近年、多くのトレーダーがより安全なFXトレードを求めて、追証が請求されない「ゼロカットシステム」を導入している海外FXに関心を持っています。
しかし、実際にはゼロカットの仕組みやその利点、そしてその背後にあるリスクを十分に理解していない人も少なくありません。
この記事では、ゼロカットシステムの仕組みやメリット・デメリットを明らかにして、安全にゼロカットを活用するための情報をまとめました。
この記事は、日本居住者に対して海外所在業者での口座開設や利用等を促すものではなく、あくまでも海外所在業者に関する一般的な情報を発信するものです。日本居住者は、日本金融庁に無登録の海外所在業者を利用せず、日本の金融ライセンスを取得している業者を利用するようにしてください。
ゼロカットシステムとは?
ゼロカットシステムの仕組み
ゼロカットシステムは、トレーダーが取引で口座残高を超えるマイナスを出した際に、FX業者がマイナス分を補填して口座残高をゼロに戻す制度です。
ゼロカットが導入された業者で取引することで、トレーダーは取引において損失が発生しても、その損失が口座残高を超えることなく取引を続けることができます。
ハイリスク・ハイリターンなハイレバレッジ取引を行うトレーダーにとっては、非常に心強い仕組みといえます。
ゼロカットは、元本以上の損失を抱える危険性からトレーダーを守ると同時に、業者にとっては新規顧客を引き付けるためのアピールポイントにもなっています。
ロスカットとゼロカットの違い
ゼロカットによく似た言葉として「ロスカット」が存在します。
ロスカットは、ポジションの含み損が一定の水準を超えたときに、それ以上損失が膨らまないようにポジションを決済することでリスクを制御します。
一方、ゼロカットは、口座のバランスがマイナスになった場合でも、追加の資金を要求せずに損失を「ゼロ」にカットし、トレーダーの負債を消します。
自動車に例えると、ロスカットは速度制限を超えないようにブレーキをかける安全装置、ゼロカットは事故が起きた際に運転手の命を守るエアバッグのようなものです。
国内FXにゼロカットはなく追証が請求される
海外FXでは追証がなく、ゼロカットシステムが広く採用されていますが、国内のFX業者にゼロカットはなく、追証が請求されます。
国内FXにゼロカットが設けられていない最大の理由は、金融商品取引法の39条により、投資家が元本を超えるマイナスを被った場合(借金を背負う形になった場合)でも、業者側が補填してはいけないと定められているからです。
国内FXは最大レバレッジが25倍と低く、追証が発生する前に強制ロスカットされることが多いため、マイナス残高になる可能性は低いですが、それでも追証を請求される事例はたくさんあります。
一般社団法人金融先物取引業協会が公表しているデータによれば、過去の為替の急変動が起こるたびに、数千人単位でロスカット等未収金の事案が確認されています。
発生日 | 主な要因 | 発生件数 | 発生金額 |
---|---|---|---|
2021年3月22日 | トルコ中銀総裁解任 | 3,458件 | 約13億8,100万円 |
2019年1月3日 | ドル円フラッシュクラッシュ | 6,598件 | 約9億4,300万円 |
2015年8月24日 | フラッシュクラッシュ | 4,999件 | 約9億1,900万円 |
2015年1月15日 | スイスフランショック | 1,229件 | 約33億8,800万円 |
海外FXがゼロカットを導入する理由
日本国内のFX業者はゼロカットを導入していない一方で、なぜ海外のFX業者はゼロカットを導入しているのでしょうか。
第一に考えられるのは、法的、地理的な理由です。
海外業者は様々な国々でサービスを提供していますが、すべての国で事業所や金融ライセンスを取得していないため、各国のトレーダーから追証を取り立てることは現実的に難しいでしょう。
また、ゼロカット導入を全面的にアピールすることで、ユーザーに対して安心感を与えて、より多くの取引を促すといった業者側の思惑もあるでしょう。
ゼロカットのメリット
ゼロカットシステムはトレーダーに対してどのようなメリットをもたらすのか、3のメリットを紹介します。
追証なしの安心感
ゼロカットシステムにより、トレーダーは口座残高以上の損失を負うことなく、安心して取引を行うことができます。
ゼロカットの安心感があるおかげで、トレーダーはより前向きにリスクを取ることができ、結果的に大きなリターンを得られる可能性があります。
リスクを限定してハイレバ取引できる
ゼロカットシステムのおかげで、どれだけレバレッジをきかせても元本以上に損することはありません。
不意の借金を抱える心配なく、よりレバレッジの高い取引に挑めるようになり、少ない資金から大きな利益を狙えるようになります。
ただし、そもそも口座に入れる金額が大きければ、ハイレバレッジ取引によって大きく損する危険性があるため、自信の資金量とリスク許容度に応じたロットコントロールが大切になります。
ゼロカットの注意点
ゼロカット導入の海外FX業者は金融庁に認可されていない
海外FX業者はゼロカットシステムを提供し、トレーダーのマイナス残高を補填してくれるメリットがある一方で、日本の金融庁の認可を受けておらず、日本の法的な保護を受けられないというデメリットも併せ持っています。
日本の金融庁は、日本国内で金融ライセンスを取得していないにも関わらず、日本で営業を行っている業者を「無登録業者」と位置づけ、随時「警告」を行っています。
