インバースETFで保有株の下落に備えるヘッジ術|必要額の計算方法と注意点【2026年最新】

「保有している米国株や投資信託の値下がりに備えたい。でも、売らずに済む方法はない?」「インバースETFでヘッジするなら、いくら買えばいいの?」

インバースETF(SH・SDS・SPXUなど)を使えば、保有株を売らずに下落の一部を相殺するヘッジができます。ただし買う金額を誤ると、ヘッジが効きすぎたり足りなかったりします。WOZ mediaでは、必要額の計算方法を具体例で整理し、2026年の実際の値動きでヘッジの効果を試算しました。

結論から言うと、ヘッジ額は「保有額×ベータ×ヘッジ比率÷倍率」で計算し、持つ期間が長いほど低い倍率を選ぶのが基本です。ドル建てのインバースETFでは円高による損失は防げないため、為替の影響も合わせて確認しましょう。

この記事でわかること
  • インバースETFでヘッジするときの必要額の計算式と手順
  • 個別株が中心のポートフォリオでのベータの考え方
  • ドル建てのインバースETFと為替リスクの関係
  • 倍率ごとのコストと、ヘッジを続ける期間の目安
  • 2026年の急落・調整局面でのヘッジの試算結果
  • 信用売り・先物・CFD・プットオプションとの違いと、解除のタイミング

インバースETF(特に-2倍・-3倍)は、一般的なインデックスETFよりも価格変動リスクが大きく、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。ヘッジ目的で持つ場合も、相場が上がればインバースETFは値下がりします。投資判断は、各ETFの目論見書、運用会社の公式情報、各証券会社の取扱状況・手数料・為替コスト・リスク説明を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

この記事の目次

結論:インバースETFのヘッジは「必要額の計算」と「期間の区切り」が要点【早見表】

インバースETFでヘッジするときは、「どの指数のETFを」「いくら」「いつまで」持つかを決めます。要点を早見表にまとめました。

必要額の計算式ヘッジ額=保有額×ベータ×ヘッジ比率÷倍率
計算例S&P500の投資信託1,000万円の半分をSDS(-2倍)でヘッジ:1,000万円×1.0×50%÷2=250万円
使うETF保有資産に近い指数のもの(S&P500型はSH・SDS・SPXU、ハイテク株が中心ならQID・SQQQも比較)
倍率と期間の目安-1倍は数週間〜数カ月、-2倍は数日〜数週間、-3倍は数日
為替ドル建てのETFでは円高の損失は減らない。-1倍では為替の影響を受ける金額が保有額の約2倍になる
解除のルール期間・価格・ヘッジ比率のずれの3つで、買う前に決める(詳細はこちら)

ベータは、指数が1%動いたときに保有資産が何%動くかを示す値で、S&P500に連動する投資信託なら1.0です。編集部の計算では、米国の大型株7銘柄を均等に持つ場合のベータは1.43です。700万円の保有でも、S&P500の投資信託約1,000万円分と同じだけ指数の影響を受けます。

インバースETFは相場が上がると値下がりするため、期間を区切った「保険」として使うのが基本です。仕組みや銘柄の一覧は、米国インバースETF一覧で紹介しています。

インバースETFでのヘッジとは:全額ヘッジと部分ヘッジの違い

ヘッジとは、保有資産の値下がりを、反対に動く資産の値上がりで相殺することです。インバースETFは指数の1日の値動きと逆に動くため、保有株と一緒に持つと指数の下落による損失を小さくできます。

どこまで相殺するかを「ヘッジ比率」と呼び、100%を全額ヘッジ、それより少ない場合を部分ヘッジと言います。S&P500に連動する投資信託を1,000万円持つ場合、指数が1日で10%動いたときの損益の目安は次のとおりです。

ヘッジ比率SDS(-2倍)の購入額指数が10%下落指数が10%上昇
0%(ヘッジなし)0円−100万円+100万円
50%(部分ヘッジ)250万円−50万円+50万円
100%(全額ヘッジ)500万円ほぼ0円ほぼ0円

