」、費用による目減りを「コスト」と分けて扱います。
日次リセットで運用会社がポジションをどう調整しているかは、「レバレッジETFとは」で解説しています。
減価が起きる仕組み:2日間の計算から近似式まで
2日間の例:指数が元に戻っても3倍型は5.45%減る
指数が1日目に10%上がり、2日目に元の100へ戻った(約−9.1%)場合を、倍率ごとに計算しました(編集部の試算、コストは考慮せず)。
| 倍率 | 1日目(指数110) | 2日目(指数100) | 2日間の騰落率 |
|---|---|---|---|
| 1倍(指数) | 110 | 100 | 0% |
| +2倍 | 120 | 98.18 | −1.82% |
| +3倍 | 130 | 94.55 | −5.45% |
| −1倍 | 90 | 98.18 | −1.82% |
| −2倍 | 80 | 94.55 | −5.45% |
| −3倍 | 70 | 89.09 | −10.91% |
指数は元の100に戻ったのに、+3倍型は94.55と5.45%減りました。1日目に130へ増えた元本に、2日目の下落(約−27.3%)がかかるためです。
上げ下げを繰り返すと、「増えた元本で下げを受け、減った元本で上げを受ける」形になります。倍率が高いほど1日の上げ下げが大きくなり、このずれも広がります。
目減りは+2倍と−1倍が同じ1.82%、+3倍と−2倍が同じ5.45%、−3倍が10.91%で、比は1対3対6です。この比が、次の近似式の「係数」にあたります。
この2日間の目減りは「倍率×(倍率−1)×上昇率²÷(1+上昇率)」で求められ、+3倍なら3×2×0.1×0.1÷1.1=5.45%です。上昇率の2乗が入っていることが、減価が値動きの大きさの2乗に比例する理由です。
近似式:目減りは「係数×変動率の2乗」で決まる
2日間の例を長い期間に広げると、減価による目減りは次の近似式で表せます。
| 近似式 | 目減り(単純な倍率からのずれ)≈ −倍率×(倍率−1)÷2×変動率² |
|---|---|
| 係数 | 倍率×(倍率−1)÷2。+2倍=1、+3倍=3、−1倍=1、−2倍=3、−3倍=6 |
| 変動率 | 期間中の値動きの大きさ。1年なら年率の変動率を使う。期間が短いときは、式の「変動率²」を「年率の変動率²×保有年数」に置き換える |
数式が苦手な方は、次の3点を押さえれば十分です。
- 目減りは値動きの大きさの2乗に比例する。変動率が2倍になると、目減りは近似式の上で4倍になる
- 倍率の影響は係数で決まる。+2倍を1とすると、+3倍は3、−3倍は6
- 目減りは保有期間に比例して積み上がる。1年持てば、3カ月の約4倍になる
たとえば変動率20%の指数が1年横ばいなら、3倍型の目減りは3×0.2×0.2=0.12で約12%です。目減りが大きいほど近似式は実際より大きめに出るため、下の表では複利で換算し直した値(−11.3%)を載せています。
| 倍率 | 係数 | 2日間の例 | 1年横ばい・変動率20% | 同25% | 同40% |
|---|---|---|---|---|---|
| +2倍 | 1 | −1.82% | −3.9% | −6.1% | −14.8% |
| +3倍 | 3 | −5.45% | −11.3% | −17.1% | −38.1% |
| −1倍 | 1 | −1.82% | −3.9% | −6.1% | −14.8% |
| −2倍 | 3 | −5.45% | −11.3% | −17.1% | −38.1% |
| −3倍 | 6 | −10.91% | −21.3% | −31.3% | −61.7% |
同じ相場なら、3倍型の目減りは2倍型の約3倍、−1倍型は+2倍型と同じ、−3倍型は+3倍型の約2倍です。倍率を2倍から3倍に上げると、値幅は1.5倍になる一方、目減りは約3倍に増えます。
目論見書の試算表で検算する
ProSharesの目論見書(2026年9月28日付)には、指数の1年の騰落率と変動率の組み合わせごとに、ファンドの成績を試算した表が載っています。配当・経費・資金コストをゼロとした前提です。
指数が0%(横ばい)で変動率25%の欄は、+2倍型と−1倍型が−6.1%、+3倍型と−2倍型が−17.1%、−3倍型が−31.3%でした。上の表と一致し、倍率どうしの関係も同じです。
同じ表で+3倍型の目減りは、変動率10%なら−3.0%ですが、50%では−52.8%まで膨らみます。ナスダック100の過去5年の変動率は22.60%(2026年5月末まで)で、25%の列に近い水準です。
相場別シミュレーション:横ばい・乱高下・上昇・下落トレンドで比較
相場の形によって減価がどう効くかを、4つの相場で試算しました(編集部の試算)。前提は次のとおりです。
| 期間 | 60営業日(約3カ月) |
|---|---|