また、金融庁は無登録業者を使うことによる危険性を次のように発表しています。
登録を受けていない「無登録業者」は、投資者等の保護のための態勢が確保されているか当局では確認できず、登録を受けている業者と同等の態勢が整っていない可能性が高いと考えられます。
また、預けた資金を出金しようとしたときに、これまで出金ができていたにもかかわらず、出金の拒否や法外な出金手数料を請求されたりするほか、これまで連絡が取れていたのに急に連絡が取れなくなるなどといったトラブルに遭ったという声が多く寄せられています。
無登録業者との取引は要注意!! ~無登録業者との取引は高リスク~:金融庁
そもそも海外FX業者は日本居住者を対象とした業者ではないため、日本で金融商品取引業の登録を受けていないのは自然なことです。
仮に金融庁に登録していない業者が、日本国内で営業活動・宣伝活動を行った場合には違法となりますが、日本居住者が自らの意思で利用するぶんには、利用者側に何ら違法性はありません。(業者側の違法性を否定するものではありません。)
とはいえ、取引や資金の引き出しに関するトラブルが生じた場合、日本の法的保護を受けることが難しくなる可能性があります。
海外FXを利用する際は、メリット・デメリットや国内FXとの違いをしっかり理解することが大切です。
ゼロカット業者が全て安心とは限らない
ほとんどの海外FX業者がゼロカットシステムを導入していて、追証を請求される心配なくトレードできますが、ゼロカットのありの業者が全て安心とは限りません。
ゼロカットは導入していても、スプレッドが異常に広かったり、なかなか出金できなかったり、満足なサポートを受けられなかったりと、他の点で問題を抱えている業者も少なからず存在します。
海外FX業者を使い始める際は、業者ごとの口コミやレビュー記事などを十分に調べたうえで、中立的な視点から選ぶようにしましょう。
- 金融ライセンスを保有している業者を選ぶ
- 取引条件の良い業者を選ぶ
- 日本語サポートが充実している業者を選ぶ
- 利用者数の多い業者を選ぶ
- いくつかの業者を使い分ける
なお、当サイトでは筆者のトレード経験やネット上での口コミをもとに、海外FXおすすめ比較ランキングTOP20を公開していますので、参考材料にしてみてください。
ゼロカットを悪用すると口座凍結される
ゼロカットはトレーダーにとっては有利な仕組みである一方、FX業者にとっては自社の利益を害する要因でもあります。
ゼロカットの悪用は禁止されており、次のような取引を行うと規約違反となり、もし発覚すると口座凍結や利益没収、出金拒否などのペナルティが課せられる可能性があります。
- ゼロカットを狙った両建て:ゼロカットを狙って、両建て(買いと売りのポジションを同時に持つこと)によってリスクフリーの取引を行うこと
- ゼロカット覚悟の経済指標ハイレバトレード:経済指標の発表に伴う市場の急変動を利用し、ゼロカット覚悟のハイレバレッジ取引で利益をあげようとする行為
- 窓開けを狙った取引:週末の閉場から週明けの開場の間に生じる大きな価格差を狙った取引
- システムトラブルを狙った取引:サーバーやネットワークのエラーや遅延を意図的に狙った取引
ゼロカットはあくまでもトレーダーを大きな損失から守る仕組みであり、楽して儲けるための道具ではないことを肝に銘じる必要があります。
業者によってゼロカット発動のタイミングが異なる
ゼロカットが導入されているからといって、マイナス残高が生じた瞬間にゼロに戻されるとは限りません。
すぐにゼロカットが発動する業者もあれば、数時間かかる業者もあります。
また、自動でゼロカットが執行されるのが一般的ですが、業者によっては自分から申請しないとゼロカットしてくれない業者もあります。
FX業者によって、ゼロカットシステムの執行タイミングが異なるため、具体的にいつ執行されるのかを調べておくことが大切です。
ボーナスと相殺後にゼロカット発動
海外FXでは、新規口座開設や入金をするとボーナスクレジットが貰える業者があり、それらのボーナスは自己資金とあわせて取引証拠金として使えます。
普段はとてもお得なボーナス制度ですが、ゼロカットとボーナスの関係性を予め理解しておきましょう。
含み損が拡大してマイナス残高が生じた場合、まずこのボーナスが損失の穴埋めに使われ、ボーナスで全ての損失が相殺されない場合、次にゼロカットシステムが発動します。
業者ごとのゼロカット執行タイミング
海外FXのゼロカットが執行されるタイミングは、業者によって異なります。
ここでは主要な業者ごとのゼロカット執行タイミングをまとめました。
XMTrading | 即時〜3営業日程度でゼロカット執行 ※マイナス口座への入金・資金移動で即ゼロカット可能 |
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AXIORY | 24時間以内にゼロカット執行 |
ThreeTrader | 日本時間20時頃にゼロカット執行 |
FXGT | 24時間以内にゼロカット執行 |
Titan FX | 日本時間6時〜7時にゼロカット執行 |
BigBoss | 日本時間7時・20時にゼロカット執行 |
Tradeview | 入金時にゼロカット |
HFM | 24時間以内にゼロカット執行 |
Axi | サポートへ連絡してゼロカット |
Land Prime | サポートへ連絡してゼロカット |