1日で動いた場合の単純計算で、経費率や手数料は含みません。全額ヘッジは下落の損失をほぼ消せる一方、上昇の利益もほぼなくなります。

部分ヘッジは、下落に備えながら上昇の利益も一部残す方法です。ヘッジ比率は、許容できる損失から逆算します。たとえば「指数が20%下がっても損失を100万円に抑えたい」なら、200万円の損失の半分を相殺する50%です。

保有株を売らずにヘッジを使う主な理由は、次の3つです。

  • 売ると利益に20.315%の税金がかかるが、ヘッジなら保有を続けられる
  • NISAの保有分は、売ると非課税保有限度額の再利用が翌年以降になる
  • FOMC(次回は10月27〜28日)や決算など、一時的なイベントの間だけ備えられる

反対に、いつまで続くかわからない下落への備えには向きません。長く持つほどコストがかさむため、その場合は保有比率そのものを下げる方法と比べましょう。

ヘッジに必要な金額の計算方法:保有額×ベータ×ヘッジ比率÷倍率

インバースETFの購入額は、「保有額×ベータ×ヘッジ比率÷倍率」で計算します。運用会社のProSharesも、保有額にベータを掛けて指数のリスクを持つ金額を求め、そのうちどれだけをヘッジするかを決める手順を紹介しています。

保有額

ヘッジしたい資産の評価額です。米国株は円に換算して計算し、注文するときにドルに直します。

ベータ

指数が1%動いたときに保有資産が動く割合です。指数に連動する投資信託やETFなら1.0です。

ヘッジ比率

指数の値動きのうち、相殺したい割合です。全額なら100%、半分なら50%です。

倍率

インバースETFの倍率の大きさです。SHなら1、SDSなら2、SPXUなら3で割ります。

実際の手順は次の5ステップです。

STEP
保有資産に近い指数のETFを選ぶ

S&P500の投資信託ならS&P500型、ハイテク株が中心ならナスダック100型が候補です。ナスダック100の-1倍のPSQは国内の主要8社で扱いがないため、QID・SQQQか東証の2842(-1倍)を使います。

STEP
ベータを決める

指数に連動する投資信託・ETFなら1.0です。個別株が中心なら、過去の値動きから計算します(ベータの考え方)。

STEP
ヘッジ比率を決める

許容できる損失から逆算します。全額ヘッジは上昇の利益もなくなるため、効果とコストのバランスで決めます。

STEP
倍率で割って購入額を出す

保有額×ベータ×ヘッジ比率を倍率で割ります。倍率が高いほど購入額は少なく済み、残りの資金を現金で持てます。

STEP
ドルと株数に直して注文する

購入額をドル円レートで割ってドルにし、ETFの株価で割って株数を出します。米国ETFは1株単位なので、端数は切り捨てか切り上げで調整します。

3つのポートフォリオで、ヘッジ比率50%の購入額を計算しました。

スクロールできます
保有資産(保有額)ベータ使うETF(倍率)購入額
S&P500の投資信託(1,000万円)1.0SH(-1倍)/SDS(-2倍)/SPXU(-3倍)500万円/250万円/約167万円
ナスダック100のETF・QQQ(1,000万円)1.0(ナスダック100基準)QID(-2倍)/SQQQ(-3倍)250万円/約167万円
同じQQQをS&P500型でヘッジ1.43(S&P500基準)SDS(-2倍)約358万円
米国の大型株7銘柄(700万円)1.43(S&P500基準)SDS(-2倍)/SPXU(-3倍)約250万円/約167万円

ベータは、S&P500(SPYで代用)とナスダック100(QQQ)の2025年9月26日〜2026年9月25日の日次騰落率から編集部が計算しました。QQQをS&P500型でヘッジすると、同じ効果に約4割多い資金が必要になり、値動きのずれも残ります。

たとえばSDSを250万円買う場合、1ドル156.94円で約15,930ドルです。9月25日の終値53.26ドルで割ると、約299株になります。

全額ヘッジなら購入額は2倍です。S&P500の投資信託を全額ヘッジしたときのSH・SDS・SPXUの損益は、S&P500のインバースETF比較で試算しています。相場が動いたあとにヘッジ比率がずれる様子も、同じ記事で紹介しています。