| 横ばい(小動き) | 指数が100→101→100の往復を30回(上げ下げ約1%) |
| 乱高下 | 指数が100→103→100の往復を30回(上げ下げ約3%) |
| 上昇トレンド | 指数が毎日+0.3%(上下なし) |
| 下落トレンド | 指数が毎日−0.3%(上下なし) |
| 倍率 | +2倍・+3倍・−1倍・−3倍(毎日、倍率どおりに動く) |
| コスト | 経費率・資金コスト・売買コストは含まない |
| 相場 | 指数 | +2倍 | +3倍 | −1倍 | −3倍 |
|---|---|---|---|---|---|
| 横ばい(小動き) | 0% | −0.6% | −1.8% | −0.6% | −3.5% |
| 乱高下 | 0% | −5.1% | −14.6% | −5.1% | −27.1% |
| 上昇トレンド | +19.7% | +43.2%(+39.4%) | +71.2%(+59.1%) | −16.5%(−19.7%) | −41.9%(−59.1%) |
| 下落トレンド | −16.5% | −30.3%(−33.0%) | −41.9%(−49.5%) | +19.7%(+16.5%) | +71.2%(+49.5%) |
表から読み取れるポイントは次の3つです。
- 横ばいでも必ず目減りする。上げ下げの幅が約3倍になると、3倍型の目減りは−1.8%から−14.6%へ約8倍に膨らむ(近似式では9倍)
- 一方向に動き続けると、上昇でも下落でも単純な倍率より有利になる。上昇トレンドの3倍型は+71.2%と、単純な3倍を約12ポイント上回る
- −3倍型は横ばいでの目減りが+3倍型の約2倍で、乱高下では約3カ月で−27.1%になる
表のトレンド相場は、上下動のない単純な仮定です。金融庁の注意喚起も、中長期の株価は上下動を繰り返すことが多く、一方向に上昇・下落が続くケースは少ないとしています。
トレンドの途中の上下動の分だけ目減りが加わるため、上昇相場でも損をすることがあります。ProSharesの目論見書の試算では、指数が1年で+10%上がっても、変動率50%なら3倍型は−37.1%です。
反対に、上昇がきれいに続けば有利さが表に出ます。2026年3月30日→6月2日にナスダック100が+33.6%上がった局面で、TQQQは+130.2%と単純な3倍(+100.7%)を約30ポイント上回りました。局面ごとの比較は「ナスダック100のレバレッジETF比較」で紹介しています。
2026年の実データで検証:TQQQ・QLD・SOXL・SOXSの減価
ここからは、2026年の実際の値動きで減価の大きさを確かめます。指数がほぼ同じ水準に戻った期間を選び、ETFの実績を単純な倍率と比べました。
| 銘柄(期間) | 指数 | 単純な倍率 | 理論値(コストなし) | 実績 |
|---|---|---|---|---|
| QLD(+2倍、6月2日→9月25日) | −0.2% | −0.3% | −2.1% | −3.6% |
| TQQQ(+3倍、同) | −0.2% | −0.5% | −5.6% | −8.7% |
| SQQQ(−3倍、同) | −0.2% | +0.5% | −9.6% | −8.6% |
| SOXL(+3倍、6月1日→9月25日) | +0.1% | +0.4% | −29.5% | −33.3% |
| SOXS(−3倍、同) | +0.1% | −0.4% | −49.8% | −48.2% |
ナスダック100:横ばいでもTQQQとSQQQがそろって約9%下落
ナスダック100は6月2日(当時の最高値30,660.60)から9月25日(30,608.13)まで、ほぼ横ばいでした。それでもQLDは−3.6%、TQQQは−8.7%下げ、逆方向のSQQQも−8.6%でした。上昇と下落のどちらに賭けても損をした計算です。
指数の日々の騰落率を倍率どおりに積み上げた理論値でも、+2倍で−2.1%、+3倍で−5.6%、−3倍で−9.6%まで目減りしています。単純な倍率からのずれ(約1.7・5.1・10.1ポイント)は、係数の比1対3対6とほぼ一致します。
半導体:変動率が約2.5倍なら目減りは約6倍
値動きの大きい半導体株では、減価ははるかに大きくなります。6月1日→9月25日の半導体株はほぼ横ばい(+0.1%)でしたが、SOXLは−33.3%、SOXSは−48.2%と、ブル型もベア型も大きく下げました。
それぞれの期間の変動率(年率)は、半導体株が約60%、ナスダック100が約24%でした。変動率が約2.5倍なら、近似式では目減りが約6倍(2.5の2乗)になる計算です。実際に3倍型の理論値の目減りも、約5ポイントと約30ポイントでした。
SOXLが上場来高値を付けた6月22日から9月25日までは、NYSE半導体指数が12.7%下げました。単純な−3倍なら+38%のはずのSOXSも、実際は−1.7%(分配金込みで+0.7%)と、ほとんど増えていません。