TradersTrust | サポートへ連絡してゼロカット |
ゼロカット導入のおすすめ海外FX業者
ここからは、ゼロカットを導入している海外FX業者のなかでも特に利用メリットが多く、初心者から上級者にまで人気のある業者を3社紹介します。
FX業者 | 安全性 | レバレッジ | コスト | ボーナス | 入出金 | 日本語対応 |
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詳細を読む | ◎ | ◯ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
詳細を読む | ◎ | △ | ◎ | △ | ◎ | ◎ |
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さらに多くの人気業者を知りたい人は、海外FXおすすめ比較ランキングTOP20をお読みください。
1位:XMTrading
XMTradingは昔から日本人向けのサポートが充実していて、日本語サポートの質の高さから、日本人にはとても馴染みやすい海外FX業者といえます。
口座開設が簡単で、口座開設ボーナスや入金ボーナスなどが用意されており、手軽さとお得感から初心者トレーダーを中心に人気を集めている印象です。
57種類ものFX通貨ペアのほか、貴金属、指数、コモディティ、仮想通貨、世界中の個別株まで扱っており、取引口座を1つ作るだけで幅広い商品をトレードできるのはXMTradingならではのメリットといえます。
定番の口座タイプは「スタンダード口座」ですが、多種多彩なボーナスを貰えるかわりに全体的にスプレッドが広いため、スプレッドの狭さを追求するなら「KIWAMI極口座」を選ぶと良いでしょう。
XMTradingの詳細スペック
公式Webサイト | https://www.xmtrading.com/jp/ |
設立 | 2009年 |
最大レバレッジ | 1,000倍 |
スプレッド | スタンダード・マイクロ口座:1.6pips〜 KIWAMI極口座:0.7pips〜 Zero口座:0.1pips〜 |
取引手数料 | スタンダード・マイクロ・KIWAMI極口座:無料 Zero口座:$10/1lot |
ロスカットレベル | 20% |
取り扱い銘柄 | FX・仮想通貨・貴金属・エネルギー・コモディティ・指数 |
取引プラットフォーム | MT4・MT5 |
法人口座 | × |
ボーナス | ◯ |
2位:AXIORY
AXIORYはクリーンでフェアなNDD方式を貫いていて、トレーダーにとって有利な省スプレッドが強みです。
どの口座タイプを選んでも狭いスプレッドで取引でき、東京の取引サーバーで注文を裁いているため約定が速く、しかも取引制限がありません。
また、MetaTraderよりも高機能・高速といわれる「cTrader」というプラットフォームに対応した数少ない業者で、中・上級者に人気なのも頷けます。
海外FXとしては珍しく完全信託保全を導入しているため、万が一AXIORYが倒産しても、預けた資金は確実に返還されるので安心です。
AXIORYの詳細スペック
公式Webサイト | https://www.axiory.com/jp |
設立 | 2007年 |
最大レバレッジ | 2,000倍 |
スプレッド | ナノ・テラ口座:0.2pips〜 スタンダード口座・マックス口座:1.3pips〜 |
取引手数料 | スタンダード口座・マックス口座:無料 ナノ・テラ口座:$6/1ロット |
ロスカットレベル | 20%(マックス口座のみ0%) |
取り扱い銘柄 | FX・貴金属・エネルギー・株式・指数 |
取引プラットフォーム | MT4・MT5・cTrader |
法人口座 | ◯ |
ボーナス | △ |
3位:ThreeTrader
ThreeTraderは、2021年に設立されたばかりの新興ブローカーですが、業界トップクラスの口座スペックを実現しています。
最低入金額10万円〜の中上級者向け口座「Rawスプレッド口座」を開設すれば、多くの通貨ペアを実質コスト1pips未満で取引でき、スキャルピングも快適にできます。
レバレッジは最大500倍と、海外FXにしてはそこまで高くないものの、口座残高がどれほど増えてもレバレッジ規制がかからないので、大口トレードにも向いています。
基本的にボーナスを提供していない業者ですが、独自のポイントプログラムを用意しており、取引するとポイントが貯まり、キャッシュバックや景品と交換できるのも魅力です。
ThreeTraderの詳細スペック
公式Webサイト | https://www.threetrader.com |
設立 | 2021年 |
最大レバレッジ | 500倍 |
スプレッド | Pureスプレッド口座:0.5pips〜 Rawゼロ口座:0.1pips〜 |
取引手数料 | Pureスプレッド口座:無料 Rawゼロ口座:$4/1lot |
ロスカットレベル | 20% |
取り扱い銘柄 | FX・仮想通貨・貴金属・エネルギー・指数 |
取引プラットフォーム | MT4 |
法人口座 | ◯ |
ボーナス | △ |
4位以降の人気業者は、海外FXおすすめ比較ランキングTOP20にて紹介しています。
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