ベータの考え方:個別株が中心なら指数との連動度で金額を調整する

ベータとは?
指数が1%動いたときに、株や投資信託が平均で何%動くかを表す数値です。1.0なら指数と同じ、1.5なら1.5倍、0.5なら半分の値動きになりやすいことを示します。

指数に連動する投資信託やETFのベータは1.0ですが、個別株は銘柄ごとに大きく違います。米国の大型株7銘柄(いわゆるマグニフィセント・セブン)について、編集部が過去1年のベータを計算しました。

銘柄S&P500に対するベータ決定係数(0〜1)
テスラ(TSLA)2.210.39
エヌビディア(NVDA)1.900.43
アマゾン(AMZN)1.440.29
メタ(META)1.430.20
アルファベット(GOOGL)1.360.31
マイクロソフト(MSFT)0.960.15
アップル(AAPL)0.680.13
7銘柄を均等に保有1.430.70
(参考)QQQ1.430.86

2025年9月26日〜2026年9月25日の日次騰落率(配当込み、S&P500はSPYで代用)から編集部が計算しました。決定係数は、値動きのうち指数の動きで説明できる割合です。

表から読み取れるポイントは次の3つです。

  • 銘柄の差:ベータはアップルの0.68からテスラの2.21まで3倍以上の差があり、同じ100万円でも必要なヘッジ額が大きく違います
  • 個別要因:個別株の決定係数は0.13〜0.43で、値動きの半分以上は決算などの個別要因です。指数のインバースETFでは相殺できません
  • 分散の効果:7銘柄に分けると決定係数は0.70まで上がり、指数でのヘッジが効きやすくなります

ベータは計算する期間でも変わります。直近6カ月(2026年3月26日〜9月25日)で計算すると、アップルは0.47、アルファベットは1.54でした。金融情報サイトに載っているベータも期間や計算方法がまちまちなので、目安として使いましょう。

自分で計算する場合は、保有株と指数の日次騰落率を表計算ソフトに並べ、SLOPE関数で回帰直線の傾きを求めます。ハイテク株が中心なら、S&P500とナスダック100の両方で計算して比べるのが基本です。

7銘柄の場合、ナスダック100に対するベータは0.87、決定係数は0.62で、過去1年はS&P500との連動度のほうが高めでした。ただし、ハイテク株に偏った下落では結果が逆になることもあります(2026年の実例で解説)。

為替も考える:ドル建てのETFでは円高による損失は防げない

米国株や為替ヘッジなしの投資信託は、円で見た評価額が「ドル建ての価格×ドル円レート」で決まります。ドル建てのインバースETFで相殺できるのはドル建ての値動きだけで、為替の変動は残ります。

しかもインバースETF自体もドル建ての資産なので、為替の影響を受ける金額は購入額の分だけ増えます。米国株1,000万円(為替ヘッジなし)を全額ヘッジした状態で、株価が10%下がり、同時に5%円高になった場合を試算しました。

ヘッジの方法(購入額)為替の影響を受ける金額円で見た損益
ヘッジなし1,000万円−145万円
SH(米国・-1倍)1,000万円2,000万円−100万円
SPXU(米国・-3倍)約333万円約1,333万円約−67万円
2238(東証・-1倍・為替ヘッジあり)1,000万円1,000万円−45万円

日次リセットの影響を除いた単純計算で、経費率・為替ヘッジのコスト・手数料は含みません(編集部の試算)。ヘッジをしても残る損失は、円高による目減りです。

ドル建てのインバースETFでは、購入額の大きい-1倍ほど為替の影響が大きくなります。反対に円安なら利益が増えるため、ヘッジしているつもりでも円で見た評価額は為替で上下します。

東証上場の為替ヘッジありのETFなら、ETFの部分は為替の影響をほとんど受けず、残るのは保有株の為替リスクだけです。S&P500型は2238(-1倍)・2249(-2倍)、ナスダック100型は2842(-1倍)・2870(-2倍)があります。