各銘柄の特徴やリスクは、個別の解説記事で詳しく紹介しています。
減価とコスト(経費率・スワップの資金コスト)の違い
実績と単純な倍率との差には、減価のほかにコストも含まれます。2つは原因も対策も違うため、分けて考えましょう。
| 項目 | 減価 | コスト |
|---|---|---|
| 原因 | 日次リセットと複利(指数の上下動) | 経費率、スワップ・先物の資金コスト、売買コスト |
| 大きさを決めるもの | 倍率・変動率・保有期間 | 経費率・短期金利・倍率・保有期間 |
| トレンド相場では | 上昇・下落とも有利に働くことがある | 相場に関係なく毎日かかる |
| 目論見書の試算表 | 含まれる | 含まれない(ゼロの前提) |
| TQQQの例(6月2日→9月25日) | 約−5.1ポイント | 約−3.1ポイント |
ProSharesの目論見書も、試算表はレバレッジの調達金利をゼロとした前提で、実際の調達コストは大きくなる見込みだと注記しています。
前章の実データを、日次複利の影響(減価など)とコストなどに分けると次のとおりです。
| 銘柄(期間) | 単純な倍率との差 | うち日次複利の影響(減価など) | うちコストなど |
|---|---|---|---|
| QLD(6月2日→9月25日) | −3.2ポイント | −1.7ポイント | −1.5ポイント |
| TQQQ(同) | −8.2ポイント | −5.1ポイント | −3.1ポイント |
| SQQQ(同) | −9.1ポイント | −10.1ポイント | +1.0ポイント |
| SOXL(6月1日→9月25日) | −33.7ポイント | −29.9ポイント | −3.8ポイント |
| SOXS(同) | −47.8ポイント | −49.4ポイント | +1.6ポイント |
| SPXL(2026年初来) | −7.3ポイント | ほぼ0 | −7.3ポイント |
| TQQQ(2026年初来) | −12.7ポイント | −1.4ポイント | −11.3ポイント |
S&P500は2026年初来(9月25日まで)+13.1%で、日次3倍の理論値(+39.3%)は単純な3倍とほぼ同じでした。1〜3月の下落と4〜8月の上昇で、トレンドによる上振れと上下動による目減りが打ち消し合った形です。それでもSPXLの実績は+32.0%で、差の約7ポイントはほぼすべてコストです。
ナスダック100(年初来+21.2%)でも、TQQQの単純な3倍との差12.7ポイントのうち、減価は1.4ポイントにとどまり、残りの約11ポイントがコストでした。2026年は上昇局面の上振れが減価をほぼ相殺したため、コストの重さが表に出た形です。
3倍型は純資産の約2倍分、2倍型は約1倍分をスワップなどで上乗せしており、その資金コストは短期金利に連動します。米国の3カ月物国債利回りは、9月25日時点で4.24%(米財務省)です。2026年の実績と理論値の差を1年あたりに直すと、3倍型(SPXL・TQQQ)で約7〜10%、2倍型(SSO・QLD)で約4〜5%でした(価格ベース、編集部の計算)。
FRBは2026年9月に政策金利を3.75〜4.00%へ引き上げ(2023年以来の利上げ)、年内の追加利上げも示唆しています。金利が高いほど、ブル型のコスト負担は重くなります。
一方、ベア型は担保の短期国債などの金利収入があるため、コストを差し引いても理論値を上回ることがあります。上の表でもSQQQは+1.0ポイント、SOXSは+1.6ポイントでした。ただし減価そのものは、同じ相場の+3倍型の約2倍です。
減価とコストを合わせて見積もる3ステップ
保有を考えている銘柄の目減りは、次の3ステップでおおよそ見積もれます。ナスダック100の3倍型(TQQQ)を3カ月持ち、指数が横ばいだった場合の例です。
目論見書には、連動する指数の過去5年の変動率が載っていることが多く、ナスダック100は22.60%(2026年5月末まで)です。足元の値動きを重視するなら、直近の日々の騰落率から計算した値も参考になります。
3倍型の係数3×0.226×0.226×0.25年で、減価による目減りは約3.8%です。1年持つなら0.25年を1年に置き換えるので、約4倍になります。
3倍型には、短期金利の約2倍の資金コストと経費率がかかります。2026年のTQQQは理論値との差が年約10%だったので、3カ月分の約2.5%を加えると、合計で約6%の目減りが目安です。
相場が荒れて変動率が上がれば、目減りはさらに膨らみます。見積もりは、横ばい相場で見込んでおくべき目減りの目安として使いましょう。
インバース型ETFの減価と株式併合
インバース型(ベア型)も日次リセットで同じように減価し、係数は−1倍で1、−2倍で3、−3倍で6です。倍率の小さい−1倍型でも、+2倍型と同じだけ減価する点は見落とされがちです。下落を予想して持つ場合も、期間を短く区切るのが基本です。