ただし為替ヘッジには、日米の金利差に相当するコストがかかります(2842の交付目論見書など)。日銀の政策金利は1.25%、FRBは3.75〜4.00%で、差は2.5ポイント以上あります。純資産も2238が7.01億円、2842が15.34億円(9月25日)と小さめです。

2026年は7月30〜31日の日米協調の円買い介入で、ドル円が162円台後半から157円台へ動きました。為替まで含めて備えたい場合は、保有資産の一部を為替ヘッジありの投資信託に替える方法も比べましょう。

ヘッジの期間とコスト:倍率が高いほど目減りは大きい

インバースETFでヘッジするコストは、主に経費率と日次リセットによる目減り(減価)です。同じ金額をヘッジする場合、経費率の負担は倍率が高いほど小さくなりますが、目減りは反対に大きくなります。

目減りは変動率(値動きの大きさ)の2乗に比例し、倍率ごとの係数は-1倍が1、-2倍が3、-3倍が6です。購入額は倍率に反比例するため、同じ金額をヘッジするなら、目減りは-1倍を1として-2倍が約1.5倍、-3倍が約2倍になります。

ヘッジする期間SH(-1倍)1,000万円SDS(-2倍)500万円SPXU(-3倍)約333万円
1カ月約4.1万円約5.4万円約6.9万円
3カ月約12.2万円約15.9万円約20.2万円
6カ月約24.2万円約31.4万円約39.2万円

1,000万円分をヘッジし、指数が横ばい・年率変動率20%だった場合の目減りの理論値と経費率の合計です。金利収入・売買手数料・為替は含みません(編集部の試算)。2026年の年率変動率は、S&P500(SPY)が約13%、ナスダック100(QQQ)が約21%でした(1月2日〜9月25日の日次騰落率から計算)。

変動率が2倍になると目減りは約4倍になるため、値動きが荒い局面ほど長く持つと不利です。数週間を超えそうなら-1倍、数日で外すなら-2倍・-3倍と、期間で倍率を選ぶのが基本です。

実際には、インバースETFは担保の短期国債などから金利収入を得ており、2026年も四半期ごとに分配金を出しています。ただし最も大きなコストは、相場が上がったときの値下がりです。S&P500が年初来+13.1%上がった2026年、SHは分配金込みで−9.0%でした。

日次リセットで目減りする仕組みは、レバレッジETFの減価の解説で詳しく紹介しています。

2026年の実例で試算:6月5日の急落と7月のナスダック100の調整でヘッジはどう効いたか

ベータや指数の選び方で、ヘッジの効き方はどれだけ変わるのでしょうか。大型株7銘柄を100万円ずつ、計700万円持っていた場合について、2026年の2つの局面で全額ヘッジ(100%)の効果を試算しました。

比べたのは次の3つの方法です。

  • SDS・ベータ無視:700万円÷2=350万円
  • SDS・ベータで調整:700万円×1.43÷2=約500万円
  • QID・ナスダック100基準:700万円×0.87÷2=約305万円
ヘッジの方法6月5日の1日6月2日→7月29日
ヘッジなし−26.2万円−68.9万円
SDS・ベータ無視(350万円)−7.7万円−38.8万円
SDS・ベータで調整(約500万円)+0.3万円−25.9万円
QID・ナスダック100基準(約305万円)+3.2万円+5.9万円

表の数値は、保有株とインバースETFを合わせた損益です。各期間の初めに7銘柄を均等に持ち、同時にインバースETFを買った場合の編集部の試算です。終値ベース・分配金込みのドル建てで、為替・手数料・税金は含みません。

強い雇用統計で株価が急落した6月5日は、7銘柄が−3.75%、S&P500(SPY)が−2.58%でした。ベータで調整したSDSが損失をほぼ全額相殺したのに対し、ベータを無視すると損失の約3割が残っています。

一方、6月2日から7月29日までの調整局面では、7銘柄(−9.84%)の下げがS&P500(−3.72%)を大きく上回りました。S&P500型のSDSは、ベータで調整しても損失の6割程度しか相殺できませんでした。ナスダック100型のQID(同じ期間のQQQは−11.22%)は、ほぼ全額を相殺しています。

過去1年のデータでは連動度が高かったS&P500でも、ハイテク株に偏った下落では効きが弱まりました。ベータは過去の平均にすぎないため、ずれが残る前提でヘッジ比率を決めることが大切です。

QQQをQID・SQQQでヘッジした場合など、ナスダック100型3本の値動きはナスダックのインバースETF比較で紹介しています。

インバースETF以外のヘッジ手段との比較:信用売り・先物・CFD・プットオプション

保有株の下落に備える方法は、インバースETFのほかにもあります。国内の個人投資家が使える主な手段を比べました。

スクロールできます
手段使える主な証券会社日次リセットの目減り損失の上限主なコスト株式との損益通算
米国のインバースETF(SH・SDS・SPXU・QID・SQQQ)主要8社のうちDMM株を除く7社(DMM株ではDirexionのSPXSなどが買える)あり投資額まで経費率0.88〜0.95%・売買手数料・為替手数料できる(上場株式等)
東証のインバースETF(2238・2249・2842・2870)国内株を扱う証券会社あり投資額まで信託報酬0.803〜0.825%・為替ヘッジのコストできる(上場株式等)
米国株の信用売り(SPY・QQQなど1倍のETF)SBI・楽天・moomoo・ウィブルなし保証金を上回ることがある貸株料(SBI・楽天は年2%)・配当金相当額できる(上場株式等)
株価指数先物大阪取引所のNYダウ先物、楽天証券の海外先物(CME)なし証拠金を上回ることがある売買手数料・限月の乗り換えできない(先物取引に係る雑所得等)
株価指数CFDGMOクリック証券・IG証券などなし証拠金を上回ることがあるスプレッド・金利や価格の調整額できない(同上)
プット・オプションの買いmoomoo・ウィブルなし(時間とともに価値が減る)支払ったプレミアムまでプレミアム・取引手数料できない

2026年9月時点の各社の公式情報と、国税庁の所得区分に基づきます。オプションの損益通算はmoomoo証券の案内によるもので、米国株の信用売りで売建てできる銘柄と数量は日々変わります。

米国株の信用売り:目減りはないが、損失が保証金を上回ることがある

1倍のETFを信用取引で売建てると、日次リセットのない-1倍のポジションになります。主要8社のうち米国株の信用売りができるのはSBI証券・楽天証券・moomoo証券・ウィブル証券で、マネックス証券・松井証券・DMM株は買建てのみです。

SBI証券と楽天証券の取扱一覧では、SPY・QQQを売建てできます(2026年9月時点)。貸株料は両社とも年2%で、売建て中は配当金相当額も払います。保有株と同じ銘柄を売建てる「つなぎ売り」にも使えますが、売建てできる銘柄に限られます。

なお、SDS・SQQQなどのインバース型・レバレッジ型ETFそのものは、日本証券業協会の指針により国内8社とも米国株信用取引の対象外です。

株価指数先物・CFD:少ない証拠金で売れるが、株式の損益とは通算できない

大阪取引所のNYダウ先物は「NYダウ×100円」の円建てで、為替の影響を受けにくいのが特徴です。ただし対象はNYダウで、1枚の金額は約518万円(9月25日の終値51,828.62で計算)です。S&P500は楽天証券の海外先物でCMEのE-mini S&P500を取引できますが、1枚が約39万ドル(約6,100万円)と大きな単位です。

GMOクリック証券の株価指数CFD(「米国S500」「米国NQ100」など)は、取引金額の10%の証拠金で売建てられます。先物・CFDの損益は「先物取引に係る雑所得等」に分類され、保有株やインバースETFの損益とは通算できません(国税庁)。

プット・オプションの買い:損失は支払ったプレミアムまで

プット・オプションは、決められた価格で売る権利です。買っておくと、株価がその価格を下回ったときの損失を相殺でき、損失は支払ったプレミアム(オプション料)までに限られます。

主要8社のうち米国株オプションを取引できるのはmoomoo証券とウィブル証券で、ウィブル証券は保有株をプットでヘッジする例を公式サイトに載せています。時間の経過で価値が減ることと、損益を株式と通算できないこと(moomoo証券の案内)に注意しましょう。