保有株の下落に備えて−1倍型を長く持つ場合も、指数が横ばいで変動率20%なら、1年で約4%目減りする計算です(コストは別)。
減価に加えて、指数が長く上昇すると価格は下がり続けます。SQQQの過去10年の年平均リターンは−53.53%(2025年末時点、目論見書)で、累積では約−99.95%に相当します。
価格が下がり続ける銘柄は、1株の価格を保つために株式併合(リバーススプリット)を繰り返します。SOXSは半導体株の上昇で年初来−94.7%(9月25日時点)となり、2026年3月5日に1対20、7月15日に1対10の併合を実施しました。
併合で保有株数は減りますが、その時点の評価額は変わりません。仕組みや2025〜2026年の実施一覧は「ETFのリバーススプリット(株式併合)」で解説しています。
レバレッジETFの減価を抑える4つの使い方
減価の大きさは倍率・変動率・保有期間で決まるため、目減りを抑える工夫もこの3つに対応します。
保有期間を区切る
目減りは保有期間に比例して積み上がります。指数が横ばいの場合の目減りを、保有期間ごとに試算しました(編集部の試算、コストは含まず)。
| 保有期間 | 変動率25%・+2倍 | 変動率25%・+3倍 | 変動率50%・+2倍 | 変動率50%・+3倍 |
|---|---|---|---|---|
| 1週間 | −0.1% | −0.4% | −0.5% | −1.5% |
| 1カ月 | −0.5% | −1.6% | −2.1% | −6.1% |
| 3カ月 | −1.6% | −4.6% | −6.1% | −17.1% |
| 6カ月 | −3.1% | −8.9% | −11.8% | −31.3% |
| 1年 | −6.1% | −17.1% | −22.1% | −52.8% |
変動率25%の3倍型でも、1週間なら−0.4%ですが、1年では−17.1%です。「上がるまで待つ」保有は目減りを積み上げるため、買う前に保有期間の上限を決めておきましょう。
長く持つほど目減りが膨らんだ実例もあります。ナスダック100は2021年11月19日の高値を、2023年12月15日に回復しました(+0.3%)。しかし同じ期間に、TQQQは−44.4%、QLDは−19.6%でした(分割調整後の終値、編集部の計算)。
途中で指数が35.6%下げて55.7%戻す大きな往復があり、コストを除いた理論値でもTQQQは−34.7%目減りしていました。
トレンドが出ている局面に絞る
シミュレーションのとおり、一方向に動き続ける相場では日次の複利が有利に働きます。方向感がなく上下を繰り返す局面では、持っているだけで目減りが進みます。
値動きの荒さは、S&P500ならVIX指数(今後1カ月の予想変動率)でも確認できます。VIXは9月25日に14.87でしたが、2026年3月には35.30まで上がりました。この差は変動率で約2.4倍、近似式での減価のペースでは約5.6倍にあたります。
保有中に指数が行ったり来たりし始めたら、減価が効きやすい局面に入ったサインです。相場観が当たっているかだけでなく、値動きの形も確認しましょう。
倍率を下げて金額で調整する
指数への実質的な投資額が同じなら、倍率を下げたほうが減価は小さくなります。3倍型に20万円と2倍型に30万円は、どちらも指数60万円分の値動きですが、近似式での目減りは2倍型が3倍型の半分です。
ただし3倍型は投入額が少なく済み、最悪の場合に失う金額の上限も小さくなります。目減りと最大損失のどちらを重く見るかで選びましょう。
値動きの大きい対象ほど短く持つ
目減りは変動率の2乗に比例するため、同じ3倍型でも対象によって大きく変わります。2026年の変動率を使い、指数が1年横ばいだった場合の目減りを試算しました(編集部の試算、コストは含まず)。
| 対象(主な銘柄) | 2026年の変動率 | +2倍 | +3倍 | −3倍 |
|---|---|---|---|---|
| S&P500(SSO・SPXL・SPXU) | 約13% | −1.7% | −5.1% | −9.9% |
| ナスダック100(QLD・TQQQ・SQQQ) | 約21% | −4.2% | −12.1% | −22.7% |
| 半導体(SOXL・SOXS) | 約50% | −21.9% | −52.3% | −77.3% |
同じ3倍型でも、1年横ばいの目減りはS&P500型の約5%に対し、半導体型は約52%と10倍以上の差があります。値動きの大きい対象ほど、保有期間を短く区切ることが大切です。
長く持った場合の実績は「レバレッジETFの長期保有」、撤退ラインや投資額の決め方は「レバレッジETFの損切り」で解説しています。
レバレッジETFの減価のよくある質問
- レバレッジETFの減価は1日でも起きますか?