ウィブル証券は米国株の売買手数料が無料(2026年7月27日〜)で、インバースETFのほか、米国株の信用売りやオプションも同じ口座で比べられます。

ウィブル証券公式サイトでインバースETFの取扱と米国株オプションを確認する

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注意点と解除のタイミング:外すのが遅れるとヘッジの利益は消える

インバースETFのヘッジで特に注意したいのは、外すタイミングを決めずに持ち続けることです。下落が一服して株価が反発すると、ヘッジで得た利益は短期間で失われます。

実例の試算と同じ7銘柄(700万円)を、6月2日からQID(約305万円)でヘッジした場合、外した日によって結果は次のように変わりました。

ヘッジを外した日ヘッジの損益9月25日時点の合計損益
7月29日(ナスダック100が6月2日比で10%超の下落)+74.8万円+107.9万円
8月3日(円買い介入後の反発局面)+33.1万円+66.1万円
外さずに9月25日まで保有−5.6万円+27.4万円
(参考)ヘッジなし−+33.0万円

合計損益は、7銘柄の6月2日→9月25日の損益(+33.0万円)にヘッジの損益を足した値です(ドル建て・分配金込み、編集部の試算)。

7月29日はFOMCの結果発表日で、ナスダック100が6月2日の終値から初めて10%を超えて下げた日でもありました。結果的にここが安値で、3営業日後の8月3日にはヘッジの利益が半分以下に減り、9月25日まで持つと損失に変わっています。

安値は事前にわからないため、買う前に解除のルールを決めておくのが基本です。ProSharesも、±10%程度の値動きを金額の見直しや解除の目安(トリガー)の例に挙げています。

  • 期間:「FOMCの結果が出るまで」「決算発表の翌日まで」など、終わりの日を決める
  • 価格:指数が一定の幅(例:10%)下げたら一部を利益確定し、反対に一定の幅上がったら外す
  • 比率:相場が動いてヘッジ比率が大きくずれたら(例:±20%)、金額を調整する

このほかに注意したい点は次の4つです。

  • 上昇相場では値下がりが続く:ヘッジしている間は、保有株の上昇益がヘッジの損失で打ち消されます
  • 逆指値は時間外に効かないことが多い:楽天証券・マネックス証券・松井証券は時間外は指値のみで、DMM株は米国株の逆指値がありません
  • 併合がある:SQQQ・SDS・SPXUは2025年11月20日に併合しました。併合日をまたぐ期間指定注文は失効するため、出し直しが必要です
  • NISAでは買えない:インバースETFは新NISAの対象外で、特定口座などの課税口座で取引します

注文方法や取引時間の違いは、レバレッジETFの証券会社比較で詳しく比べています。

インバースETFのヘッジでよくある質問

ヘッジ比率は何%にすればいいですか?

決まった正解はなく、許容できる損失から逆算するのが基本です。1,000万円の保有で、指数が20%下がっても損失を100万円に抑えたいなら、ヘッジ比率は50%になります。

全額ヘッジにすると上昇の利益もなくなり、目減りやヘッジ比率のずれの影響も大きくなります。効果とコストのバランスで決めましょう。

保有株を売るのと、インバースETFでヘッジするのはどちらがいいですか?

数日〜数週間のイベントに備えるなら、保有を続けられるヘッジが選択肢になります。売ると利益に20.315%の税金がかかり、NISAの非課税保有限度額の再利用も翌年以降になるためです。

反対に数カ月以上備えるなら、売って現金の比率を上げる方法も比べましょう。インバースETFは持つ期間が長いほど、目減りと経費率がかさみます。

NISAで持っている投資信託もヘッジできますか?

できますが、インバースETFはNISAの対象外のため、特定口座などの課税口座で買います。

NISA口座の利益は非課税で、損失はないものとみなされます(国税庁)。そのため下落時は、ヘッジの利益に20.315%の税金がかかります。上昇時のヘッジの損失はNISAの利益と相殺できず、通算できるのは課税口座のほかの利益に限られます。

日本株のヘッジにも使えますか?

使えます。日経平均に連動する東証のETFに、NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571、-1倍)や、同じシリーズのダブルインバース(1357、-2倍)があります。

計算式は米国株と同じで、ベータは日経平均に対して考えます。円建てのため、為替の影響は受けません。

個別株1銘柄だけをヘッジできますか?

指数のインバースETFでは、決算などの個別要因による値動きは相殺できません。編集部の計算では、大型株でも値動きのうち指数で説明できる割合は1〜4割程度でした。

1銘柄に絞って備えるなら、その銘柄の信用売り(つなぎ売り)や、moomoo証券・ウィブル証券での個別株のプット・オプションが候補です。信用売りは売建てできる銘柄に限られ、どちらも損失や税金の扱いがインバースETFと異なります。

ヘッジはどのくらいの期間続けられますか?

-3倍は数日、-2倍は数日〜数週間、-1倍は数週間〜数カ月が目安です。年率変動率20%で指数が横ばいの場合、1,000万円分を3カ月ヘッジすると、SHで約12万円、SPXUで約20万円のコストがかかる計算です(編集部の試算)。

相場が上がれば、これに値下がりの損失が加わります。期間が読めない場合は、ヘッジ以外の方法も比べましょう。

ヘッジの損益は保有株の損益と相殺できますか?

米国のインバースETFと、保有する米国株・国内株・投資信託は、いずれも「上場株式等」なので損益通算できます。特定口座(源泉徴収あり)なら同じ口座内で自動的に通算され、別の証券会社の口座どうしは確定申告で通算します。

一方、先物・CFD・オプションの損益は株式と通算できません。ヘッジの手段によって税金の扱いが変わる点に注意しましょう。

まとめ:インバースETFのヘッジは計算・期間・解除のルールをセットで決める

インバースETFを使ったヘッジの要点は次のとおりです。

  • ヘッジ額は「保有額×ベータ×ヘッジ比率÷倍率」。S&P500の投資信託1,000万円の50%をSDSでヘッジするなら250万円
  • 個別株のベータは0.68〜2.21と幅があり、大型株7銘柄の均等保有では1.43。指数で説明できない値動きは残る
  • ドル建てのインバースETFは為替リスクを減らさず、-1倍では為替の影響を受ける金額が約2倍になる
  • 同じ金額をヘッジするなら、目減りは-1倍を1として-2倍が約1.5倍、-3倍が約2倍。期間が長いほど低い倍率が基本
  • 2026年6〜7月の調整では、ハイテク株中心の7銘柄をナスダック100型でヘッジした場合がほぼ全額を相殺した
  • 解除のルール(期間・価格・比率)は買う前に決める。外すのが遅れると、ヘッジの利益は短期間で消える

ヘッジに使うETFを選ぶときは、倍率・経費率・国内での取扱をあわせて確認しましょう。購入前には、各社の銘柄検索で取扱状況と手数料を最新の情報で確かめてください。

SBI証券公式サイトでSH・SDS・SPXUなどインバースETFの取扱を確認する

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本記事は投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品・ETF・証券会社の利用を推奨するものではありません。掲載情報は作成時点(2026年9月時点)のものです。本記事の試算は過去のデータに基づく編集部の計算で、将来のヘッジの効果を保証するものではありません。ETFの内容・経費率・純資産総額・取扱証券会社・手数料・NISA対応可否などは変更される場合があります。投資には価格変動リスク・為替リスク・流動性リスク・信用リスク・金利変動リスクなどがあります。レバレッジETF・インバースETFは一般的なETFよりリスクが高く、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。投資判断は、各ETFの目論見書・運用会社の公式情報・証券会社のリスク説明・手数料体系を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。

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この記事を書いた人

小畑 和彰のアバター 小畑 和彰 合同会社WOZ 代表

1999年11月12日、神奈川県三浦市にて生まれる。東京都目黒区在住。
2016年7月にフリーランスとして起業し、Webサイト運営・アフィリエイト広告事業を開始。2020年4月に合同会社WOZ(WOZ LLC)を設立し、アフィリエイト事業の一部を法人化。
現在は、アフィリエイトやウェブ制作を主軸に置きながらも、FXや株式投資にも意欲的に取り組み、自身で得た知見をもとに情報発信を行っている。

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