-
1日単位では、ほぼ倍率どおりに動きます。2026年6月5日はナスダック100の−4.77%に対し、TQQQは−14.28%でした(終値ベース)。減価は、2日以上の値動きが複利で積み重なることで生まれます。
- 2倍と3倍では、減価はどれくらい違いますか?
-
同じ相場なら、3倍型の目減りは2倍型の約3倍です。係数が2倍型は1、3倍型は3のためで、2026年6月2日→9月25日の理論値でも、単純な倍率からのずれはQLDが約1.7ポイント、TQQQが約5.1ポイントでした。
- 減価は経費率のように毎日差し引かれるのですか?
-
差し引かれません。減価は日々の複利計算の結果として価格に表れるもので、費用として引かれるものではありません。経費率は純資産から日々差し引かれ、レバレッジの資金コストも運用成績を押し下げます。
- 指数が上がっていれば、減価は気にしなくてよいですか?
-
上昇が一方向に続けば日次の複利が有利に働きますが、上下動が大きいと上昇相場でも目減りします。ProSharesの目論見書の試算では、指数が1年で+10%上がっても、変動率50%なら3倍型は−37.1%です。
- ブル型とベア型を同時に持てば、減価を打ち消せますか?
-
打ち消せません。両方が減価するため、合計の価値は時間とともに減りやすくなります。2026年6月2日→9月25日は、ナスダック100がほぼ横ばいの中でTQQQが−8.7%、SQQQが−8.6%とそろって下落しました。
- 減価で下がった分は、指数が上がれば取り戻せますか?
-
指数が元の水準に戻るだけでは取り戻せず、その分さらに上がる必要があります。2026年9月22日にナスダック100は最高値を更新しましたが、同じ日のTQQQとQLDは6月2日の高値に届いていませんでした。
- レバナスや日経レバなど、国内のレバレッジ商品も減価しますか?
-
日々の値動きの2倍などを目指す商品は、投資信託でも東証上場のETFでも同じ仕組みで減価します。金融庁も、こうしたリスクとコストはレバレッジ型の公募投資信託でも同様だと注意を呼びかけています。
- 減価があるなら、TQQQやSOXLは長期では必ず値下がりしますか?
-
必ずではありません。強い上昇が続いた期間は減価を上回って大きく値上がりし、2025年末までの10年間の年平均リターンはTQQQが+36.96%、SOXLが+38.43%でした(目論見書)。
一方、2022年の暴落を含む5年間では、SOXLの年平均リターンは+6.83%とS&P500(+14.42%)を下回りました。値動きの荒い期間を挟むと、成績は大きく崩れます。
まとめ:レバレッジETFの減価は仕組みを知れば大きさを見積もれる
レバレッジETFの減価は、日次リセットと複利によって、指数が横ばいでも価格が目減りする現象です。要点は次のとおりです。
- 目減りの目安は「倍率×(倍率−1)÷2×変動率²」。係数は+2倍=1、+3倍=3、−1倍=1、−2倍=3、−3倍=6
- 目減りは変動率の2乗と保有期間に比例する。一方向のトレンドでは有利に働くこともある
- 2026年はナスダック100がほぼ横ばいの約4カ月でTQQQ −8.7%、値動きの大きい半導体ではSOXL −33.3%・SOXS −48.2%
- 実績の目減りには減価とコストの両方が含まれ、ブル型は金利が高いほどコストが重い
- 抑えるには、期間を区切る・トレンド局面に絞る・倍率を下げて金額で調整する
減価の大きさを見積もったうえで、自分の相場観と保有期間に合う倍率かどうかを確かめてから取引しましょう。
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